暖かな日差しが、町全体を優しく包んでいる。

すべての人たちの気持ちを、暖かく、そして優しくする。

そんな素敵な季節。

春。

このバスの中も、そんな静かな雰囲気に満ちている。

隣に座るアイツの肩が触れるたび、アタシの心は微かに揺れる

そっと、窓から外の景色を見れば、桜がゆるやかに揺れていた。

バスが静かに揺れる。

さっきまで、隣で笑いあっていたアタシ達、今はただ静かに前を向いている。

こういう雰囲気も、シンジとならイヤじゃない。

ガトゴトとバスに合わせて揺れる吊革。

くっついては離れ。離れてはくっつく。

暖かな日差しに目を細めれば、微かに春の香りがする。

その中に、微かにある。

アタシの心を包む。アイツの香り。

シンジの髪の毛からは、アタシと同じシャンプーの匂い。

わずかに触れあう肩。

それだけでも、アタシの心臓は悲鳴を上げる。

「もう、春だね」

唐突に、シンジがそう呟く。

隣にいる、アタシだけに聞こえるような、そんな微かな声。

ちょっと横を見れば、嬉しそうにアタシを見るシンジの顔。

「ア、、、アンタバカァ?」

他に何て言って良いのかわからなかった。

誤魔化すように、熱くなった顔を窓の外へと向けた。

「馬鹿ってどういう意味さ」

少しおかしそうに、そう言うシンジの言葉に、普段感じられない余裕を感じて、アタシはちょっとだけムッとした。

「アンタはいつだって馬鹿なのよ」

アタシはちょっと強気でそう言うと、停車を知らせるボタンを押した。

ビー。

「ほら、降りるわよ」

わかってるってば、もう。

そう言いたげなシンジの顔を見て、アタシはちょっとだけ、笑った。

プシュ。

バスのドアが開き、外の世界に出る。

少し強めの風に、スカートの裾が揺れる。

つつみこむような日差しに、心がなごむ。

いつもの調子が出てきたみたいだ。

「さっ!帰ろ!」

おもわず、ハナウタを唄ってしまう。

アタシ達の春が、また今年もやってきた。



                        


                    
         

 

シアワセ

                            

 

ふじさん

 



                                        







「そういえばさ、おば様に言われたのよ」

バス停から家へと帰る、わずかな距離。

楽しむように、ゆっくりと歩く。

「なにを?」

ぼけぼけっとした表情で、気持ちよさそうに歩いているシンジ。

「シンジの勉強、みてあげてねって」

アタシはおかしそうに、横からシンジの顔をのぞき込みながらいった。

「えー」

「えーってなによ。えーって。アスカ様に勉強見て貰えるのよ?本来なら土下座してでも頼むべき事よ?」

「そんな事言ったってさぁ…」

ったく母さんも余計な事言って…。

唇を尖らせて、ぶつぶつと独り言のように、そう呟く。

「なーに!?アタシに勉強教わりたくないわけ?一人じゃすぐさぼっちゃうくせに」

まったく、今のシンジの成績じゃ、同じ高校いけないのよ?

本当にわかってるの?

「でもさ、勉強するっていっても、だいたい夜でしょ?おそくに、男の子の部屋にいるなんて、感心できないな」

まるで、名案でも思いついたかのように、嬉しそうにそう言う。

「いくらお隣だって言ったって、おじさんだって…「ふっふーん!」

シンジの甘い考えなどに、してやられるアスカ様ではないのだ。

「大丈夫よ。その点は!」

アタシはシンジの前に回り込むと、ピンッとシンジにデコピンをした。

「った」

もー。

ちょっとふくれっ面に、そう言う。

同年代の男の子にくらべても、その仕草はどこか子供っぽい。

女の子みたいな顔。

本人は、とてもきにしているようだけど。

今更おじ様みたいな顔になっちゃったら、それはとてもイヤ。

あんなふうに、髭が生えてくるのかしら。

ちょっと想像してしまって、複雑な気分。

「大丈夫ってなにさ」

不意なシンジの一言に、現実に引き戻される。

「ふふふ、バカシンジには到底考えつかない、MiracleでUltraなIdeaよ」

「マイコー?」

今度は、ほっぺをギュッとつねった。

「ミ ラ ク ル !」

「ひゃい」

シンジが納得したところで、Ideaの説明をする。

すっと、軽く息を吸い込む。

大丈夫。

あんなに一生懸命に考えたのだから。

「Live Cameraって知ってる?」

「ライブカメラ?」

いつだか、ケンスケがそんなことを言っていたような気がするけど…。

「シンジの言うみたいに、夜に部屋に行くことは、難しいと思うわけ」

どうしても早口になってしまう自分に、ちょっといらだつ。

「だからさ、お互いのPCにカメラを付けておけば、わからないところ、すぐ教えてあげられるでしょ?」

どう、すごい名案でしょ?

