幸せは球音とともに

ー 1971編 



 

2004.2.25        ジュン

 
 
 

 

 
 
  
 試合はとんでもない展開になってしまった。
 ノーアウト一塁から、四番打者の土井が火の出るようなライナーをレフト前に運んだ。
 これで一塁二塁だ。 
 何かが起きるんじゃないか?
 そんな期待を抱いてしまう。
 アスカが僕の手をぎゅっと握りしめてきた。
 汗をかいて少しべたっとしている。
 そりゃあ僕以上に緊張しているんだと思う。
 アスカのお父さんは六番だ。
 どんな状況で打順が回ってくるんだろうか?
 すると五番の永淵がなんとフォアボールを選んだ。
 無死満塁。
 阪急のベンチから白髪の監督がゆっくりと歩いてくる。
 そして、ウエィティングサークルに控えていたラングレー選手が立ち上がって素振りを始めた。
 見るからに気合が入っている。
 だけど、僕たちの周りの観客は溜息交じりだった。

「なんや、ここでラングレーかいな」「今日はもう三振3つしとるで」
「アホ、三振やったらまだええわい。変に打ってダブルプレーくらったらどないもならんわ」

 まさかここにそのラングレー選手の娘がいるとも知らず、観客は遠慮なく話をしている。 
 アスカはじっと唇を噛みしめていた。

「アスカ…?」

 僕が声をかけた時、アスカがすっと立ち上がった。
 彼女を見上げると、ちょうどアスカも僕を見下ろしている。

「シンジ。勇気ちょうだいね」

 そう言うと、何度か大きく深呼吸をする。
 そして一度大きく頷くと、唇を開いた。

「Papa!Papa!」

 ざわついていた球場だったが、その大声はラングレー選手の耳に届いたようだ。
 振り返るとバットを肩に担ぎ、二歩三歩観客席の方に歩み寄る。

「な、何や、この姉ちゃん、ラングレーの知り合いかいな」「パパ言うとったで」
「ほな娘さんかいな」「あちゃぁ、えらいこと言うてしもうたなぁ」

 そんなひそひそ声が広がる。 
 アスカはただじっとお父さんを見つめていた。
 お父さんの方もその娘を見つめる。
 アスカの隣にいるから僕も真正面からお父さんを見る格好になる。

Do you like baseball?

 アスカは大きな声で叫んだ。
 もちろん、一介の小学生の僕に英語がわかるわけがない。
 後でアスカに教えてもらったんだ。
 だから、この時は何が何だかわからなかった。
 だけどアスカがさっき言っていた、お父さんに聞いてみるってことじゃないかとは察することができた。
 アスカはお父さんの「Yes」という返事を期待していたんだ。
 ところが…。

No!

 低く大きな声が僕たちのところに飛んできた。

「そ、そんな…」

 アスカが悲痛な声を漏らす。
 僕にだって「No」が否定を意味することくらいは知ってる。
 じゃ、アスカのお父さんって本当にビジネスで野球をしていたってこと?

 ラングレー選手は右手のバットを高々と掲げた。

I love baseball!

 その叫びは僕の心にも響いた。
 ラブって愛してるってことで、ベースボールって野球だろ。
 ということは…う〜ん、他のがわかんないよ。
 でも、アスカが投げキッスをお父さんにして、こんなことを叫んだんだからいい返事だったんだろう。

Papa! I love you!

 その叫びを聞いてラングレー選手はもう一度バットを掲げて見せた。
 その時、阪急の監督はベンチに帰っていくところだった。
 ちらりとこちらを見て、少し歩調が乱れた。何か考えたのだろう。
 しかし、そのままベンチにまっすぐ戻っていく。
 ピッチャーは続投。

「あのね、シンジ。パパったら野球が好きなんじゃないんだって」

「えっ」

「愛してるんだってさ。野球を。もう、カッコつけちゃって…!」

「あ…」

 アスカがぐいぐいと目を拳で拭う。
 僕もほっとした。

「よかったね、あ、アスカ」

 まだ慣れないや。女の子の名前を呼び捨てにするのは。

「アリガト、シンジ。アンタのおかげよ」

「そ、そんなことないよ」

 僕は照れた。
 アスカの力になれて、僕の方が嬉しいかもしれない。

「パパ、打って欲しいなぁ」

「うん、応援しようよ」

「OK!」

 マウンド上ではピッチャーがキャッチャーのサインをじっと見つめる。
 再び球場がざわめきだした。
 バッターボックスのラングレー選手は素振りもせずにじっとピッチャーを睨んでいる。

「おい、打つんとちゃうか、えらい気合入っとるで」「ほんまや」

「パパ打って!お願いっ」

「がんばれ!がんばれっ!」

 僕も知らず知らずに声を出していた。
 初球。
 アンダーハンドから投げられた白球は外角にすっと変化した。
 ぶるんっ!
 バットにかすりもせず、大きな空振りだ。
 一瞬の後、一塁側から歓声があがり、三塁側は溜息に包まれた。

