バレンタイン記念SS

 

その時彼女は動いた

 

ジュン   2010.2.14

 

 

 

 2月14日午前0時0分

 つまり、その1秒前は2月13日という日付に相当する、ちょうどその時間のことだった。

 少年が日頃寝起きしている、元納戸である彼の居室の扉が大きな音で連打された。
寝付いたばかりの彼は飛び起きることもできず、何事かとふわふわする頭をようやくもたげた。
その間ずっとノックという表現では生易しい音は続いている。
何事かと誰何する声も出ないまま、少年はベッドの上で上半身をなんとか起こした。
それを見計らったかのように、扉への打撃はピタリとやんだ。
それまでの暴力的な騒ぎがゆえに、静寂は暗闇を大いに加速させる。
その沈黙に耐えかねて、少年は扉の向こう側にいるはずの相手に声をかけようとした。
ただし、寝起きの彼はすっと声が出ない。
一息ふぅっと吐いてから犯人の名前を呼ぼうとしたときである。
勢いよく扉が開き、神々しいまでの光が少年の目を貫いた。
それは単に暗闇に慣れた目に廊下の照明が眩しすぎただけの事だが、とにもかくにも少年は眼を細めずにはいられない。
もちろんのことながら、廊下には犯人が仁王立ちをしていた。
流石に誰もいなければ少年も慌ててベッドから降りていたことだろう。
しかし、そこには予想…というにはあまりに正解率が高すぎるのだが、赤金色の髪をした少女のシルエットが見えた。
照明が眩しすぎ、少年には彼女の影しか見えなかったのである。

「アス…」

 少女の名前を口にしようとした少年だったが最後の音までは発音できなかった。
本来ならば、そこはカ行のア段の音でなくてはならないのだが、彼が発音したのはタ行エ段の連呼だった。

「テテテテテテテテ!」

 少年が彼女の名前を口にした瞬間に、少女は手にしていた物体を彼に投げつけたのだ。
それが何であるか、少年にはまったく確認できないままに物体は一目散に彼めがけて飛来した。
そして、その物体はまるでロケットのように変化したのだ。
要は何者かがいっぱいに入ったビニール袋がその物体だったのだが、袋の口が開きそこから空気抵抗が為されたので袋だけがスピードを弱め中の物体どもが少年の身体に飛び掛っていった。
そう、ロケットよりもショットガンを浴びせられたように彼は感じたのかもしれない。
一斉に身体にぶつかってきた何かに彼は悲鳴を上げた。
痛い、と発音する暇もないほど多数の物体が少年を襲っていたのだ。
だから、テテテテテ。

 少女は予想外の展開に目をぐわっと見開いていた。
彼女の予測では彼の胸にビニール袋がぶつかり、受け止めた少年がこれは何かと質問するはずだった。
そしてその問いに対し、彼女は優雅に答を返す。
完璧の計画だったのに、肉体的興奮がとんでもないスピードでビニール袋を投げつけた為にこのような事態となったわけである。
となれば、少女が予定通りの言葉を発するわけがない。
彼女は野性味溢れる本能型の言動で有名なのだ。

「はんっ!どぉおっ?おどろいたでしょっ!はっはっはっ!変な顔!ばっかみたいっ!」

 ぴしゃりっ!

 意味不明の言葉とともに光は閉ざされた。
彼の部屋は窓もない元納戸の上に、少年は真っ暗にして寝るのが常だった。
だから、もう彼には何も見えない。
先ほどまでの廊下の照明を見ていたのでまさしく鼻をつままれてもわからないという状態だった。
しかし、いくらのほほんで有名な彼でもそのままぼけっとしているわけはない。
身体のまわりに飛び散っているものは何なのか。
まさか爆発はしないだろうと思いながらも、もしかすると旧ネルフの倉庫から危険物でもこっそりと持ち出しかねない少女のことを思うと確信はもてない。
だから彼は恐る恐ると身体を動かした。
足の裏に触る物体どもはどうやら固形物のようだ。
踏みつけてしまわないように注意して、ようやく彼は照明の紐を探り当てた。

 ぱちっ。

そんな音がしたかのように、部屋は光に包まれた。
そして、彼は最上の笑みをこぼした。
足元やベッドの上に散らばっているものを目にしたからだ。
それが何かは、思わず口から漏れた彼の言葉で知っていただこう。

