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『ベッドにて』   作:WARA

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コンフォート17。

ここに恋する乙女、惣流・アスカ・ラングレーが住んでいます。
同居人碇シンジを密かに想っていますが、
鈍感なシンジになかなか伝わらず、想いが募る日々を過ごしています。
なんとかシンジの方から振り向いて欲しいと願っています。

そして、すでに真夜中。
想いを明日に託して、きっとアスカは寝ていることでしょう。

少しアスカの部屋を見てみましょう。

断っておきますが、覗きをする訳ではありませんよ。
少し様子を窺うだけですよ。





アスカの部屋です。
結構片付いています。
自分の部屋はちゃんと片付けているんですね。

大きなクローゼットがあります。
身だしなみに気を使うので、沢山の洋服があるんでしょうね。
特にぬいぐるみ等は見当たりませんが、殺風景ではありません。

ベッドがあります。
アスカは寝ているでしょうか?

おや?
アスカはいません。
一体どこにいるのでしょうか?





「わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
 何でここにアスカがいるんだよぉぉぉぉぉぉぉ!」

シンジの叫び声です。
一体どうしたのでしょう?

どうやらアスカがシンジのベッドに忍び込んでいるようです。

「ちょっと、アスカってば。」

シンジは慌ててベッドを飛び出したようです。
アスカを起こそうとしています。

アスカの目は虚ろです。
トローンとしてます。
まだ、寝ぼけているのでしょうか?

アスカは無言のままです。

「アスカってば。」

シンジが起こします。
アスカは無言のまま部屋を立ち去りました。

「一体なんだったんだよぉ。」





そして二日後です。

登校するシンジとアスカの姿があります。
おや?シンジが非常に眠そうです。

それもその筈、昨日もアスカがベッドに忍び込んで
飛び起きたシンジです。

アスカが出て行った後も、興奮して眠れなかったようです。
無理もありませんね。
同じ年の女の子が寝ているところにやってくるのですから、
仕方ないといえるでしょう。

「アスカ、本当に覚えてないの?」

「覚えてないわよ。
 意識があったら、誰がアンタのとこに行くもんですか。」

シンジ、ホントにホントよ。
アタシはそんなにハシタナイ女じゃ無いのよ。
でも、もし意識があったら………(妄想中)………いやんいやん。

「よう、シンジに惣流。なんや惣流、腹でも痛いんか?」」

アスカは妄想と同時に、両腕を胸に当て、
身をくねらせていたようです。

めちゃくちゃ怪しい行動ですが、
トウジが鈍感で助かりましたね。

「な、なんでもないのよ。」

「そうかぁ?でもえらい顔が赤いでぇ?」

「何でも無いって言ってるでしょっ!」

「折角人が心配してやってんのに、何言いよるねん。」

「フン。」

「相変わらず、いけ好かんやっちゃなぁ。
 ほんま、センセも大変やのう。
 って、センセはセンセで、眼の下にクマができとるでぇ。
 あんまし寝てへんのんとちゃうか?」

「う、うん……ちょっと、ね。」

「寝不足はよぉ〜ないで。はは〜ん。さてはみんなが寝静まった頃に、
 ひとりでやらしぃ〜いビデオでも見とったんやろぉ?」

「そ、そんなことしないよ。」

まさか、ビデオよりもっと刺激的なことがあったとは
言える筈もありません。

「シンジぃ。素で返してどないすんねん。」

「僕は関西芸人じゃ無いんだよぉ。」

「あ〜、重ね重ね素で返しおってからにぃ。
 まぁ、シンジにこういうネタ振ったんは失敗やったかなぁ。
 お、そういえば惣流。昨日の夜どっか出かけへんかったか?」

「アタシ?コンビニには行ったわよ。」

「そうかぁ。じゃ、やっぱり惣流やったんか。
 せやけど、あんな夜中に出歩くのは感心せえへんなぁ。」

「夜中ぁ?アタシが出かけたの7時ぐらいよ。」

「おっかしいなぁ。ほんなら見間違いやったんやろか?
 惣流は目立つから間違えることあれへんと思うとったんやけど……。」

外国の血が入ったアスカは目立ちます。
確かにそうそう見間違える筈がありません。

「いや、昨日な。ケンスケんとこでゲームしとったら夜中になってしもうたんや。
 帰りがけに惣流を見かけたと思うてな……声かけたんやけど反応無いし。
 おかしいと思うとったんや。ほなら、ま、気にせんとってや。」