「パパ…」

 僕はアスカの手を握った。

「まだワンストライクじゃないか。ね」

「でも…」

「ほら、お父さん、まだまだやる気いっぱいだよ」

 顎を上げ、ピッチャーを睨みつける。
 ヘルメットをかぶり直し、肩を数回押し上げるしぐさをする。

 2球目。
 また外角に変化球。
 再びバットは空を切る。
 三塁側は一斉に「ああ…」と嘆声を上げる。
 逆に一塁側からは拍手と野次が沸き起こった。

「そんなん一生バットに当たらへんでぇ!」「舶来の特大扇風機はとっとと帰れぇっ!」

 アスカがぎゅっと拳を握り締める。
 僕は…キレた。
 もう我慢ができなかった。
 立ち上がって、手をメガホンにして叫んだんだ。

「うるさいっ!この馬鹿っ!」

 何だか、すっとした。
 でも、やっぱりちょっと恥ずかしいや。

「シンジ…」

 アスカが僕のシャツの裾を掴んで引っ張った。
 バランスを崩してよろけて椅子にへたり込む。

「アリガト。アンタ、ホントにいいヤツだね」 

「は、はは…」

 別に彼女にいいところを見せようとしたんじゃなかったけど、結構ポイントを稼いだみたいだ。
 だけど、僕の奥さんに言わせるとこの時にはもうポイントは上がるところまで上がっていたとのことだ。
 もっともそれを聞いたのはほんの3年ほど前だけどね。
 そのことを教えてもらっていたら、その後数年にわたって彼女に奉仕しなくても…。
 いや、今のは間違い。
 別に奉仕していたんじゃなかった。
 実に楽しい思春期を送ることができた。
 それもすべて彼女のおかげだ。
 これでいいだろうか?
 ついさっきモニターを覗き込んで、「ふぅ〜ん」と一声上げて書斎から出て行ったのだが。
 あの「ふぅ〜ん」は気になる。凄く気になる。
 従って、ここではひとまず彼女に敬意を表することにしよう。
 でもどうしてみんな僕のことを恐妻家というんだろうか?
 愛妻家って何故言ってくれないんだろう。不思議だ。
 ああ、申し訳ない。 
 僕の惚気よりもこの後どうなったかだよね。

 3球目をピッチャーはあっさりと投げ込んできた。
 内角にのけぞらせる球。
 後に一歩下がって球を避けるラングレー選手。 
 この時期の僕にそのボール球が次の球への布石だなどとわかる訳がない。 
 ただ危ない球を投げてきた投手への怒りがわいてきただけ。

「次が勝負やな」「外角へスライダーか?」「わからへんで、相手は中沢やからな。内角にシンカーかもしれへん」

 周りのおじさんの声に僕は教えられた。
 これまでそんなことを考えて野球を見たことがなかったんだ。
 ただ投げ込んでいるだけじゃないんだ。僕たちの草野球とは全然違う。
 あんなに凄い球を投げている上に、相手の裏をかくなんて。
 その球を打つんだからプロは凄い。

 ラングレーさん、アスカのためにも打ってください!

 4球目。
 綺麗なアンダーハンドから滑るように白球がホームへ走る。
 バッターは大きく左足を踏み込んだ。

 カキーンッ!

 甲高い音を残して、ボールはライトスタンドへ。

「打ったっ!」「Papa!」

「行けぇっ!」「入れっ!」「うわぁぁぁっ!」

 ボールは右中間のフェンスをめがけて飛んでいく。
 入るの?ホームラン?逆転満塁ホームラン?
 センターの選手が物凄いスピードで白球を追いかける。 
 僕たちは席から立ち上がって、声も出せずにボールの行方を見守る。
 白球はライトスタンドの一番深いところをめがけて飛んでいる。
 そして、ジャンプしたセンターの選手が差し出したグローブのすぐ上をボールはすり抜けた。
 フェンスの最上部に当たったボールがグラウンドに跳ね返る。
 その行方を確かめた3人のランナーが全速力でホームを目指した。
 全員がホームに帰ってくれば同点だ。
 僕たちは「行け!」「走れ!」と叫んでいた。
 僕もアスカもまるで自分が走っているかのように握った拳を上下していた。
 バックアップしたライトがようやくボールを手にする。
 三塁コーチャーが手をグルグルと回し続けている。
 1点、2点、そして一塁ランナーがサードベースを蹴った。
 中継のセカンドからホームに矢のような送球が。
 クロスプレーだ。
 本塁上でランナーとキャッチャーが激突した。

 一瞬、球場に静寂が訪れる。
 どっちなんだ?セーフだろ?
 僕はアンパイヤの両手が横に広がるものと固唾を呑んで見つめていた。
 しかし、無常にもアンパイヤは右手を大きく上に突き上げた。 
 アウトだ…。
 球場に歓声が溢れた。
 ただ三塁側の一角だけが失望の溜息を漏らしている。
 そして、一斉にどさんという音を立ててみんなが席にへたりこんでしまった。
 握っていた拳を広げると汗でびっしょりになっていた。
 その掌に白い手が合わさった。
 その白い掌も汗でびしょびしょだった。
 首を横に向けるとアスカが残念そうに、でも少し笑いながら僕を見つめている。

