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『あのぉ……』   作:WARA

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快晴の朝。
夏の強い陽射しが照りつける第三新東京市。
と言いましても、ご存知の通り、セカンドインパクトにより
常夏となっております。

その強い陽射しの中を登校する2名の姿。
男のコと女のコのようです。

男のコの名前は碇シンジ。
少し顔立ちは整っているものの、どこにでもいる普通の少年です。

女のコの名前は惣流・アスカ・ラングレー。
頭脳聡明・容姿端麗のスーパー美少女です。

二人は毎日一緒に登下校していますが、
アスカに理由を尋ねると『義務だから仕方無しに』だそうです。

実際、教室に入るとシンジはトウジとケンスケのところへ、
アスカはヒカリのところへと、それぞれ行動が別になりました。





「おはよう。」

シンジがトウジとケンスケに挨拶します。

「おう、おはようさん。って、なんやシンジ。
 頭にえらい大きなコブできてるで。どないしたんや?」

「ああ、ちょっと、アスカにね。」

「は〜、またアスカかいなぁ。
 先週は捻挫や言うてなかったか?」

「うん。」

「同棲っていうのも大変やのう。」

「ちょっ、トウジ。同棲じゃないよ。同居だよ、同居!
 ミサトさんだって一緒に住んでるじゃないかぁ。」

「せやけど、今週ミサトさんは出張やろ?」

「碇は羨ましい立場だよ。
 まぁあの性格は置いておいても、あの美貌とあのスタイルだろ?
 一緒に住めるのは羨ましい限りだよ。」

「そやそや。まぁ、頭がそないになるまでどつかれるのは堪忍やけどなぁ。」

やはり年頃の中学男児。
女のコと同居しているシンジの立場は羨ましいようです。





1時間目が終わり、休憩時間です。

「今日に限って言うたら、メシより楽しみな時間や。」

2時間目は男子は自習です。
女子はプールの授業です。

男子生徒は煩い委員長のヒカリがいない自習ということで喜んでおりました。
しかし、約2名は違うようです。

「任せておけ、トウジ。今日は丁度最新のコンパクトデジカメを持って来てるんだ。」

「ほんまか、ケンスケ?」

「ああ。多少暗くても全然OKな優れモノだ!
 これならフラッシュで見つかる心配も無いぜ。
 しかも超望遠機能搭載。
 思いっきりズームで撮れるぜ。」

「くぅ〜、こりゃぁごっつう楽しみやな。
 そうと決まれば早速行動開始や。」

「ちょっと待てよ。碇のヤツは誘わないのか?」

「シンジはこういうのあんまし興味なさそうやし。
 そもそも、羨むべき立場やからな。」

「それもそうだな。その気になればアスカだって覗けるんだしな。」

「そういうこっちゃ。ほんじゃぁ、相方。行くで!」

「了解!」





早速二人は場所を移動しました。
プールの着替えは空いている教室で行われます。
使徒戦で疎開も多く、空いている教室には事欠きません。

「ここらしいな。委員長には気をつけなあかんで。」

「ああ、勿論だ。静かに移動だ。」

ミリタリーマニアのケンスケはホフク前進で行動します。
トウジも腰を落として忍び寄ります。

近づくにつれ女子の黄色い声が聞こえます。
特に少し高目の少女の声が目立って聞こえます。
そうです、アスカの声です。

トウジとケンスケは隙間を探しています。

「どや、この辺から覗けるか?」

「ちょいと厳しいな。
 着替え始める前に早く良いスポットを確保しないと……。」

「おっ、この隙間ならいけるんとちゃうか?」

『っで、さぁ……』

アスカの声が隙間から良く聞こえます。

『シンジのアレを見てたらますます大きくなるのよ。
 ビックリしちゃった!』

な、なんや?
シンジのアレって何のことや?