「アタシのような美少女が世界に二人といる筈ないじゃないっ!
 ねぇ、アンタの目、腐ってんじゃないの?」

「なんやてぇ?もいっぺん言うてみぃ!」

「目だけじゃ無く、耳も悪いのねぇ?あら、失礼。
 ついでに頭も悪かったかしら?。」

「なんやとぉ。それをゆ〜ならお前は口と性格が悪いっちゅ〜ねん!」

「なんですってぇ!」

「やめろよ。トウジもアスカも。」

シンジが仲裁に入ります。

やっぱりアスカはいつも通りだよなぁ。
だったら夜中はどういうこと?
悪い夢でも見てるのかな?
一度カウンセリングに連れていった方がいいのかなぁ。
でもアスカが素直に行くって言うかなぁ。

仲裁しつつ、そんなことを考えるシンジでした。




翌日。

アスカとシンジが登校中。
今日もシンジは目の下にクマができています。
途中でトウジとケンスケも合流しました。
更に向こうからお下げの少女が現れました。

「あ、アスカ。おはよう。」

「ヒカリ。おはよう。」

ヒカリも加わって、5人になりました。

「ねぇ、アスカ。今朝どこ行ってたの?」

「え?」

「呼んだのに返事してくれないし。」

「ええ〜?いつ?」

「明け方よ。弁当の材料買い足しにコンビニにいったらアスカを見かけたのよ。」

「人違いじゃない?アタシそんな時間に出かけてないもん。」

「間違い無くアスカよ。目の前を通りすぎたんだから。」

「うそぉ!」

「なんや委員長も見たんかいな。
 やっぱなんかおかしいでぇ。シンジ。
 お前なんか心当たりないんか?」

「そういえば最近僕が寝ている時アスカが
 忍び込んで来てるなぁ。あれも関係あるのかな?」

「ちょ、ちょ、ちょっとぉ。アンタ何てこと言うのよっ!」

アスカがビックリしています。
それ以上にビックリするのが他の3人です。
と言いますか、すでに引いてしまっています。

「な、なんやてぇ。最近シンジが寝不足やと思ったら、
 お前らそんな関係やったんか。」

「いやぁ〜んな感じ。」

「アスカ。碇君。二人とも不潔よ!」

「ち、違うんだ。全く……ってことも無いけど、誤解だよ。」

今日も賑やかな登校風景です。






「やっぱりアスカどっかおかしいんじゃ無い?」

学校が終わってリビングで話しています。

「おかしいのはアンタでしょ。
 いきなりあんなこと言い出して。
 ったく、心臓が止まるかと思ったわよ。」

「も、元はと言えばアスカが原因じゃないか。」

「何よ。アタシのせいだって言うの!」

アンタのせいよ。
きっと、無意識の間にアタシがシンジに吸い寄せられちゃうんだわ。
そうよ。間違い無いわ。

アスカが都合の良い理論を頭で展開しています。

「もう。とにかく失言だったよ。
 それより、アスカ。本当に夜中に出かけたりしてないの?」

「全く覚えがないわ。ホントにみんなが見たのアタシかしら?」

「委員長は間違い無いって言ってるし。
 少なくとも僕のベッドには……あ、いや……
 と、とにかく、ちょっと疲れているのかもしれないね。
 最近毎日シンクロテストが続いていたから。
 さっきリツコさんには今日は休むって連絡しておいたから。」