声がうわずり、早口になり、そして震える。

ほんの思いつき。

だけど、自分の気持ちがばれてしまわないかと

アタシは不安にもなる。

「そんなの買うお金無いよ。お小遣いもう殆ど残ってないし」

よかった。

ここまでは予想どおり。

シンジのお小遣いがないことくらい、ちゃんとお見通し。

「そんなことだろうと思って、ママにお小遣い前借りして、シンジの分も買っておいたわ」

くるっとシンジに背を向けて、歩き出す。

押し切らなきゃ。

へんてこな理屈だってよくわかってる。

でも、夜でも顔を見て話が出来るって素敵でしょ?

家に帰ったら、ずっとパソコンを付けっぱなしにさせておくの。

シンジが何しているか、チェックできるしさ。

それに、シンジの勉強を見てあげたいって言うのも本音。

ママにお小遣い前借りしてまで買ったんだもん。

アタシの考えなんて、ママにはお見通しなんだろうけど。

「そんなの僕の勉強のためなのに、悪いよ」

「悪いと思うんなら、一生懸命勉強すること!良いわね!」

それに、シンジにいっぱい奢らせて、一緒に出掛けるんだから。

「えー…」

「 い い わ ね ! 」

「…はい」


YES!! Missions Complete!!















「む〜」

アタシがシンジの部屋で、ぱらぱらと雑誌を読んでいると

机のパソコンへと向かっているシンジは、Live Cameraの設定に四苦八苦。

アタシもシンジも、PCに関しては、ちんぷんかんぷん。

買ったはいいけど、使えない。

これじゃもったいないもの。

ここはシンジに一つがんばって貰わないとね。

相田とかに聞けば、すぐわかるんだろうけど、ちょっと恥ずかしいじゃない?

二人だけの秘密。

すぐにばれちゃう気もするけど、ね!