「惜しかったね」

 僕の言葉に彼女はにっこり微笑んだ。

「パパのヤツ、後でとっちめてやるわ」

「え?」

「だってもう少しで逆転ホームランじゃない。もう、情けないったらありゃしないわ」

 その偉そうな言葉に僕は笑ってしまった。
 僕は視線を二塁ベース上のラングレー選手に向けた。
 彼はじっとライトスタンドの方を睨んでいる。
 腕組みをして、ぴくりとも動かず。
 その後姿に僕は感動してしまったんだ。
 多分物凄く悔しかったんだと思う。
 もう少し上だったら逆転満塁ホームランだったんだから。
 だけど結果は2点二塁打で、まだ1点負けている。
 ヒーローになれたのにとかではなくて、単純に結果が悔しい。そんな風に見えた。
 初めてだった。
 ヒーローじゃない人をカッコいいと思ったのは。

「もう、パパったらカッコつけちゃってさ」

「でも…カッコいいよ。凄く」

「……アリガト、シンジ」

 ちゅっ。

 ここ数年聞いたことのない音が頬で鳴った。
 幼稚園に入るまでは母さんがことあるごとにホッペにちゅっを仕掛けてきていた。
 僕の頬が柔らかくて好きだったんだそうだ。
 その音を久しぶりに聞いて、アスカの唇が僕の頬に触れたことを自覚するまでに数秒かかった。
 慌てふためきアスカの方を向こうとすると、掌で頬をおさえられてしまった。

「あ、あの」

「見ないでよ。恥ずかしいじゃない。ただの感謝の印よ。
 もう!日本人はこれだから困っちゃうな。リンダと同じよ」

「あ、えっと、どうも…」

 彼女はこうしてどんどん僕の心を虜にしていったんだ。
 何しろ僕は無抵抗だったしね。
 アスカは声を励まして、僕の頬を指ではじいた。

「ほら、まだ1点負けてんのよ。応援しなきゃ!」

「うん!」

 その後、僕とアスカは並んで声が嗄れるまで声援を送った。

 

 

 結局、試合は4対3で阪急ブレーブスが勝った。

「負けちゃったね、シンジ」

「うん、もうちょっとだったのにね」

 2塁ベースにいたラングレー選手の代走が三塁にも進めないまま、肩を落としてベンチに歩いていた。
 この時代ではベンチ前での勝利の握手やそんなものはなかった。
 ただヒーローインタビューだけが一塁側のベンチ前で行われていて、それには目もくれずに三塁側の近鉄ファンは帰り支度に余念がない。

「ラングレーの姉ちゃん、惜しかったなぁ」「見直したで」「家帰ったらあんじょう言うといてや」「また来ぃや」

 周りの人は口々にアスカに声をかけて帰っていく。
 僕には何も声をかけないけど、肩を叩いたり髪の毛をぐしゃぐしゃにしていったり。
 新しい近鉄ファンへの祝福なんだろうか?
 それよりも可愛い金髪の美少女と一緒だから、からかっていたのかもしれない。
 そんな僕には帰り支度なんかなかったんだけど、さっさと帰る気持ちにはなれなかったんだ。
 もちろんそれはアスカの所為。
 せっかく仲良くなった彼女と簡単にサヨナラなんてできるわけがない。
 だって好きになっちゃったんだから。
 この時の僕が目の前にいたなら、頭を思い切り撫でてあげて欲しいものを何でも買ってあげるだろう。
 ここでとっとと帰るなどとんでもないことだ。
 僕の妻の記憶に因れば、この時の僕は唇を噛みしめてただじっと待っていたらしい。
 もちろん何を待っているかはすぐにわかった。
 ここで悪戯好きの彼女がよくもまぁからかいの言葉などをかけなかったものである。
 そんな言葉をかけられでもすれば、お子様の僕などは一たまりもなく打ちのめされてしまっただろう。
 そのことを妻に感謝すると、彼女はしきりに首を捻っていた。
 何故そうしなかったのかと。
 この世の中で僕ほどからかい甲斐のある相手はいないそうだ。
 とにかく、この時は彼女の気まぐれで…ということにしておいてあげよう。頬が真っ赤になっていたから…、
 きつい言葉をかけられず、逆に嬉しいお誘いを受けてしまったんだ。

「シンジ、パパに会う?これから」

「えっ、いいの?」

 アスカはにやっと笑った。

「と〜ぜんじゃない!私はラングレーの娘なんだから!」

「う、うん!ありがとう!」

「じゃ、お友達に言ってきなさいよ。一緒には帰らないからってさ」

「わかった!あ、ここに帰ってきたらいいの?」

「あたり前田のクラッカー、てね」

 金髪の女の子にこの台詞は似合わない。
 僕は回廊を疾走しながらそう考えていた。
 二人に連絡だけして、早くアスカのところに戻らないと。
 鈴原君と相田君は一塁側の同じ場所にいた。

「おっ、弱タンの近鉄ファンがきよったで」

「おいシンジ。お前、とんでもないスケベだったんだな」

 早速これである。
 まあ、二人にしてみれば仕方がないかもしれない。
 阪急ファンを増やそうと考えていたのに、その僕はなんと敵側の近鉄ファンになってしまった。
 その上学校では見ることもできないような金髪の美少女と仲良くなっているのだから。
 まあ、まだ阪急が逃げ切ったからよかったのかもしれない。
 これで逆転負けでもしていたら、思い切り機嫌が悪かっただろう。