「うん。」

「今日は早く寝た方がいいよ。」

「そうするわ。シンジの暴言のせいで疲れちゃったし。」

「だから、そもそもアスカが原因だろ?」

「何もみんなの前で言うことじゃ無いでしょ〜がっ!
 ほんっとアンタって抜けてるんだからぁ!」

「僕が悪いのかよ!迷惑してるのこっちだよ。」

「なんですってぇ。このアタシの添い寝なんて光栄なことでしょ〜が。」

「もういいよ!早くシャワー浴びて寝てよ。」

夕食を食べて、シャワーを浴びた後、
アスカは自室に戻ってベッドに入りました。

あ〜あ。またシンジとやっちゃったよ〜。
もっと素直になれたらいいんだけど。
大体、アタシに押しかけて貰いながらシンジの奴、何もしないなんて……
そんなにアタシって魅力無いのかなぁ。

ベッドにアスカがへたり込んでいます。

違うわ。
きっとシンジが超奥手なのよ!
だから、もうひと押しすれば……

今度はスクッと仁王立ちしながら
すこ〜しばかり危ない思考に入りました。

って、意識が無かったらでき無いわねぇ。
でも、もし意識があれば………(妄想中)………いやんいやん

ベッドに横になりながら危険な妄想モードに突入したアスカは、
そのまま夢の世界へ入っていきました。





シンジはシャワーを浴びたあと、
アスカの部屋の前まで行きました。

トントン

「アスカ。寝た?」

小さな声で呼びかけます。
返事はありません。
どうやらぐっすり寝ているようです。

今日は大丈夫かな?

安心したシンジは自室のベッドに転がりこんで、
安眠につきました。





うう……重いな。

寝苦しくなったシンジが目を覚ましました。

「ア、アスカ!」

今日もアスカがベッドに忍びこんで、シンジの上に覆い被さっています。

「アスカ。起きて!」

心臓がバクバク。

アスカから逃げようとシンジがもがきました。
すると背中に慣れない感触がありました。

や、柔らかい……
ハッ
逃げなきゃ駄目だ
逃げなきゃ駄目だ
逃げなきゃ駄目だ

シンジが呪文のように繰り返しています。

「ア、アスカ。起きてよぉ!」

なんとかかんとかアスカの下から抜け出しました。
するとアスカは黙って部屋を出ていきました。

はぁはぁはぁ
今日のは危なかった……
でも、さっきのは柔らか……ハッ
僕は何を考えているんだ。

シンジも男のコですねぇ。
でも顔を振って自分に喝を入れているようです。

それより、アスカだ、アスカ。
絶対おかしい。
明日は学校が休みだし……よし。

そう思ったシンジはアスカの様子をみようと後をつけることにしました。





ガタン

玄関から音がしました。
アスカが玄関を出て行った音でしょう。

やっぱり外に出てたんだ。
トウジや委員長の言ったことは本当だったんだ。

シンジはアスカを追いかけました。

アスカはゆっくりした足取りで歩いて行きます。
着替えもせずに出て行っています。
お洒落なアスカらしくありません。

やっぱりアスカ変だな。
服もだけど、髪の毛すら梳かさないで出かけるなんて。
絶対アスカらしく無いや。
それに一体どこに行くんだろう?

近所のコンビニの前も通り過ぎます。
買い物ではないようです。

最初は隠れるようについていたシンジですが、
アスカは一向に気づく様子がありません。
一定距離で後をつけることにしました。
やっぱりアスカは気が付きません。

らしく無いな。
一体どうしちゃったんだろう?

やがて見覚えのある場所までアスカは行きました。
そこでアスカは歩くのをやめました。

ここって……

そこは、高台の広場でした。

シンジとアスカのユニゾンの時、アスカが「傷つけられたプライドは
じゅ〜〜う倍にして返してやんるのよ!」と誓った場所です。

そうです。
シンジとアスカのユニゾンが成功するきっかけとなったあの場所です。

ここでアスカは何をしようとしてるんだろう?