「えへ、チョコレートだ…」





 2月13日午後11時25分

「いらっしゃい…」

 ませ、までは彼は口にできなかった。
何故ならば、自動ドアをぶち破るかのような勢いで飛び込んできた少女が通路をダッシュしたからである。
コンビニの細い通路をよくもあんなスピードで進めるものだ。
常人ならば間違いなく陳列棚に突っ込んでいるか、当人が派手に転んでいるところだろう。
しかし、その少女はスニーカーをギュッギュッと唸らせながら巧みに突き進んだ。
もっとも運良く他に客がいなかったので障害物にならなかったのが幸いであろう。
このコンビニのアルバイトである大学生A青年はどうしたものかと判断に迷った。
他のお客様のご迷惑に云々と注意をすべきだろうが、その他のお客様がいないのでそのトークは使えない。
では、別のと考えてみたものの、彼女の与えたインパクトの強さに、つまり騒々しさのあまり、そのトークしか頭に浮かんでこなかったのだ。
彼が戸惑っている間に、少女は通路に置かれていた買い物籠をしっかりと掴むとお菓子コーナーに陣取った。
そこから先の光景はおそらくもう二度と彼は見ることができないだろう。
いや、一度はしてみたかったのだが、そんなことをすればオーナーに叱られるのでできなかったことを彼女がしてのけているのである。
つまりこうだ。
彼女は棚に置かれた商品を手当たり次第に籠の中に放り込む、いや、籠へと棚から落としていっているのだ。
まるで滝のように棚から落ちていく色とりどりのお菓子たち。
あれは…。
A青年は勝手知ったる店内の商品陳列を思い出した。
あそこはチョコレートのコーナーだ。
チョコレート?
明日は確かにバレンタインデーだ。
そのことは彼はよく承知していた。
何故ならばいまだ友人扱いという同じゼミのB嬢から何かしらのものが貰えるかもしれないという期待が彼の胸に大きく宿っていたからだ。
できれば本命、いや、大きな期待はいけない。せめて義理でも貰えれば。
などというこの時期特有の思春期及び成人男性の願望はともあれ、そのバレンタインデーを明日に控えてのこの状況だ。
少女の行動とバレンタインデートに何かしらの関係はあるはずである。
ここでまず彼が考えたのは、あれをお買い上げになるのだろうかという疑問だった。
何しろ彼女はすでに二つ目の籠にチョコレートを積み上げ始めていたからだ。
さすがにコンビニだから、彼女がチョコレートと名のつく商品をすべて籠に移しても2つに留まった。
少女はそのふたつの籠をそれぞれ手に持ち、ずんずんとカウンターに進んでいく。
A青年は彼女に敬意を表して半歩下がった。
それ以上下がらなかったのは敬意や恐怖のためではなく、壁がそこにあったという単純な理由だった。
少女はレジキャッシャーの横に籠を置いた。

目が…、目が思いっきり据わってる…。

A青年はごくりと喉を鳴らした。
思いつめた目でじろりと睨みつけられれば、例え相手が少女であってもやはり怖いものだ。
下手な応対でもすれば、懐から大型のカッターナイフでも持ち出してきそうなほどの迫力を彼女は持っていた。
もっとも彼は知らなかったが、ほんの数ヶ月前までは彼女は超大型のカッターナイフを振り回していたのである。
ただし彼女の名誉のために付け加えておくと、それを人間に対して振りかざしたことは一度もない。
いずれにせよ、少女は殺気を醸し出す事は容易にできた。
そういう修羅場をくぐってきたからに相違ない。
しかしながら、戦いが終わった今、彼女は殺気の使用法を間違っていた。
乱用しすぎていた。
気に入らないことがあると、その殺気を相手にぶつけてきたのである。
とはいえ、その相手というのは同居人の少年に限定されていたのだが。
つい、今しがたまでは。
現在、彼女は無意識にその感情を露にしてしまっていた。
何の罪もない、コンビニのアルバイトの青年に向けて。
彼は恐怖に震えながらも、接客用語を口にすることができた。

「お、お買い上げですか?」

彼女の返答は言葉ではなかった。
ただ、ひと睨みしただけ。
それだけだったが、A青年には物凄い情報量に感じられたのである。

何言ってんのよ!買うんだからここに持ってきたんでしょ!アンタ、コロスわよ!

目は口ほどにものを言う。
青年は「申しわけございません!」と最敬礼をして、バーコード読み取りの世界記録でも作ろうかという勢いで身体を動かし始めた。
その動きを見て、少女は口から息を細く、長く漏らす。
そんな音でさえ、青年には大いなる圧迫感を持った。
読み取りにミスをしたら、商品を落としでもすれば、食い殺される!
少女を熊か虎にでも錯覚してしまった彼は冷や汗をだらだら背中に流しながら業務に勤しんだ。

しばらくしてふたつ目の籠目にとりかかろうとした彼はとんでもない事を思い出した。
そうだ、チョコレート。
明日はバレンタインデーで、この恐るべき少女はチョコレートを購入している。
ま、まさか、コンビニでギフト包装をしろということなど言いだしはすまい。
しかし、しかし、しかし!
もし、包装をしろと言われたらどうやって断ればいい?
死ぬのはいやだ。
でも、俺は包装なんか全然できやしないんだぞ!
そもそもギフト包装はお断りしていますと…貼り紙しているはずだ。
そのために包装したチョコレートを別の場所に陳列しているのではないか。
おおおおお!そうだ、それだ!そのことを言って言外に今読み取っているのは包装しないって伝えればいいんじゃないか。
俺って天才。

「あ、あ、あ、あの!」

じっと青年の手元を睨みつけていた少女が目を上げた。
うへぇ!