「ご、ごめんね!詳しくは明日学校で話すからさ」

「な、何やて?ほなお前これからどこ行くんや?」

「まさか、あの外人の女の子とデートじゃないだろうな?」

 詰め寄ってくる二人に敬意を表して、僕は2歩後に下がった。

「ち、違うよ。デートなんかじゃないよ。アスカのお父さんに挨拶するんだ」

「な、何やて?おとんに挨拶ぅ?」

「ち、ちょっと早いんじゃないのか、それは!」

 誤解している。
 このまま放っておいてもよかったんだけど、学校で何を言われるかわからない。

「そんなのじゃないよ。アスカのお父さんはラングレー選手なんだ」

 そう言った途端に、僕は二人に飛び掛られた。

「ほ、ほんまか?それ、ほんまのことか?」

「さ、サイン。いや、写真だ。写真撮らせてくれよっ!」

「ま、待ってよ!く、苦しいっ!」

 鈴原君にヘッドロックをされて、相田君にはその首を揺さぶられている。
 だ、だめだよ。こんなことをしてる暇はないんだ。
 彼女に置いていかれる!
 そんなことになったら、二度と彼女には会えなくなっちゃうじゃないか!
 僕は焦った。

「ちょっとアンタたち。私のシンジに何乱暴すんのよ!」

「うへっ!」

 この時からだ。
 僕が彼女の所有物になったのは。
 僕の妻曰く、別にこの時が最初ではなかったそうだ。
 2階席でうどんを買ってきたときから、僕を自分のものにするのだと決めていたらしい。
 但し、公の場で公表したのはこの時が最初。
 緩んだ鈴原君の手からやっとの思いで逃れて声の方を見上げると、
 まばらになった観客席、その座席の上に運動靴のままアスカが立っていた。
 黄色いワンピースを風に靡かせながら。

「あ、アスカ!」

「シンジ!私が来たからには、もう大丈夫よっ!」

 この頃はまだ『好き!すき!!魔女先生』は放送されてなかった。
 『プレイガール』は母さんが見させてくれなかったし。
 つまり僕にはカッコいい女の人っていうビジュアルがまるっきり存在しなかったことになる。
 ということで、アスカは僕の中でカッコいい女性の第一号となったんだ。
 もちろん、それは現在においても同じだ。
 あの大阪ドームの一塁側内野自由席に颯爽と立つ彼女の姿を想像していただきたい。
 年は40を越えているけれどとてもそうは見えない。
 外国人は皺さえなけりゃ年はごまかしやすいのよ!と、にこやかに笑う僕の妻。
 彼女は仁王立ちして…さすがに座席の上じゃないけどね…、よく通る声で野次を飛ばす。
 ところがその内容はほとんどの人間はわからない。
 どうしてかと言うと、ラングレーさんが引退後に買った牧場のある、ケンタッキーなまりの英語で野次を飛ばしているからだ。
 彼女と30年以上一緒にいる僕が内容を掴めないんだから、まず誰にもわからないだろう。
 僕の妻曰く、ストレスの溜まる主婦生活の鬱憤をここで晴らしているそうだ。
 さて、それはさておき、この時のアスカは本当にカッコよかった。
 ただ僕は彼女のパンツをこの二人に見られないかと、それだけが少し心配だったけど。

「わ、わ、私の、やとぉ?アホか、シンジはお前のもんやあらへんど。
 こいつは宝○小学校のもんやっ!」

「アホはお前だ、トウジ。意味が違うぞ」

「そうなんか?」

 この第一声は忘れて欲しいと随分後になって鈴原君はアスカに言って来たが、時すでに遅し。
 後の鈴原夫人にもこのエピソードはしっかり伝えられていた。
 勘違いは誰にもあるもんやと、ことあるごとに彼はぼやいている。

「アンタ馬鹿ぁ?さっさとシンジから手を離しなさいっ!」

 はっきり言うと、このとき二人とも完全に僕から手を離していた。

「早くしなさい!さもないとライダーキックくらわすわよっ!」

 僕は今でもその時の気持ちをはっきり覚えている。
 アスカは絶対に蜂女の役はしてくれないだろうって事を。
 いや、昨日の夜に『怪異!蜂女』を見たばっかりだったからだと思う。
 当然、彼女は女ライダー以外の役は認めなかった。
 夏休みに彼女の家にお邪魔したときに、初めてしたライダーごっこ。
 僕は彼女が助ける仲間の滝の役ばかり。
 え?ライダーと滝だけでどうやってライダーごっこをしてたのかって?
 恥ずかしいから詳細は書かない。絶対に書かないよ。
 さすがに小学生の間しかその遊びはしなかったが、数年前に『クウガ』を見ていた突然彼女が思い出して、この年で滝を演じさせられたんだ。
 その騒々しさに部屋を覗きに来た、息子と娘は僕を助けてはくれなかった。
 二人ともこめかみを押さえて首を振りながら扉を閉めてしまった。
 きっと馬鹿な両親を持ったと嘆いていたことだろう。
 さて、この時もちろんアスカはライダーキックを炸裂はしなかった。
 鈴原君と相田君は半ば呆気に取られてしまったからだ。
 僕たちの学校でライダーキックを知っていそうな女子なんかいそうにないもんね。
 みんなやっぱり『マコちゃん』だろう。
 この点だけで、鈴原君と相田君の中でアスカの株は大きく上がった。
 まあ、それよりもプロ野球選手の娘だってことが一番だったんだろうけど。