アスカは高台から街の方へ向いています。
しかし別段何をする訳ではありません。
ただボーっとしているだけです。

時折星でも見ているように上を見ますが、
焦点が合っていないようです。

15分ぐらいそこにいたでしょうか?
アスカが歩き出しました。
帰るのでしょうか?

ゆっくりとした足取りで歩いて行きます。
途中どこに寄るということも無く、無事マンションまで戻りました。

一体アスカはどうしちゃったのかな?
夢遊病ってやつなのかな?





翌朝。

学校が休みですのでアスカはゆっくり起きてきました。
今日は午後にNERVでテストがあるだけです。

「アスカ。おはよう。」

「おはよう。朝食ある?」

「うん。ねぇアスカ。食べたらNERVに行こう。」

「え、昼からでしょ?シンクロテストは。」

まだ10時前です。
食事が終わっても時間は十分余ります。

「昨日の夜中、自分が何をしてたか覚えている?」

「寝てたに決まってるでしょ。」

「それはそうなんだけど……。
 何か夢を見た?」

「ど〜してアンタにそんなこと話さなきゃならないのよ。」

昨日のアスカの行動をシンジは説明しました。

「ホントにアタシが出かけたの?」

「そうだよ。何も覚えてないんだ?」

「ええ。」

「夢は?」

「え?ゆ、夢ねぇ……。」

言い淀んでいます。

ま、まさかシンジとデートする夢だったとは言えないしぃ。

「見たの?見なかったの?」

「見たけど。日中に出かける夢だったわ。」

一応嘘では無い無難な返事をしました。

「そう……。やっぱり夢遊病なのかなぁ。
 とにかく、リツコさんとこに行こうよ。」

「そうねぇ。」





「っで、こういう感じで。」

「ふ〜ん、夢遊病ねぇ。」

リツコにシンジが一通り説明をしたところです。
アスカは覚えていないので、ここはシンジに任せています。

「私は科学者であって、医者では無いわ。
 NERV付属病院の先生を紹介しとくわ。それでいいかしら?」

「勿論、それでもいいんですけど……。」

「何かしら?」

「ひょっとしてEVAに関係があるんじゃ無いかな〜と思ったんです。」

「でも、シンジ君の言う通り夢遊病じゃないかしら?」

「最近シンクロテストも続いているし、
 その疲れとか……あとは、そのテストそのものに何か関係があるとか?」

「疲れだとしたら、私の管轄外ね。
 テストが直接原因というのは……精神的に問題が起こるほどのレベルのテストは
 やってない以上考えられないわ。」

「EVAの、その、何て言うんでしたっけ……精神汚染は?」

「あり得ないわね。この位のレベルでは。
 万が一何かあったら、シンジ君やレイだって問題が起こる筈でしょ?」

「そうですねぇ。でも、アスカだけが早く兆候が出たとか?」

「アスカよりシンクロ率の低いシンジ君やレイの方がテストの時間が長いのよ?
 その上、女性の方が耐性が強いから、出るとすればシンジ君が
 真っ先にくる確率の方が高いわね。」

「そうですか。」

EVAのことはリツコが一番良く知っています。
そのリツコにあり得ないと言われればそれまでです。

「時間以外はみんな同じ条件でテストしてわけだし……
 ねぇ、どうしてテストのせいだって思うのかしら?」

「最近テストの時に、今までの自分の感覚と違うな
 って思うときがあるんです。
 だから、そのせいかな?って。」

「あっそうだわ。それで思い出した。
 一つだけ、3人とも異なる条件があるわ。」

リツコは何か心当たりがあるようです。
内線で連絡を始めました。

「あ、マヤ。忙しいところ悪いんだけど、調べてくれないかしら?
 先週やっていたテストで使ったLCLの成分調査をお願いしたいの。
 え?勿論成分表はここにあるわ。
 そうじゃ無くて、実際使ったものを改めて分析して頂戴。
 ええ。時間は構わないわ。今日のテストは中止にするから。
 では頼んだわね。」