ぽかぽか陽気に、なにもすることのないアタシは流石に眠くなってきた。

「ふぁ…」

シンジにばれないように、あくびを慌ててかみ殺す。

がんばってるんだし、あくびは失礼よね。

「あ、アスカ眠たいの?」

そんな、アタシのちょっとした変かも、シンジはいつもすぐに気がつく。

「ん、大丈夫」

そう言う矢先に、もう一つあくびさんこんにちわ。

「ぷっ」

シンジはおかしそうに、少し笑うと

「無理しなくていいよ。今日だってホントは疲れてたんでしょ?」

まただ。

さっきまでの幼かったシンジは消え。

少し大人びたシンジが顔を出す。

「むぅ」

そんなシンジが気に入らない。

嬉しいんだけど、うれしくない。

そんなアタシの気持ちも無視。

「ベット使っていいよ。終わったら起こすから」

幼いシンジと成長していくシンジ。

幼いアタシと成長していくアタシ。

「ん」

アタシ達のこんな関係もイヤじゃない。

でも、少し違った関係も、きっとイヤじゃない。

シンジの言葉に甘えて、アタシはベットに横になる。

タオルケットを口元までグッと引き寄せる。

そんなアタシを見届けると、シンジは優しそうに笑ってから、再びPCへと顔を向けた。

全身がシンジの匂いにつつまれている。

そんな気分。

ふと、シンジを見れば、春の暖かな光につつまれて、少し大人びた顔に見えた。

長いマツゲ。

女の子みたいな顔。

薄いピンク色の唇。

キラキラと光る髪の毛。

アタシの大好きな

そう、アタシの大好きな黒い瞳。

「…ほんと、馬鹿なんだから…」

ちょっとは、他のことも気づきなさいよね。

うとうととする中で、アタシはそんなことを考えていた。
























ふー。

一つ大きく息を吐く。

ぐっと、両手を上げて、硬くなった身体を伸ばしていく。

ちらっと横を見れば、スヤスヤと幸せそうにねているアスカの姿。

似合わないと思うけど、少しだけ苦笑いをしてみる。

やっぱり似合わないことに気づいただけだった。

キィ。

椅子を回転させて、アスカの方に身体ごと向ける。

少しきしんだ音に、目を覚ましてしまわないかと、息を潜めて見守る。

「ん…」

顔に前髪がかかり、少しむずがっている程度だ。

髪をそっと、耳にかける。

僕はそのまま、少しだけ髪の感触を楽しむ。

窓から差し込む光に、キラキラと髪が輝く。

まるで、おとぎ話のワンシーンのよう。

本当にそう思う。

『アタシに勉強教えて貰いたくないわけ?』

数時間前の少女のセリフを思い出す。

「別にさ、アスカに勉強教わりたくないってわけじゃないんだよ?」

少女を起こさないように、呟く程度に声に出す。

「でもさ、見栄みたいなもの。僕にだってあるんだよ?」

とくに好きな女の子にはさ。

最後の所だけは、口からは出てこなかった。

同じ高校に進むためには、頑張らなければいけないことは、よくわかってる。

まずは、お姫様が目を覚ます前に、目の前の問題を解決しなくちゃね。

「よし!」

そう言うと、僕は再び作業を開始した。


















「ねぇアスカ」

「んー、なに?ヒカリ」

「あのさ、アスカにとって一番大切なものって、なに?」

「なにそれ」

「あのね、昨日お姉ちゃんが読んでる雑誌みてたら書いてあったのよ」

『あなたの一番大切なものはなんですか?』

「ふーん」

「あー興味なさそう」

「だって興味ないもの」

アハハハっと笑いがおこる。

「なんで、そんなこと聞こうと思ったの?」

「雑誌にはね。アンケートの結果も載ってたの」

『自分が一番大切』

「なんかね、そう言うものなのかなって思ってさ」

「ふーん。まっみんな一番自分が可愛いんじゃない?」

「アスカもそう言う意見?」

「否定はしないわ」

「まーアスカらしいのかな。あっでもちょっと意外かも」

「もーなにがよ」

「碇君が大切って言うかとおもったわ」

「ヒーカーリー!」

「ごめんごめん。でも、自分が一番大切って、なんか寂しくない?」

「べっつにー」

「あ、拗ねちゃった?」

「ヒカリはさぞかし、鈴原のことが大切なんでしょーね」

「ちょ、、アスカ!」

「おかえしよ。 お か え し!」











『アナタの一番大切なものはなんですか?』










…カ。

……スカ。

「アスカ」

ゆらゆらと、身体が揺れる。

ふわふわと、心地よく。

浅い眠りを覚ますように、優しい声が心に響く。