 僕は座席を駆け上がるとアスカの隣に立った。

「ごめん、アスカ」

「ホント、びっくりしたわよ。向こうで見てたらいきなり飛び掛られてたんだもん」

「えっ!じゃ、3塁側から?」

「へへ。通路をすっ飛ばしてきちゃった」

 舌を出して笑う彼女に僕はどんどん魅せられていった。
 こんな僕のために、走って助けに来てくれるなんて。
 どうして回廊を全力疾走して駆けつけたのか、ご本人にもわからないらしい。
 とにかく一塁側で羽交い絞めにされた僕の姿を見た途端に、身体が勝手に動いていたそうだ。
 回廊では何人かのおじさんを蹴散らしてきたらしい。
 で、彼女の結論。アスカは宇宙の歴史が始まってから『シンジの味方』なのだそうだ。
 その僕のヒーロー…じゃないヒロインに、鈴原君と相田君はじわじわと迫ってきた。

「何よ、アンタたち。ホントにライダーキックかますわよ!」

「ち、ちゃうねん。サイン、サインや!」

「サインも欲しいけど、写真!」

「はん!アンタたち阪急ファンでしょ!いくらシンジの友達でもそんなの許さないわ!」

「せ、せやけど、サイン欲しいんや。こ、この帽子に」

「アホ。ブレーブスの帽子にサインする近鉄の選手がいるか」

「いくわよ!シンジ」

 アスカは二人に冷たく背を向けた。
 僕は両手を合わせている拝んでいる二人に顔を引き攣らせながら愛想笑いをするしかなかった。
 シャツの襟をアスカに掴まれていたから。
 明日学校でどんな目に遭わされることやら。

 一度、外に出てアスカに連れられていったのは選手用の通用口。
 さすがに顔パスじゃなかったけど、しばらくしてからアスカと僕は中に入ることができた。
 第一印象。
 大きい!
 僕の父さんも背が高いけどやせているからね。
 ラングレーさんは全部が大きかった。まるで大魔神みたいに。
 でも大魔神のような怖い目じゃなかった。
 青くて優しそうな目で僕たちを見下ろしていたんだ。

「パパ、紹介するわ。ボーイフレンドのシンジよ」

 いや、参った。
 いきなり僕はボーイフレンドに昇格していた。
 さすがに父親だ。一瞬だけ大魔神の怖い目になったから。

「ほう、いつの間にアスカは日本人の友達をつくったんだ?」

「そんなのどうでもいいじゃない。シンジ、この大きいのが私のパパよ!」

「惣流・ハインツ・ラングレーです。はじめまして」

 少しだけたどたどしいけど流暢な日本語で、大きな手が差し出された。
 自分の手の倍以上はあるその手を僕は握りしめようとした。
 だけど、僕の薬指や小指たちはラングレーさんの毛むくじゃらの手の甲の半ば辺りを彷徨っている。 
 この手がプロの手なんだ。

「碇シンジといいます。こちらこそはじめまして」

「ねっ、シンジっていいヤツでしょ。今度うちにも遊びに来させるからね」

「えっ!あわっ!」

 多分アスカのお父さんよりも僕の方が驚いたと思う。
 まあお父さんも僕の手をぐいっと握り締めたんだから、それなりの思いはあったと断言できる。
 だって、手が砕けるかと思ったんだもん。
 だから、最初の「えっ」はアスカに驚かされて次の「あわっ」は手が痛くて叫んだんだ。

「ちょっとパパ!何すんのよ。シンジに怪我させたら一生パパと口聞かないからね」

 そ、そんなこと言う方が怖いんですけど。
 この時のアスカのお父さんの気持ちは今になってみるとよくわかる。
 もし娘がボーイフレンドを家に連れてきたら…絶対に機嫌が悪くなるだろう。
 息子が彼女を連れてきた時は素直に嬉しかったのだが。
 リツコ君は見かけはクールだが可愛い娘だ。
 初めて家に来た時は…ごほん…、その夜は妻に折檻された。
 息子の恋人を見る目がいやらしかったと。
 まあ折檻といってもCSの近鉄の中継を見させてくれないということなのだが…。
 これは地獄だ。
 リビング横の応接室に監禁され、妻や子供たちが一喜一憂している声を聞かされるのだ。
 しかもその日の試合はノリとローズのアベックアーチで逆転勝ちしたんだ。
 僕がどんな悪いことをしたというのか。
 ただ心優しい娘はその日の試合をDVD−RWに録画しておいてくれていた。
 みんなが寝静まってからPLAYボタンを押すと、再生されたのは相手の攻撃シーンばかり。
 優しきレイは丁寧に編集までしてくれていたようだ。
 だから僕はリツコ君に色目など使っていないのに!
 妻と娘はどうも意識過剰だ。
 ああ、また脇道に逸れてしまった。
 とにかく親とはそういうものだ。
 ラングレーさんがむっとくるのは仕方がない。
 となると、例え11歳であってもちゃんと自己防衛機能が作動する。
 僕はにこりと笑った。