『少しさすってみたら、さらに大きくなっちゃって。
 シンジも顔をしかめるし。』

『ええ〜っ!』

どうやらアスカの相手はヒカリのようです。
トウジとケンスケにとって超要注意人物ですが、
今はそれどころではありません。

『っで、そうこうしてると、何か変な液が出てきて……』

『うっそぉ〜〜。』

『なんか透明でヌルってしてるしぃ。』

「お、おい、ケンスケ……」

「トウジ……どういうことだ?」

カツ……カツ……カツ……

「やばい、誰か来よった。」

「階段まで全速避難だ。」

二人は階段まで避難しました。
体育の先生が通りすぎました。
しかし、二人はそのまま動けませんでした。

「なぁケンスケ。シンジと惣流って……」

「ああ、まさか、そういう関係だったとは……」

「おい越後屋、こうなったら如何にすべきか。」

「やはり問い詰めるべきでしょうな、お代官様。」

二人は覗きを途中終了。
教室に戻り、シンジに詰め寄ります。





パコーーーン

いきなりトウジがシンジの頭をはたきました。

「い、痛いなぁ、トウジ。」

シンジは涙目です。

「ワイはお前がそんなヤツだったと思わんかったで。」

横でケンスケもうんうんと頷いています。

「はぁ?何か知らないけど、ホントに痛いよ。
 コブがあるの知ってるだろ?」

「そないなもん、ワイの心の痛みと比べれば屁でもない。」

「そうだ。まさか碇が中学生の身でありながら……。」

「ちょっちょっと待ってよ。一体何の話?」

「胸に手を当てて考えてみろ。昨日の晩、何をしてたんや!」

「晩?別に……。」

「惣流と何かあったんやろ。白状せい。」

「え?え?え?」

少しシンジが戸惑ってるようです。

「やっぱり何かあったんだな、碇。」

「な、なにも無いって。
 ちょっとふざけててアスカに吹っ飛ばされてコブが出来た。
 それだけだよ。」

「う〜、しらばっくれよるなぁ。」

「ホントにホントだよぉ。」

「ま、二人に何があっても、俺たちゃ関係無いけどな。
 でも、中学生なんだから程々にな。」

そう言ってトウジとケンスケは立ち去りました。





しかし、次の休み時間に、二人が覗きの最中に聞いたことを
巻き散らかします。
昼休みには男子生徒の全員に知れ渡っていました。

「な〜んか、視線を感じるわねぇ。」

アスカとシンジが昼食を摂っています。
普段はトウジにケンスケ、さらにヒカリが加わるのですが、
ヒカリは生徒会で、残る二人は今日は遠慮するとのことです。

「そうだね。」

「ホントにアンタ気づいてんの?」

「うん……少しは。」

「どうだか。アンタってホント鈍感なんだから。」

「そんなことないよぉ。」

「にしてもちょっとおかしいわ。
 あとでヒカリに聞いてみるわ。
 シンジはあの馬鹿二人に聞いてみて。」

「それが、二人とも口を利いてくれないんだ。」

「どうして?」

「さぁ、僕にはさっぱり……。」

一応、自習の時間のやりとりを説明しました。

「ふ〜ん。二人が何か絡んでいるのかしら?」

生徒会から帰ってきたヒカリにアスカが相談しました。





放課後。
お下げの少女が般若の形相で仁王立ちしています。

「す〜ず〜は〜らぁ〜!相田く〜ん!」

非常に低いトーンです。

「は、はい!」

「な、なんでございましょう?」

パブロフの犬状態で直立不動の二人です。

「あんた達、何てことしてるの!」

ヒカリはカンカンに怒っています。
マズイとトウジは直感で感じています。

「な、なにがやねん。ワイら別になにも……。」

「問答無用!」

バシーーーーン
バシーーーーン

ヒカリの箒が二人の頭に炸裂しました。

「い、痛ぇ……」

「ちょ、ちょっと待てや、委員長。
 一体何の話や。」

「あんた達、覗きをした上にありもしない噂を広めたでしょ?」

「はい?」

「しらばっくれるのもいい加減にしなさい。」

バシーーーーン
バシーーーーン

「わ、わ、痛いがな。た、確かに広めたで。
 覗きをやったことも事実やし、それは悪いって認めたる。
 せやけど、噂は噂や無い。本当のことや。
 本当のこと言うて何が悪いんや。」

「アンタバカぁ〜?」

ヒカリの後ろからアスカが姿を現しました。
アスカの後ろにはシンジもいます。

二人の悪事を知った時にアスカはヒカリと同時に走り出したのですが、
トウジの悪行と知るやいなや、文字通りヒカリは光速で
教室へ突入したのでした。
恐いですね〜。

そして廊下で見つけたアスカに呼びとめられ、シンジも合流したのです。

「おう、惣流か。
 ワイの言うてること間違いあるんか?ええ、言うてみぃ。」

ヒカリと異なり、アスカ相手だと本来のペースが取り戻せるようです。

「そうだ。言い訳できるなら碇も言ってみろよ。」

「いいわ、アタシが説明してあげるわ。
 シンジにコブがあるの知ってるでしょ?
 あれはアタシが突き飛ばしたからよ。」

「それは知っとるがな。」

「シンジがあまりに痛そうにしてるから様子を見ていると、
 コブが出来てるじゃない。
 しかも見ているうちにどんどん大きくなるの。
 流石のアタシもビックリして撫でてあげたら、
 シンジは痛そうだし、ますます腫れるし。
 その上怪しい膿か何か分からない液体まで出るし。
 慌ててNERVの病院へ行ったのよ。
 それをヒカリに話していたわけ!
 何か文句あんの!ええっ?!」