「んっ…」

目を覚ますと、部屋は夕焼けに彩られ、すべてを赤く染めている。

ぼーっとする頭をゆっくりと働かせていく。

目の前には、シンジの顔。

「アスカ、そろそろ起きないと」

夜、ねれなくなっちゃうよ…。

そう言うシンジの声も、どこか遠くで聞こえるささやきのよう。

「ふぁい…」

のそのそと身体を起こす。

肩まで掛けていたタオルケットが、スルッとおちていく。

なんとなく、それを見つめていると、部屋の中に心地よい香りが漂っているのに気がついた。

頭を巡らせて、香りの元を探すと小さな机に紅茶が入れてあるのが見えた。

そのまま、顔をシンジの方へと向けると。

「あ、紅茶いれておいたんだ。喉、乾いてるかと思って」

すこし照れたようすで、アタシにそう言うシンジは、いつもののほほんとした笑顔をしていた。

ずるずるっとベットから身体ごと落ちて、おしりをぺたんっとつく。

それを見ていたシンジが、おかしそうに笑うと、自分の頭に手を当てて、撫でるような仕草をした。

まだ活動をしていない頭で、少しの間かんだえたら、どうやら寝癖がついているらしい。

少し恥ずかしかったから、ちょっと顔を背けて髪の毛を整える。

「砂糖、三つで良いんだよね?」

「ふたつ」

そう言うシンジの態度が、何となくしゃくに障ったので、一つ減らしてみる。

あとで体重計がただしかったことを証明してくれるはずだ。

「はい」

アタシの答えに、軽く驚いてから、シンジは砂糖を『三個』いれて。

その後にスプーンでかき回して、アタシに紅茶を差し出した。

『驚いた』シンジの表情になんとなく満足して、アタシは紅茶を受け取る。

この際、三つ入れたことは見逃そう。

「少し、冷ましてあるから」

かうんたー。

ホントにずるい。

寝起きだし、あんまり熱いのは嫌だろうと思って。

アタシが驚いたのを嬉しそうに見て、シンジは紅茶を口にする。

アタシはというと、何か言いたいんだけど、上手く言葉に出来ない。

やりきれない思いで、しょうがなく紅茶に口を付ける。

ふんわりとした、甘さが口の中に広がっていく。

寝起きには、その甘さと温度が心地よい。

してやられた気分。

色々といってやりたくて、何を言おうかと考えるんだけど、ぼーっとした頭に思い浮かぶのは

さっきまでみていた、夢のこと。

夢なんて、目が覚めたらいつもすぐに忘れたしまう。

なんだっけ。

そう。

いつだったかヒカリと放課後に話した事だったと思う。

たいせつなものはなんですか。

「大切なもの、ねー…」

チラッと横目でシンジを見る。

こいつの大切なものって何かしら。

案外、世界平和とか言い出しそう。

ぴったりすぎるわ。そう思い、わずかに笑いがでる。

「ん?」

首だけかしげて、アタシを不思議そうに見つめてくる。

「どうしたの?」

「べっつにー。ちょっとね」

「ちょっと、なにさ」

「ね、アンタの一番大切なものって、なに?」

唐突な質問に、長いマツゲを揺らして目を大きく開く。

それは、すぐに優しい微笑みへと変わり、考えるように、部屋の中を瞳がさまよう。

「別に、そんなに真剣に考えなくても良いわよ」

あんまりにもまじめに考えているシンジに、アタシはおかしくなる。

「大切なものっか…」

そう呟くと、シンジはアタシをチラッとみた。

軽く心臓がはねる。

ちょっと、なんでそこでアタシを見るわけ?

ねぇ。

「なんでアタシを見るわけ?アタシが大切?まっ世界遺産に登録される程の美貌ってことかしら?」

美しいって罪ね。

あわてて、誤魔化すようにまくし立てる。

喉の渇きに耐えられず、ゴクゴクっと紅茶を飲んでいく。

「ちょ、、ちょっと待ってよアスカ!誰もそんなこと言ってないじゃないか!!」

だいたい、世界遺産ってなんだよ。

シンジのあまりの狼狽ぶりに、逆にアタシは段々と冷静さを取り戻していく。

「なーに慌てちゃってさ。じゃシンジの大切なものって何よ」

「そ、、それはさ、せ、せ、世界の平和だよ」

当たり前じゃないか。

そう言うとシンジは、すましてるフリをして、紅茶を飲んでいく。

あまりに予想と同じ答えに、アタシは笑いを堪えることが出来なかった。

「笑うこと無いじゃないか」

「拗ねちゃって」

「拗ねてないったら!」

「はいはい。わかりましたよシンちゃん」

シンちゃん。

そう呼ばれたシンジは、口をパクパクとするだけで、なにも言いかえせはしなかった。

フフッやっぱりこうでなくっちゃね!