「ち、ち、チョコレートの、ほ、包装しているのもありますよ!あ、あそこに!」

バーコードリーダーで青年はその場所を指し示した。
それは彼女のすぐ後ろである。
カウンター前のエンド什器に、愛をこめてなどとポップを貼り付け賑やかにバレンタインデーの演出をしていた。
少女はちらりとその方向に眼をやるやいなや、ぎらりと瞳を輝かせた。
まさしくそれは猫科の肉食獣。
くるっと身体を反転させると、彼女はオレンジ色の籠をとりに行き、そしてまたしても先ほどのようにありとあらゆる商品を籠に放り込み始めた。
ひえええええっ!
自分が言い出したこととはいえ、彼女の動きを目の当たりにすると青年は恐怖感しか抱けなかった。
レジの金額はどんどん上がっていく。
すでに1万円は優に超えていた。
こうなると今度は支払いしてもらえるのかどうかが不安になってしまう。
できれば早々にお引取り願いたいので、支払いで揉めたくはない。
残念ながら金持ちではない彼は身銭を切って店の損害を補填などできない。
しかし、もし彼女が商品を持って逃亡したとしたら…。
その時は店の床に自分の死体が転がっているかもしれない。
ああああ、どうすれば?
その時、少女が陳列されていたすべてのギフト包装チョコを放り込んだ籠をカウンターに置いた。
これもだと言わんばかりに、彼女はぐるるっと唸り声らしきものをあげる。

「は、はいっ。ありがとうございます!あ、あの!お支払いは…」

カードですかとつなげようとした瞬間、彼女はポケットに手を入れた。
拳銃?ナイフ?手榴弾?
物騒な想像をした青年だったが、ポケットから出てきたのは可愛らしい財布だった。
ところがほっとした青年の目が大きく見開かれる。
少女は大きく膨らんだ財布から一万円札を数枚抜き出すと、ぼんと音を立ててカウンターに置いた。
これだけあれば充分だろうと言いたげな感じに見え、青年は裏返った声で「ありがとうございまぁす!」と叫んだ。

5分後、バーコード読み取りの(おそらく)世界新記録を樹立した青年はカウンターから3枚だけ一万円札を取り上げた。
24850円也。
一番大きなレジ袋が4つ。
その中にはちきれんばかりにチョコレートが詰まっている。

「お、おつ、おつりの5150円でぇ〜す!」

裏返ってしまった声はなかなか元に戻ってくれない。
青年が差し出したお釣りを奪い取るようにして受け取った少女はお金をそのままポケットに突っ込んだ。
そして、むんずとレジ袋を掴むと鼻息も荒くコンビニから出て行ったのである。
しかし、その時青年は「ありがとうございました!」を言い損ねてしまった。
何故ならば、お釣りを受け取った少女ににっこりと微笑まれたからだ。
それは何事かをやり終えたかのような爽快感に満ち溢れた笑顔で、しかも小声で「アリガトね」とも付け加えられていたのだ。
青年がどっと疲れてしまったのは仕方がないことだろう。
彼は誰もいなくなった店内で特大の溜息を吐いた。
まるで9回どころか延長戦の限界まで野球をしたかのような疲労感である。
ところが壁の時計を見るとまだ11時40分。
なんと少女が来襲してから、15分しか経過していないではないか。
彼の夜勤はまだまだ続く。
しかし、この時点でA青年は真っ白に燃え尽きていた。



 
 2月13日午後11時17分

 そっと扉を閉めたアスカはエレベーターホールへ突進する。
残念なことに、エレベーターは1階にいた。
はしたなくも舌打ちをした彼女は、素早く計算を始めた。
このままここに待機してエレベーターを利用して1階まで降りるのと、今すぐ階段を駆け下りていくのとどちらが早い?
心情的には階段なのだが冷静に考えると間違いなくエレベーターだ。
彼女は歯軋りせんばかりの表情でエレベーターの階数表示を睨みつけ、右足でじりじりと床を踏みつけるのだった。
日付が変わるまであと40分余り。
それまでにはすべての準備をしないといけない。
今の今まで何もしていなかったことは棚上げして、彼女は思い通りに進まない現実に腹立ちをぶつけていた。
だいたい、早く寝るように命令したのについ先ほどまで眠らなかった馬鹿シンジが悪い。
あいつは、いつも間が悪くて、こっちの思い通りに動いてくれなくて、それに、それに……!
青い瞳の少女はふっと息を吐いた。