「惜しかったですね。もう少しでホームランだったのに」

「ああ、あれか」

 ラングレー選手はにやりと笑った。

「ヤンキースタジアムなら平凡なセンターフライさ」

 彼の狙いはずばりと当たった。
 単純な僕はその台詞と笑顔に惚れてしまったんだ。
 だってカッコいいじゃないか。

「こら、パパ!カッコつけるんじゃないわよ、もうっ!
 シンジ?こんなのに誤魔化されちゃダメよ。
 だいたい、いっつもそうやってうやむやにしてるんじゃない。
 私はパパの笑顔なんかに誤魔化されないわ。何よ、そんな笑顔。
 そんな芝居っ気たっぷりの笑顔より、シンジの笑顔の方がずぅ〜といいんだもん」

 ははは、勘弁してよ。
 ラングレーさんの笑顔が固まっちゃったじゃないか。
 
 その日、僕は生まれて初めてスポーツカーというものに乗った。
 恥ずかしかったけど、気持ちよかった。
 神戸の家に帰る前にわざわざ僕の家に送り届けてくれたんだ。
 ガムをくしゃくしゃ噛みながらハンドルを握るラングレーさんは上機嫌に見えた。
 車なんかバスとタクシーにしか乗ったことがなかったんだから。
 自家用車どころかスポーツカー。
 花形満が乗っていたようなオープンカーで、真っ赤なボディが信じられないくらいカッコいい。
 その車で家の前に乗りつけたんだけど、そこで問題発生。
 アスカが僕の家にお邪魔すると言ってきかなかったんだ。
 そりゃあ僕には異存はないけれど、さすがにお父さんに悪い。
 試合の後なんだからゆっくりしたいだろうと思うし、明日は東京に移動だって言ってたから。
 そうアスカに言うと、彼女は唇を尖らせて座席のクッションに身体をめり込ました。

「助かったよ。早く家に帰りたくてね」

 ラングレーさんが僕にウィンクする。

「はん!ママに報告したいだけでしょ。タイムリーヒット打ったって」

「アスカ!」

「だって、本当のことじゃない」

「あ、あの…、今日はありがとうございました。
 こんなカッコいい車に乗せてもらって」

「ふふ、かまわないよ。また見に来てよ、球場に」

「はい!行きます。絶対に」

「OK!次は必ず勝つからね」

「はい!がんばってください」

 固い握手。
 本当にカッコいいや。

「またカッコつけちゃってさ。
 あ、シンジ、来週の日曜日遊びに来るからね」

 ぎゅっ!

「痛いっ!」

「パパ!」

「あ、すまない」

 また思い切り握られてしまった。
 骨折してるんじゃないだろうか。
 思わず手をひらひらさせてしまう僕だった。
 ……って、あまりの痛さに彼女の言葉を理解するのに数秒経ってしまった。
 その間に、ラングレーさんはアクセルを踏みしめた。
 ぎゅうるるるっ!
 アスファルトでタイヤが鳴る。

「じゃあな、坊や」

「シンジ、来週よっ!絶対に遊びに…」

 その後は聞えなかった。
 物凄い勢いでスポーツカーが坂を駆け下りていく。
 後部座席からアスカが一生懸命手を振ってくれている。
 僕ももちろん千切れんばかりに手を振る。
 でも、あっという間に車は見えなくなった。
 事故、起こさなきゃいいけど。

「今の誰?」

「わっ!」

 母さんが音もなく背後に立っていた。
 振り返ると、母さんはもう見えなくなっているのに手をかざして坂の下の方を見ている。

「驚かさないでよ」

「何言ってるの。驚いたのはこっちよ。
 うちの息子がスポーツカーに乗って帰ってきて、可愛い金髪の女の子とデートの約束してるんだから」

「う、うん。そうだよね。僕もびっくりしてるんだ」

「ふ〜ん、それじゃとことん取り調べてあげましょうか。家に入りなさい、シンジ」

 その時、僕は心配だった。
 アスカはちゃんとここに来ることができるんだろうか?
 宝塚南口駅まで迎えに行かなくていいんだろうか?
 日曜日だってことしか聞いてないんだし。
 僕は家に入る前に、もう一度坂の下を眺めた。
 もう一度、会えるんだよね?君と。

 母さんの追及は熾烈だった。
 アスカが近鉄の選手の娘だってことよりも、
 美人で可愛い金髪娘とうちのアンポンタンがどうやって仲良くなったかの方に興味があるようだったけど。
 きっとこの話題で父さんと酒盛りするんだろうな。
 その父さんは日曜日だというのに“くだらん”接待を受けにゴルフに出かけていた。
 案の定夕方に帰宅した父さんは悔しがった。
 息子のガールフレンドの顔を拝み損ねたからだ。