トウジとケンスケは固まっています。
こうなると名誉毀損の容疑確定です。
あとは刑の執行を待つのみです。

よせば良いのにトウジは最後の反撃に出ました。

「せ、せやけど委員長。
 アレがどういう噂か分かっているってことは
 委員長もたいがいスケ……」

ですが、みなまで言うことはできませんでした。

パキパキ

ヒカリが指を鳴らしています。

「アスカ。先に私からでいいかしら?」

鬼の形相のヒカリを見たアスカは、言葉を出せず首を縦に振るだけでした。

「そ、惣流。ちょっとした悪い冗談やった。悪かった。」

アスカは知らんぷりです。

「シ、シンジ。ワ、ワイが悪かった。
 た、助けてくれ……。」

親友の決死の懇願ですが、この状況にシンジも助太刀できません。

「天誅〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!」

バシーーーーン
バシーーーーン

バシーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

最後の3発目でトウジ瀕死。

「さ、次はアスカの番よ。」

そう言われても、もはや残骸と成り果てたトウジです。

「ま、今日はこれくらいで勘弁してやるわ。
 とにかく、アタシとシンジは何でも無いの。
 これに懲りて、二度と変なこと言うんじゃないわよっ!」

「へぇ、アスカって寛大なのね。
 じゃ、代わりに私がもう一発!」

バシーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーン

トウジ殲滅。

今日ほどヒカリを恐いと思ったことのないアスカでした。

一方的にトウジに攻撃が集中したため、ケンスケは最初の2発ですみました。
こういう時は目立たない存在で救われますね。





そして下校。
シンジとアスカはいつものごとく一緒に歩いています。

「そうだ、シンジ。アタシちょっと買い物あるから先帰っていて。」

「うん。でも僕も夕食の材料買うから、アスカの方が先かもしれないよ。」

「分かったわ。じゃ。」

「うん。」

アスカが家に戻ると、シンジは先に帰っていました。

「アスカ、お帰り。やっぱり僕の方が早かったみたいだね。」

「シ、シンジ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぃ。」

タタタタタタタタタタタタタタタタタタ……
ジャーーーーーンプ

「うわぁ、アスカ。」

「だって、だってぇ、早く抱っこして欲しかったんだも〜ん。」

そうです。
帰るやいなや、ダッシュでシンジに抱きついていたのです。

「もう、アスカは甘えん坊だなぁ。」

「だって、だってぇ、学校では普通にしないといけないって
 シンジが言うから我慢してたんだもん。」

「でもそれで昨日僕がふっとばされたんだよ。」

「う〜〜〜。ごめんなさぁい。」

「その前は捻挫だしぃ……」

「うう……ごめんなさぁい。」

ウルウルウル

アスカは涙目です。

「気を付けてね。」

シンジは優しく諭しました。

「ハ〜〜〜〜〜イ。」

アスカは笑顔を取り戻しました。

「しかし今日はビックリしたね。」

「鈴原と相田のこと?」

「そう。てっきり僕達のことバレてたんだと思ったよ。」

「そうね。でも、アタシ達プラトニックな関係だもんね〜。」

「うん。別にやましいことはしてないよ。」

「そうよぉ。ただアタシ達は”す〜ぱ〜らぶらぶぅ”なだけなんだからぁ。」

「うん。」

「ねぇ、ただいまのキッスぅぅ。」

「ええぇ?今?」

「今でないと”ただいまのキッスぅ”じゃ無いもん。」

「しょうがないなぁ、アスカは。」

チュッ

「はい、これで満足した?」

「あ〜ん、駄目ぇ、もっともっとぉぉ。」

「もう、アスカは甘えん坊さんなんだから。」





ブチューーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー





あのぉ……シンジ君、アスカさん。
こういうのってプラトニックって言うんでしょうか?





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あとがき

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怪電波がやって来て訳の分からないモノを書き上げてしまいました。
ま、たまには暴走しても……

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<アスカ>WARA様の当サイトでの4作目よ!
<某管理人>おおきに、ありがとさんです。
<アスカ>鈴原のヤツッ!
<某管理人>ははは、思い切り誤解されてしまいましたなぁ。かなわんやっちゃ。
<アスカ>くぅっ!アンタも関西弁よね、そういえば!
<某管理人>うわ!なんか嫌な予感…。
<アスカ>ヒカリに殲滅を任せちゃったから、ちょっと欲求不満なのよねぇ!
<某管理人>ぎゃっ!お助けぇ!

 はははっ!逃げちゃった。
 さぁて、WARA様4作目。
 らぁぶらぶっ!私とシンジは、す〜ぱ〜らぁぶらぶうっ!
 秘密でラブラブってのもいいものよね。
 外で甘えん坊になるのはもうちょっと後にしましょ。ねぇ〜、シンジぃ〜。

 WARA様、素晴らしい作品をありがとうございました!
  

 

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