大好き……。

アスカが心の中で本音を呟くと同時に、エレベーターの扉が開いた。



 2月13日午後11時13分

「寝た?」

 扉を開け、アスカは静かに問うた。
返事はない。
さすがに今度こそは眠ったのか。
彼女はそれを確かめるためにそっと部屋の中に入る。
そしてベッドサイドに近寄ったアスカだったが、さてどうやって眠ったかどうか判別できるというのか。
廊下の明かりで判別できるシンジの表情は和やかなものだがそれがタヌキ寝ではないという保証はない。
しばらく彼女は迷っていたが時間がないので、彼女はとんでもない手段に出た。
アスカはシンジの眠る布団に手をさしいれ、彼の身体に伸ばすのだった。

 よし、大丈夫。
絶対に寝ている。
アスカは大きく頷くと、音を立てずに部屋を出た。
再び真っ暗になった部屋の中、布団の中に入ってきた冷たい空気に反応したのかシンジは寝返りを打った。
そして少しだけ笑みを漏らしたのは、日頃鈍感と呼ばれる彼の証だったのかもしれない。
足の裏をくすぐられてから1分近くたってからようやく身じろぎをするのだから。


 
 2月13日午後11時08分

 廊下で座っているアスカは自分を必死に抑えつけていた。
確かめたい。
シンジが眠ったかどうか。
しかし、次が最後のチャンスになるのだ。
もし次の確認で彼を起こしてしまえばコンビニまで走ることも不可能になるかもしれない。
あと5分我慢しよう。
廊下の冷たさにお尻が冷えていくことも苦にせずに、アスカはどんどん崩れていく計画を悔んでいた。
結局自分が悪いのだ。
最初から照れたりせずにチョコレートを渡すと決めていればこんな苦労をせずとも済んだのである。
それに安心していたのが悪かった。
いや、この自分が好きになるような男なのだ。
世界中の、とまでは言わないまでも、クラスの女子の半分くらいが好意を持っていてもおかしくはない。
ああ、なんということだろう。
なんとしてもシンジへ真っ先にチョコレートを渡さねばならない。
そして、他の女からチョコレートを受け取らないようにするのだ。

 アスカは唇を噛んだ。
もうこんな時間だ。
心のこもった手作りチョコレートなど作っている暇はない。
何しろせっかく購入していたチョコレートはすべてカレーの隠し味と化している。
ああ、どうする…。

 あ…。

 アスカはにやりと笑った。
これっていいんじゃない?
彼女はそっと立ち上がると自分の部屋に入り、机の引き出しにしまっている軍資金を確認した。
福沢諭吉が8枚、樋口一葉が1枚に野口英世が3枚。
これだけあれば、かなりの量のものが手に入るに違いない。
彼女は手にしたお札をすべて財布に放り込むとジャンパーのポケットに入れた。
壁の時計を見るともう13分になろうとしている。
よし…。
うんと大きく頷いたアスカは部屋を出た。
お願いだから、眠っていてよね、シンジ。



 2月13日午後10時59分

 ああ、しまった、しまった!
もう少し我慢したらよかったのに!
あの雰囲気なら眠りかけていたに違いないわ。

 アスカは唇をぎゅっと噛んだ。
あと1時間しかない。
タイムリミットはいつだ?
一番近いコンビニまで自転車で5分。
買物と往復で合計15分見ておくとして…。
それから手作りチョコレートは作れるか?

 無理、無理、絶対無理!
熱々のチョコレートってアタシの気持ちを表すにはぴったりだけどさ。
えへへへへ…。

 自分の馬鹿さ加減にあきれ果てたアスカは廊下に座り込んだ。
よし、あと15分は我慢しよう。

 いざとなれば首筋にチョップして…。
やめた。
アイツ、その程度で簡単に死んじゃいそうな気がするもん。
やっぱり待つのよ、アスカ。
早く寝ろ!馬鹿シンジ!



 2月13日午後10時58分

「へ…、アスカ?」

 眠ったかと思っていたシンジがぼんやりとした声を出した。
その声を耳にして、アスカは目を閉じた。
ああ、まだ早かったんだ。
もう少し我慢していれば…。
しかし後悔を続けても仕方がない。
彼女はできるだけ素っ気無い声を出した。

「うっさいわね。明日提出のあれを借りに来たのよっ。机の上でしょ」

 彼の机の上に宿題がのっているのは既に確認済みである。
アスカはつかつかと机に向かうとプリントを手にして部屋を出て行った。
そんな彼女にシンジが声をかけなかったのはもうかなり眠りの世界に近い所為だ。

 多分。

 アスカは期待を込めてそう思い込むと、扉をそっと閉めた。



 2月13日午後10時40分

 よしっ、11時になったら確認しよう。
それくらいになればさすがにシンジも眠っていることだろう。
ソファーに座ったアスカはそう決めると瞑目した。
11時までは絶対に我慢すること。
我慢できずに様子を窺ったりすれば今までのことが無駄になる。
市販のチョコレートでも溶かせば手作りチョコの原料になるはずだ。
30分もあれば完成するだろう。
実際に作った事はないけれども、レシピはもう暗記しているから絶対に大丈夫。
手作りチョコなどチョチョイのチョイよ。