「大丈夫よ、あなた。来週家に遊びに来るんだって、その子」

「ほう…ではそれまでの我慢か」

「どうせ接待なんでしょ。だから父さんはいなくても…」

「ユイ、私は来週は発熱の予定だ。いいな」

「あら、いいんですか?」

「ふん、問題ない。どうせまたゴルフだ」

「だったら、夜の接待の方も発熱すればいいのに」

「それはできん」

「まあ随分と素早い返事ですこと…」

「僕、部屋に上がってるね」

 どうも雲行きが怪しくなってきた。
 この二人の息子を10年と11ヶ月もしていると、夫婦喧嘩の前兆は容易く感知できるんだ。
 父さんにはそれがわからないらしい。
 子供の僕はそれが不思議でたまらなかった。
 大人になった僕は父さんがわざとそうしていたことがよくわかる。
 要するに母さんにかまってほしかったわけだ。
 ただ、時々父さんはやりすぎる時がある。
 この時も一言余計だった。

「シンジ」

「何?」

 階段の途中で振り返った僕に父さんはにやりと笑った。

「初めてのときはだな…」

 ばしぃいいんっ!

 父さんの頭に丸めた雑誌が炸裂した。

「あなたっ!」

「いや、しかし、シンジはまだ…」

 ばしぃいいいいんんっ!

「シンジ、いいから早く上がりなさい」

「う、うん」

 いくらなんでも父さんの心配は早すぎた。
 だって、どうして父さんが叩かれたのか僕にはわからなかったんだから。 
 その僕たちの初めては……なんてことは書けるわけがない。
 それは僕とアスカだけの秘密だ。
 絶対に誰にも教えてやるもんか。

 

 翌日。
 月曜日だから当然学校だ。
 集団登校で8時過ぎに校門に到着し、3階の教室へ。
 後の扉から教室に入ると、黒板の前にみんな集まっている。
 何だろうと思って、机にランドセルを置いたときだった。

「おおっ!センセ、現れたな」

 人だかりをかき分けて鈴原君が顔を覗かした。

「あ、おはよう。昨日は…」

 昨日のことを詫びようとしたんだけど、みんなの雰囲気が変だ。
 にやにや笑って僕を見ている。
 どうしたの?いったい。

「まあ見ぃや。ほれ」

 鈴原君が黒板の前にいた連中を押しやる。
 黒板が見えた。
 そこにはチョークで大きく相合傘が書かれていた。
 その傘の下には僕の名前と“ラングレーの娘”が並んで書かれていた。
 まあ仕方がないだろう。僕はアスカって名前を呼んでいたけど、あの騒動で二人が覚えているわけがない。
 だからラングレーの娘って書いたんだろうけど。
 そして、その相合傘の横に写真が貼ってあった。
 よく見えないから、僕は黒板に近づいていく。
 で、よく見えた。
 僕の頬にキスをしているアスカの写真。
 僕は呆然とした。
 こ、これは…!

「どや、よう撮れとるやろ。ケンスケのカメラの腕は凄いわ」

 素早く振り返ると、鈴原君の隣で相田君がにやにや笑っている。
 僕は思わず叫んでしまった。

「ケンスケっ!」

「な、何だ」

 初めて名前で呼ばれて、身構えるケンスケ。
 トウジも驚いている。
 この時からだ。二人を呼び捨てにできるようになったのは。
 ただ、二人は完全に取っ組み合いになるものだと誤解していたようだ。
 僕はケンスケの前につかつかと歩み寄った。

「これ、もう一枚欲しいんだけど」

 教室は数秒間静寂に包まれた。
 あれ?僕、何か変なこと言った?

 だって、アスカにも一枚あげたかったんだから。

 アスカのことになると妙に大胆で周りのことに鈍感になってしまうのは、
 このころからまったく変わっていないようだ。
 トウジたちが僕をからかっていたということを知るのは、1時間目が終わってからだった。
 やはり昨日の事を根に持っていたらしい。
 強引に置いてけぼりにしてしまったからね。
 だから、ケンスケの家にある暗室…目張りした押入れでこの写真を即行で現像と焼付けをしたんだ。
 僕が困ると思って。
 結果は僕を喜ばしただけに終わってしまったんだけどね。
 でも、二人にラングレーさんが書いてくれたサインボールを渡すと、
 二人とも大喜びで「これからもずっと友達やで!」ということになった。
 現金なものだ。
 まあ、その行き当たりばったりの友情の誓いは未だに破られていないのだから、トウジもケンスケも律儀な男なのだ。
 その証拠に彼らは現在でもオリックスブルーウェイブのファンだ。
 阪急のイメージはまったくなくなってしまってもね。

 さて、僕の運命的な日曜日の話はおしまいだ。
 だからといって、ここですべてお話を終わらせてしまうとまずい。
 非常にまずいんだ。
 これから二人がどうなったかを書かないと読んでくれる人が欲求不満になる。
 僕の愛する奥さんがそう主張してるんだ。
 その主張に反抗するとどんな目に合わされるか。
 想像するだけでも恐ろしい。
 息子などは名前も書いてくれてないとお冠だし、
 だいたい自分の誕生には近鉄の試合が関わっているではないかと怒っている。
 妻や娘もそうだそうだと並んで頷いている。