シンジとアスカは興味深くリツコを眺めていました。

「二人とも、もうちょっと待ってね。」





30分後、マヤから内線がありました。

「こっちのモニターに回して頂戴。
 ああ、来たわ。忙しいところ悪かったわね。」

カタカタカタ

リツコがキーボードを叩いています。

「やっぱり……」

「どういうわけなんですか?」

「LCLよ。」

「LCL?」

シンジとアスカが同時に聞き返します。

「シンクロ率と戦闘上での数値を上げる為、
 最近LCLの改良を進めていたの。
 もともとLCLには精神安定効果をもたらすものを配合してあるの。
 精神を落ちつけ、シンクロしやすいようにね。
 ここまでは分かるかしら?」

二人が頷きます。

「その上で、個々の性格に合わせた開発をしているの。
 例えばシンジ君の場合、やや内向的で消極的なところがあるから、
 一種のアドレナリン分泌作用をもたらすようなものを投与してみたの。
 他にも色々試している最中なんだけど。」

「そんなことしてたんですか。」

「ええ。まだ実験だし、今のところ数値に差異は現れ無かったけれど。
 そして次にアスカの場合。
 アスカは逆に少し勝気で戦闘中に興奮気味になるところがあるから、
 鎮静剤的なものを投与したの。」

「ちょっとぉ。アタシのどこが興奮気味だってぇ?!」

「その怒りっぽいところが興奮っていうんじゃないかしら?」

「そ、そんなこと無いわよぉ。って、なんでシンジも頷いているわけ!」

リツコさんの言う通り、そのままじゃ無いか……

心の中でシンジは突っ込んでいました。

「とにかくアスカにはそういう配慮をしたのよ。
 スムーズなシンクロをしやすくする為に投与する
 精神安定効果のものとは別にね。
 ただ、その実際の投与量が私が指示したものより多かったことが
 さっきのマヤの調査で分かったわ。
 そうするとどうなるか……ってことなんだけど、
 簡単に言えば麻薬と同じね。」

「麻薬〜?!アンタ、何てもんを投与するのよぉ!」

「別に麻薬そのものじゃないわ。
 作者が医学知識の希薄な無能者なんで細かい説明は割愛するけど……。」

そうリツコが前置きしました……

「例えば痛み止めとかでも、強いモノだと
 痛み以外にも他の感覚を麻痺させたり、眠気を誘発したりするわよね?
 あんな感じで今回投与した鎮静剤は、量が過ぎると麻薬のように
 感覚が麻痺したり、意識が薄れたり、幻覚作用を誘発したりするわけ。
 その副作用が今回の夢遊病を引き起こしたのね。」

「それは治るのよね?治らないんだったら、ただじゃ済まさないわよ。」

「大丈夫よ。放っていても薄れていくし、
 一応その作用を浄化する点滴を用意するから。
 シンジ君は先に帰りなさい。
 あとは私に任せてもらえばいいから。」

「はい。」





リツコの研究室でアスカの点滴が行われました。

「ねぇアスカ。」

「何よ。」

「貴方シンジ君のことが好きなんでしょ?」

「な、何よ。藪から棒に。」

「さっき言わなかったけど、今回の幻覚作用って
 自分の中の意識外の精神、深層意識が増幅されるのよ。
 シンジ君のベッドに忍びこんだり、
 想い出の地にフラフラと出かけたり……
 一体どういうことなのかしらねぇ?」

「な、何かの間違いよ。」

ちっ、このマッドに弱みを握られたら、何をされるか分からないわ。
大体シンジが鈍感だから悪いのよ。
早くアタシの気持ちに気づいてラブラブになっちゃえば問題無いのにぃ。

「ふ〜ん。そういうことにしておきますか。」

リツコが怪しい微笑を浮かべています。

何が『ふ〜ん』よ。
アタシに変なもの投与しておいてバカにするなんて、
(確かに当たってるけど)許せないわねぇ。
やられたらやり返すのがアタシのモットーよ!