 天才を自負する彼女はおのれの能力を大いに過信していた。



 2月13日午後10時22分

「もう寝た?」

「まだだよ」

 扉越しの問いかけにシンジははっきりとした声音で応えてきた。
アスカはいらいらとした表情で爪を噛む。
どうしてさっさと寝てくれないのだろうか。
これでは手作りチョコを作るどころか、その材料を調達にすら行けないではないか。

 まったくどうしてアイツは自分の思い通りになってくれないんだろう。
このアタシがこんなに…その…あの…アレよっ!好意よ、好意。
好意ってのを持ってやってんのに、何さっ、いつものほほんってしちゃってさ。
まっ、それがいいんだけど…。
もし、あの馬鹿が気の利くヤツだったら…。
ふんっ、アタシはとっととドイツに帰ってるわね。
あんなのだから、アタシがそばについてやらないといけないんじゃない。
だって、傍にいて監視してないと…。

 アスカの目がきらりと光った。

 ドイツに連れ去るって手もあるわよね。
あんな日本人そのもので華奢でカッコよくないんだから、ドイツに住んでる女どもがシンジを相手になんかする筈が…。
あ、でも、でも、もしスタイルのいい白人がシンジの好みだったら?

 同世代のドイツ人に比べ圧倒的に貧相な自分のスタイルを考えてアスカはがっくりと首を落とした。
しかし、あのダイナマイトボディのミサトにまったく興味を持たなかったのだからシンジにはそういう好みがないのかもしれない。
でも、この自分にはどうなのだろうか。
興味を持っていないのかどうか。
赤い海のほとりでふたりぼっちになったということは彼の意志が働いていた筈だから…。
ううむ、わからない。
もしそうならば、この1年の二人きりの同居生活で何かが起こってもおかしくないではないか。
ところがそういう色気づいた出来事は皆無。
日々平穏な毎日が過ぎているだけだ。
そのことにアスカは何の文句もない。
母の事故以降、こんなにのんびりとした日常など味わえなかったのだ。
のんびりとしているが、楽しい。
そんな毎日に満足していたのだが…。

 机で頬杖をついていたアスカの思考はそこで急停止した。
壁の時計を見ると、もう10時30分ではないか。
彼女は大きく頷くと椅子から立ち上がり、自室から廊下へと出た。
そして、シンジの部屋の扉に近づくと、そっと声をかけたのだ。

「寝た?」

「……」

 おおっ、返事なし!
いい子のシンジ君はおねむになってくれたのか!
喜色を浮かべたアスカだったが、その表情はすぐに凍りついた。

「……え……と……なに…?」

 あちゃあ!しまった!
もう少し放置して置けばよかったんだ。
この感じじゃ眠りかけてたんじゃない?
どうして我慢できなかったのか、馬鹿なアタシ!

「何もないわよ、さっさと寝なさいよ、馬鹿」

 早口で言うと、アスカは自分の頭を拳骨で叩いた。

「うん……おやすみ……」

 まだ、あきらめてはいけない。
今のおやすみの挨拶はかなり眠たげではないか。
アスカはもう一度こつんと頭を叩くと、リビングへと向かった。
とにかく静かにしてシンジを夢の世界に誘わなければ。



 2月13日午後9時45分

「えええええっ、今から寝ろってぇ?はは、冗談だろ」

 シンジは目を丸くして驚いた。
壁の時計を見ると、まだ10時にもなっていない。
おやすみを言って自分の部屋に戻るのはいつも12時前である。
それまではテレビを見たりゲームをしたり宿題をしたりして過ごすのが二人の日常なのだ。
さすがに鈍感なシンジでも何かの冗談だと思ったのも仕方がなかろう。
しかし、いきなりテレビの主電源をぷちっと消したアスカは大真面目な表情だった。

「ふんっ、誰が冗談なんか言うもんですか。いい?もう一度だけ言うわよ。
アンタは今すぐ寝るの。わかった?今すぐよ。わかったら、さっさと歯磨きしてベッドに入るのっ!」