 これから二人がどうなっていったのか、
 その成り行きには必ず近鉄バファローズが関連している。
 そうとなれば、僕は書かずにはおれない。

 ということで、もうしばらく僕の思い出話にお付き合いいただきたい。
 まずは…、はは、当然アスカが初めて僕の家に来たところから始めないとね。

 

「幸せは球音とともに」

1971編 下 

おわり 
 
 

 


 

<あとがき>


 超ローカル&ノスタルジックSSの下篇です。
 えっと…、まだ続きます。
 もともとの予定ではこの後のことを長めのエピローグで書こうとしていたのですが、
 1本の長さでは収まりそうもありません。
 ということで、次回はアスカが遊びに来て、それから……というお話です。
 その後は1イベントごとに一作という感じで書いていきます。

 こんなの長く続けていいのでしょうか?
 はっきり言って『EXPO'70』のような劇的なことは起こりません。
 ただ時の流れとともにアスカとシンジの関係が変わっていく(もちろんいい方に)という内容です。

 もし、この後の話でもお付き合いいただけるなら、幸いです。

 では、少しだけ語句の説明を…。

 永淵……永淵洋三。昭和44年の首位打者。というよりも漫画『あぶさん』のモデルという方が有名かもしれない。二日酔いで球場に現れ、ちゃんと仕事をしてそして飲み屋に消えていく。本当の話です。それがたまにあるのではなく、ほぼ毎日だったというのだから凄い選手でした。

 白髪の監督………もちろん、西本幸雄監督です。近鉄というチームを愛すべきチームに作り変えたのは西本さんでした。この人が元気なうちに日本一になりたいものです。

 中沢………阪急の名捕手でした。この人のお嬢さんを教えていたピアノ教師が私の親戚だった…んですけど、当然私は面識はありません。

 センターの選手………当然、福本豊です。彼以外の誰がラングレー選手の猛烈なライナーに追いつきそうになるでしょうか。

 スタンドを眺める選手………この当時のスコアボードに画像など映る訳がありません。ということで、選手たちはよく自分の打った打球が飛んだあたりをベース上で眺めていました。結構その姿がカッコよかったのです。

 困っちゃうな。リンダと同じよ………山本リンダの1966年のデビュー曲。♪こまっちゃうナ。デートに誘われて♪まだ彼女は15歳でした。

 あたり前田のクラッカー………超人気テレビ番組『てなもんや三度笠』で藤田まことが発する決めセリフ。「俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー」提供が前田製菓だったわけです。因みに藤田まことさんは大の近鉄ファンです。前田製菓は大阪・堺の会社で、もちろん現在もありますよ!

 好き!すき!!魔女先生………1971年10月放送開始。かぐや姫先生(菊容子)が地球の小学校で巻き起こす騒動を描いた特撮作品。中盤からてこ入れのために先生はアンドロ仮面に変身して悪と戦うようになりました。もちろん、初期設定の話の方が好きですね。

 プレイガール………『ザ・ガードマン』でも9時からの作品だから中々見せてくれないのに、裸が出てくるこの『プレイガール』を世間の母親が子供に見せるわけがありません。この当時の子供たちはビデオデッキやマイテレビなんて実際に存在することすら想像もしていませんでした。

 怪異!蜂女………『仮面ライダー』第8話。1971年5月22日放送。あ、じゃこの話は5月23日ってことに。あ、調べないでね。この日の近鉄の試合はどこのチームとだなんて。

 滝………滝和也。千葉治郎(千葉真一の弟)が演じていました。FBIの捜査官で、生身で戦闘員のみならず怪人とも戦った凄い人。当然この役を志望する子供は多かった。アスカがこの役をシンジにさせたのは、ピンチになった彼を助けるという快感を求めていたからかもしれませんね。

 クウガ………仮面ライダークウガ。この作品だけは通して見ました。後のはちょっとついて行けませんでした。ごめんなさい。所詮私は円谷派なんですよ。

 阪急ブレーブスの帽子………有名な黒ベースに赤色のツバ。そして赤い“H”のマークの帽子……は1972年から!この作品のときはどんな帽子だったのか!すみません、覚えてません。

 大魔神………佐々木投手のことではありません。大映映画の名キャラクターです。よく『大魔人』と誤記されてます。

 CSの野球中継………凄い時代になったものです。近鉄の試合を全試合見ることができるなんて。もちろん私は加入しています。

 ノリとローズ………もうあのアベックアーチを見ることはできないんですね。

 バスとタクシーにしか乗ったことがない………という子供は多かったんです。実際私の小学校の時代は自家用車を持っている家の子供の数は1/5以下でしたね。

 花形満のオープンカー………バラエティ番組で有名になりましたが、リアルタイムでこれを見た私も「こいついくつ?」と思ってしまいました。

 宝塚南口駅………ショッピングモールのサンビオラができたのが1974年くらいだったと思います。その前の駅がどんなのだったかは正直覚えてません。

 暗室………45分で現像&焼付けができるなんてこの当時のケンスケが知ったらびっくりするでしょうね。写真屋さんに出したら巧くいって翌日の仕上がりでした。だから即写真にしたい人は自力でするしかありません。そのため写真好きな人の家の押入れには現像液の匂いがしていたものです。

 

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