「じゃ、アスカの大切なものって何なのさ」

紅茶を飲み干して、ようやくそれだけ言うと、シンジは空になったティーカップを見つめる。

「そんなの決まってるじゃない。アタシよ。ア タ シ」

はっきりと言い切るアタシに、シンジはカップから顔を上げて、驚きの表情を作る。

その瞳には、一瞬だけ寂しさがよぎっていた。

ぎゅっと、何かをギュッとつかまれたような。

そんな気分。

「アスカらしくないね」

そう言うシンジの瞳には、さっきよぎった寂しさはもう無い。

かるく笑みを作りながら、なんの気負いもなく言う。

「あら、ヒカリはアタシらしいって言ってたわよ?」

その後の言葉は、当然内緒だけれど。

「そう?そうかもね」

「そうかもねって、一体どっちなのよ。もう」

「他の人には、そう見えるのかもねってことだよ」

「じゃシンジには真実のアタシが見えるってわけ?」

冗談のように、ちゃかして言う。

「別に、真実ってわけじゃないよ」

たださ。

一呼吸置いてから、シンジはゆっくりと話し始めた。

「僕といるときのアスカ、みんなの前にいるアスカ。アスカの前にいるときの僕、みんなでいるときの僕」

だから。

「僕と一緒にいるときのアスカには、似合わないなって」

一息にそこまで言うと、シンジは少し、はにかんだ表情を浮かべる。

「そうだ、紅茶おかわりいる?」

いつの間にか、アタシのカップも空になっていた。

それを見たシンジが、たずねる。

空になったカップを見て、一瞬考えるが、時計を見れば、お夕飯が近いことを知らせている。

「いいわ。ご飯たべられなくなっちゃうから」

そう。

短くそう言うと、シンジは別に気にしたふうでもなく、ゆっくりと伸びをした。

「んー流石に疲れたなー」

シンジのそのセリフに、アタシはカメラのことを思い出した。

「そう言えばアンタ、カメラの設定できたの?」

「うん。たぶんだけど、出来たと思うよ」

「なんだか頼りないわね」

アタシのそのセリフに、シンジは苦笑いをするだけだった。

「まっいいわ。後でアタシのもお願いね」

アタシはそれだけ言うと、家へ帰るために、立ち上がった。

「ご飯食べたらいくよ。8時くらいかな」

「りょーかい。じゃ紅茶ありがとね。美味しかったわ」

「どういたしまして」

シンジは優しく微笑みながら、ティーカップを片づけ始める。

両手を使にカップを持って一階へと下りるシンジのために、アタシは部屋のドアを開ける。

「ありがと」

カップを落とさないように気を遣いながら、シンジはそう言った。

「ん」

トントントン。

うっすらと暗くなった階段を二人で下りていく。

「あー、なんだかお腹減っちゃったわ」

今にもなり出しそうなお腹を押さえて、今晩のメニューを想像する。

「美味しいご飯だと良いね」

ママのご飯はいつだって美味しいわ。

アタシがそう言い終わる頃には、階段は終わっていた。

bye。

シンジに軽くそう言うとアタシは玄関に向かう。

「おじゃましましたー!おば様」

大きな声でそれだけ言うと、ドアが閉まる中、おば様の返事が聞こえてきたような気がした。

いつも、自分の家だと思って良いと、おば様は言うけれど、きちんとしないとね。

さぁ、今日の晩ご飯は何かしら。

きっと嫌いなニンジンがでてきても、美味しく食べられるわ。

んーーっと大きく伸びをして、アタシは駆け足で自分の家へと向かった。

暖かくなったけれど、夜はやっぱり少し涼しい。

シンジが来たら、おかえしに美味しいハーブティーを入れてあげよう。

「ただいまー」

中からは、美味しそうなにおいと、ママの返事が返ってきた。


















ハロー ハロー シンジ 聞こえていますか?


ハロー ハロー シンジ 伝わっていますか?


アタシの一番大切なもの。

 
ハロー ハロー シンジ。


それはアタシの幸せです。

 
ハロー ハロー シンジ。


わかりますか?それはアナタの幸せです。

 
ハロー ハロー シンジ 聞こえていますか?


アタシの幸せは、アナタがいなければ意味がありません。

 
ハロー ハロー シンジ 伝わっていますか?


私の一番大切なもの。

 
ハロー ハロー。


それは、アナタと一緒に幸せになることです。

 

 

 


 

 作者のふじさん様に感想メールをどうぞ  メールはこちら

 

<アスカ>ふじさん様から久しぶりに投稿を頂戴したわよっ!
<某管理人>うわぁ、おおきに、ありがとうございます!
<アスカ>見捨てられてなかったみたいね。アンタみたいな馬鹿管理人を。
<某管理人>ホンマにメール見たときは踊り狂ってしまいましたわ!3ヶ月ぶりでしたさかいに。
<アスカ>まあ、そうでしょうねぇ。ふじさん様のはアンタの大好きな雰囲気がたっぷりですからねぇ!
<某管理人>そ、そ、それは…その通りですわ、はい。
<アスカ>特に最後の私のシンジへのラブコールいいでしょ。
<某管理人>そ、そうでんなぁ。き、きっとシンジはんにも伝わって…。はい!きっとやおまへん、絶対にです!
<アスカ>ふん!わかればいいのよ、わかれば。
<某管理人>せやけど、やっぱり管理人てよろしおますなぁ。こうやって一番に作品を読むことができるんですから。
 
 
さぁて、ふじさん様の当サイトへの3作目。
 ライブカメラで二人を繋ぐってお話なんだけど、
 それ自体は書かれてないのよね。

 だって、もうすでに二人の心は繋がってるんだもん。

 だけど、それでもやっぱり実際にシンジが今何をしているかは見てみたいのよ。
 あ、だからといってシンジが変なことしてたら怒鳴りつけておかないとね。
 ん?変なことって私以外の女から電話を受けたりとかそんなことだけど?
 ホントに素晴らしい作品をありがとうございました、ふじさん様。

 

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