 アスカはぴしりと音がする様な勢いで少年の部屋を指差した。
その指先を見つめたシンジは途方にくれた顔をした。

「だ、だって、眠くないもん。全然」

「うっさいわね。アンタには拒否権はないわっ。とにかく寝るのっ」

「だから、どうしてだよ」

「どうしてもこうしてもないわよ!アタシの言うことがきけないってことぉっ?」

「で、でも…」

 仁王立ちするアスカに対して、シンジは予想外に粘っていた。
もっとも彼にも言い分はあった。
日頃彼女の理不尽な要求に苦笑しながらも従ってきた彼だ。
従って大抵の要求には逆らおうともしないのだが、今回はあまりに馬鹿らしい上に理由もよくわからない。
こんな時間に寝るのは小学校でも低学年だろう。
だいたい今の彼は眠くもなんともない。
こんな状態で眠ることなどできるわけがないではないか。
こういうどうでもいいようなことに関して頑固な態度をとるのがシンジの奇妙な性格であろう。
そのことをアスカは既に熟知していた。
もう使徒と戦っていた頃の二人ではないのだ。
もはや友達たちに夫婦みたいだとからかわれないレベルにまで達していたのである。
からかうことが馬鹿らしくなるほどに二人の息が合っているからだった。
そのことにアスカも気がついていたからこそ、今更チョコレートと思ったのだ。
だからこそ、手作りチョコの原料は今二人の胃袋と鍋の中にカレールーとともにあった。
従って、今アスカにできることはただひとつ。
その失われた原料を今一度調達するしかない。
そのためにはシンジの目や耳が邪魔なのだ。

 今からアンタにあげるチョコレートを作るの……。

 などという言葉を言えるわけがないではないか!
アスカは焦れた。
何故、素直にベッドへと向かってくれないのだ。
自分ならシンジにお願いされればすぐにベッドへ向かうだろう。
……。
いや、多分、無理。
絶対に何故かと追求するに決まっている。
しかし、アスカは自分のことは棚にあげた。
今は、とにかくシンジを隔離しないといけないのだ。
家から追い出すわけにはいかない。
追い出したりなどすれば、変な虫がつくかもしれない。
あの情報が正しければ、いや、正しいに決まっている。
変な虫は現実に存在するのだ。
しかも、クラスに数匹、学校内に数十匹。
まるでゴキブリだ!

 もし碇シンジに懸想する女子たちをゴキブリと形容するならばアスカ自身がゴキブリの帝王ということになるのだが、そういうところにまで思考が至らないのは世の常であろう。
日頃のアスカならば、ゴキブリは叩き潰すだけと嘯くところだろう。
ただし今回はそういうわけにはいかない。
彼女の思考はそういう方向に何故か向いていなかったのだ。
アスカはただひとえにシンジへ誰よりも早く、そして心のこもったチョコレートを渡さねばならないという強迫観念にとらわれていたのである。
ほんの15分前にはそんな考えは放棄してシンジとともにのんびりとテレビを見ていたのにもかかわらず。

 繰り返すが、今のアスカにとって最大の問題はシンジをいかにして眠らせるということにあった。
すべてはそこが鍵となっていたのである。
折悪しく頑固モードにはいってしまっているシンジをどのようにして誘導すべきか。
アスカは必死に考えた。

「つまり、アンタは明日…」

 もしアスカの頭脳が回転式の構造をしていたならば1万回転/秒以上で動いていたに相違ない。
明日、と口にした以上そこに話をつなげないといけない。
その上、シンジがそういう理由ならばとベッドに向かうような話が必要なのだ。

「明日、僕がどうするのさ」

 怒ってはいないが不満たらたらの目つきである。
実は彼が頑固なモードに入ったのは早く寝るように命じられたからではなく、単に見ていたテレビを消されただけのことである。
その番組はドイツのお菓子について特集していて、ちょうどアスカが電源ボタンを切った時にバームクーヘンの作り方が映っていたのだ。
彼が知っているバームクーヘンとは見た目が全然違うのにびっくりして番組に集中していたわけだ。
バームクーヘンはあの時、彼が知っていたドイツ語で真っ先に出てきたものである。
もちろんそのことを覚えていたからこそ興味を持って見ていたので、いささか不愉快になっていたシンジだった。

 そのことをアスカが知ったならばすっかり舞い上がっていたことだろうが、今はそんな部分を追及しようとなど考えもしていない。
彼女はただ明日早起きする理由を見つけることだけに集中していた。
早起き、明け方、夜明け。

 おおおおお、それよそれっ!

 アスカは日曜日に見たアニメ映画を思い出した。
ラストシーンに少女と少年が街の高台から夜明けの風景を眺める場面があった。
その時、シンジがあんな感じで見える場所を相田ケンスケから聞いたと言っていたのだ。
使える!