実際、後日マヤを威して、例の鎮静作用の成分を入手し、
リツコのコーヒーに入れ、
NERV本部で夜中徘徊するリツコの姿が見られたとか……
アスカを怒らせると恐いですねぇ。

でも、この状況は使えるわね……
そうなれば即断即決、作戦開始よ!

アスカは何かを企んだようです。





点滴を終えたアスカは家に戻りました。

「お帰り。」

「やっと終わったわ。」

「もう大丈夫なの?」

「ええ。念の為、調べてもらったけど、もう兆候は無いから大丈夫だって。」

まずは、シンジを安心させないとね。

「そう、良かったね。」

「ええ。」

今日は安心して寝れるな。

そう思ってシンジはベッドに入りました。





夜中。

「わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!
 アスカ。まだ治ってなかったの?!」

「あ、シンジ。あれアタシ。」

「あれじゃ無いよ。どうして僕のベッドにいるのさ。」

「大丈夫よ。今日は意識がハッキリしてるもの。
 きっと最近、無意識にベッドに入りこんじゃってたから、
 アタシの意識に関係無く、ここに来る習慣がついてしまったのかしら?」

前もって練習しておいたセリフを言います。

「と、とにかく、自分のベッドで寝てよぉ。」

「勿論よ。怒るのならリツコに文句を言ってよ。
 べ、別にアタシが好きで来たわけじゃ無いんだから!」

アスカは自室に戻りました。

僕はいつになったら安眠できるんだろう……





しかし翌日もアスカがベッドに入りこんでいます。
シンジの正面にアスカがいます。

「わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!ア、アスカ。起きてよ!」

しかしアスカは起きません。

ア、アスカの胸元が……
ハッ
見ちゃ駄目だ
見ちゃ駄目だ
見ちゃ駄目だ

呪文のようにシンジは繰り返しています。

シンジのヤツ、意識してるわね。
よ〜し。

アスカは両腕で挟むように寄せ上げます。

わっ、結構おっきいな……
ハッ
意識しちゃ駄目だ
意識しちゃ駄目だ
意識しちゃ駄目だ

呪文のようにシンジは繰り返しています。

フフフ、あともう一押しね。

ギュッ

アスカはシンジに抱きつきました。

「わ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ!ア、アスカってばぁ!」

シンジは意識が遠のき始めています。

うふふ、効いてる効いてるぅ〜。
よ〜し、トドメの一発よ。





チュ





シンジは無言になりました。

これで決まったかしら?





アスカとキスした
アスカとキスした
アスカとキスした

ベッドの中でアスカとキスしちゃった





わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……

もう駄目だよぉ……アスカ……





       シンジ  ついに撃沈

 

 

 


 
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<アスカ>当サイトではWARA様の第1作目よ!
<某管理人>おおきに、ありがとうございます。
<アスカ>シンジ撃沈!撃沈よ!やったぁっ!
<某管理人>撃沈ゆうことは、シンジはん海の底に沈んでしもうたってことで。
<アスカ>アンタ馬鹿ぁ!って言うと思ったでしょ。実はそうなのよ。シンジは私という深い愛の海の底に沈んでるの。
<某管理人>あかん、末期症状や。

 WARA様1作目。
 リツコのヤツ、とんでもないことをしてくれたわよね。
 でも、転んでもただでは起きないのが関西人!
 はい?私はドイツ人じゃないのかって?はん!声だけ関西人なのよ!
 ふっふっふ。それでシンジをゲットだもんねぇ。私はやっぱり天才よっ!

 WARA様、素晴らしい作品をありがとうございました!
  

 

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