 話の骨子が決まれば、後は立て板に水である。
彼女が早口で説明すると、シンジは意外なほど簡単に早寝早起きを了承したのである。
それはもうアスカが拍子抜けするほどに。
しかもそこに行くには自転車が必要だから帰ってきてからシャワーを浴びたらいいよねと段取りまで自分から口にしたシンジである。
そう、今から風呂に入るなどと言い出されればさらに時間がかかってしまう。
アスカにとってはシンジの発言は願ったりかなったりだった。

 シンジがおやすみと言って自室に入ったのは午後10時を少し回っていた。
あとは彼がちゃんと寝たかどうかを確かめてからだ。
一度寝てしまうとシンジはなかなか目覚めないことをアスカはよく知っている。
しなければならないことはその間にすべて決めておこう。
時間は少ないだろうが何とかなる。
自分は天才だし、何よりも愛の力がそこに加わるのだから。
早く寝てよね、馬鹿シンジっ。
アスカの顔は希望にあふれていた。



 2月13日午後9時30分

「ちょっと待って、ヒカリ」

 アスカは声を潜めた。
リビングの方を窺うと、テレビの音だけが聞こえている。
戸口から首を伸ばしてみると、シンジは背中を伸ばして画面に見入っているのが確認できた。
彼女は幸福そうに微笑むと首を引っ込め、受話器相手に語りかけた。

「だ、か、ら。今さら、チョコレートなんかしなくてもいいのよ。うん、そう。作ってないわよ」

 アスカはきっぱりと言い切った。
手作りチョコレートの材料としてヒカリと買いに行った原材料はもう3時間も前にカレー鍋の中に投じられている。
隠し味としては大量だったのでルーや香辛料をさらに奮発したのだが、いつもより甘口のカレーに仕上がってしまった。
もっともそれをシンジが美味しいと喜んだのでアスカとしては大満足であった。
その事実を電話相手に告げるとヒカリは呆れ果ててしまっていた。
ただ、いくら親友に呆れられてもアスカは別に気にしていなかったのである。
バレンタインデーにチョコレートを渡そうが渡さなかろうが二人の関係が悪くなることはないに決まっている。
だいたい、愛の告白など恥ずかしくてできっこないではないか。
勢いでやってしまうならば話は別だろうが、手作りチョコレートを製作してそれを渡し本命だなどと言ったりカードを渡したりだなどということが自分にできるわけがない。
そのことに気がついたのが土曜日の夜だった。
もともとは日曜日にヒカリの家に赴き一緒にチョコレートを作る予定だったのだ。
ドタキャンをしたアスカは親友に明るく謝罪をすると、その日はシンジと一緒にアニメ映画を見に行ったのである。
リバイバル映画の2本立てだったが、どちらの作品も充分に楽しめた。
何よりも思春期の少年少女の恋愛絡みの話でどちらもハッピーエンドだからアスカにとっては大満足だった。
その時の彼女は告白などしなくてもこうして充分デートらしきものをしているではないかと自分の決断にまったくためらいがなかったのだ。
だからこそ、今朝ヒカリから渡されたチョコレート素材をあっさりと鍋の中へと投じたのである。
彼女はもし気が変わったらとこっそり渡してくれたのだ。
そして、やっぱり渡した方がいいよとヒカリは口添えもしたのだが、赤金色の髪をした友人はアリガトとにこやかに笑っただけだった。
そのアスカの気持ちは今までまったく揺らいでいなかった。
この瞬間まで。

 ヒカリの情報を聞いて、アスカは顔を引きつらせた。
これは冗談か、もし真実としても…。
自信の塊であるアスカは、その一方で不安感の塊でもある。
最初は笑って聞いていたものの、そんなに大勢の女子がシンジにチョコレートを渡すという情報は彼女の心をかなり揺さぶった。

「は、はは、そ、そんなのあるわけないじゃない。シンジは馬鹿シンジなのよ。そんなヤツを誰が好きになるっていうのよ」

「まず、アスカでしょ」

 すぐさま切り返されてアスカは口ごもってしまった。
ここであんなヤツを好きになるのは自分一人だけであるといってしまえばどうだろう。
自分が物凄く物好きであるといってしまうことにもなるし、いやそれよりも、シンジに魅力がないと断言するのは憚られた。
親友にだけは日頃彼の素晴らしさを口にしているのである。
今さら否定するのも奇妙な話だ。
アスカは部屋の隅に行き壁際に蹲った。
シンジへの恋心をヒカリ相手に電話で惚気る時はいつもこういう格好になってしまう。
もし同居している相手に聞かれてしまっては大パニックになってしまうのは間違いないからだ。

「で、でも、アタシが…」

「私だけの情報じゃないのよ。レイも聞いてるの。それに鈴原だって」

「そ、そんなのきっと偽情報よ」

 引きつった笑いを浮かべたアスカは突然受話器の向こうの相手の声が変わって目を丸くする。

「偽、なんかじゃない。私は、聞かれたもの」

「うっ…」

 元ファーストチルドレンにして、今は赤木博士と同居している綾波レイ。
あの当時と比べると随分感情表現が豊かになったものだが、それでもぼそぼそ喋る癖は直らない。
彼女は赤木博士と冬月所長に渡す義理チョコを作るためにヒカリの家を訪れているのだと言った。
そして、その時にシンジがアスカと交際しているのかという質問をこの数日で何度もうけていることが話題になったのだ。
同じことを交際相手である鈴原トウジからも聞いていたヒカリはこれは拙いとアスカに電話したのである。

「アスカ?恥ずかしがっている場合じゃないわよ。明日になって本命チョコを渡された碇君がどういう反応をするか、アスカは大丈夫って言い切れる?
あなたたち、何の約束もしていないんでしょ。もし何もしなくてとんでもないことになったらどうするの?
私、あの時みたいなアスカ見たくないの」

 アスカは愕然とした。
もし、最悪のシナリオが発動した場合自分はどうなる?
あの時以上に精神崩壊をしてしまうだろうと確信できる。
このヒカリの最後の発言が彼女を崖っぷちに追いやったのである。

 そして、彼女は崖から跳んだ。
恥ずかしいなんて言っていられるものか。
やってやろうじゃない!



 2月13日午後9時20分

「やっぱり、私が電話するのよね」

「だって、私のキャラじゃない、から」

 綾波レイににっこり微笑まれると、洞木ヒカリは何も言い返せなかった。
それにアスカのことは彼女も大切に思っている。
不幸な身の上であることはもはやよく承知しているので、アスカには幸福になって欲しいのだ。
だからこそ、レイの提案に乗り気になったわけである。
親友の性格上、追い込んでしまえば勝手に暴走するのは間違いないと判断できた。

「わかった。でも、ちょっと待ってね。練習するから」

 覚悟を決めたヒカリの肩をレイは優しく叩く。
その微笑を見て、ヒカリはサードインパクトで一番変化したのは彼女だと再認識した。
以前はレイを人形だと形容したアスカを諌めていたものの、内心ぴったりな表現だと思っていたのである。
今や、もう彼女は人形ではない。
本命チョコをあげる相手はまだ周囲にはいないが何年かすれば見つかるだろうというレイの発言は冗談にも思えなかった。
彼女も自分の人生を楽しんでいるのだとヒカリにも認識できた。
それは自分も同じ。
二度と来ない10代の時間を楽しむ。
そして、それをかけがえのないものにするのだとヒカリも決めていた。

 しかし、こういう展開になるとはヒカリは思っていなかった。
チョコレートの作り方を教えて欲しいと、レイが突然家に押しかけてきたときはそれがすべてだと思っていたのである。
だが、今はレイの目的はこっちだったんだと断言できた。
でも…。
ヒカリは苦笑する。
何だか、レイの掌で踊らされているような気がした。
しかし、それは不快ではなかった。
まったく不快ではない。
寧ろ愉快である。
彼女は「よし」と大袈裟に口にすると受話器を手にした。
見事にアスカを追い込んでやる。
その時レイの顔を見ると、彼女の微笑みはこんなことを言っているように思えた。

 みんなで、シアワセになろうよ……と。


























 2月14日午前0時5分

 シンジは扉を大きく開けた。
その瞬間、彼の目は驚きのために大きく見開かれた。
廊下を埋め尽くしているお菓子、またお菓子。
そのすべてがチョコレートだ。
そのチョコレートの向こうにアスカが立っていた。
いつものように仁王立ちして、腰に手をやりにんまりと笑っている。
ただし、いつもに比べていささか顔が赤いのは隠しようがない。

「ふふん!どぉ〜お?アンタはチョコレートを食べないと部屋から出られないのよ!」

 少しばかり上ずった声になってしまっているのも仕方がないだろう。
だが、彼女はシンジがまさかこんな気の利いた台詞を返してくるとは予想もしていなかった。

「えっと、これって全部本命だよね」

 アスカ絶句。

 彼女の口はただぱくぱくと開くだけで、そこからは意味のある言葉は日本語でもドイツ語でも出てくることはなかった。
ただ、まさに文字通り顔から火が出そうなほどの頬の赤みがすべてを語ってくれていた。



 2月14日午前5時58分

 第3新東京市、H4ブロック改め希望が丘4丁目。
今まさに夜が明けようとする展望公園で、不器用にキスを交わした少年と少女がいた。
前回のキスの味はともかくとして、恋人同士としての初めてのキスの味はまぎれもなくチョコレート味であっただろう。


 

 

 

 

その時彼女は動いた      − 終 −

 


<あとがき>

 うわぁ、危機一髪。
初期構想ではアスカの24時間を描く予定でしたが、そこまで時間が取れませんでした(涙)。

 ええっと、動いたのは誰だったのかおわかりですよね。
この作品世界ではゲンドウやミサトの姿はない模様です。
二人が見た映画は『耳をすませば』ですね。
あの映画のように結婚を誓ったかどうかはわかりませんが、少なくとも二人は一睡もせずに夜明けを迎えたことでしょう。
べらべら喋りあったわけではなく、ソファーに並んで座って手だけはつないでいますが、少し離れて。
まあ、間違いなくその後シンジは歯医者さんに行かねばならなかったでしょうね(笑)。



 

2010.2.14  ジュン

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