花髑髏

 角川文庫・初版 昭和51年4月20日 解説:中島河太郎

  白蠟変化 本文206P
  焙烙の刑 本文40P
  花髑髏  本文74P
  

 戦前の長短編集。
 由利先生に舞い込んだ手紙は、殺人の予告手紙だった。その手紙に誘われて指定の場所に赴くと、長持の中に肩口にナイフを突き立てられた美女。そしてその父は研究室で殺害されていた。その死体の横には、血塗れの髑髏が。
 上記の表題作、悪党白蠟三郎が暗躍する『白蠟変化』、『焙烙の刑』の3作を収録している。何故表題作の3倍近くの長さの長編である『白蠟変化』がこの32冊目のタイトルにならなかったのは不思議である。結果的に素晴らしい表紙絵を見ることができたので、よしとしましょうか。

 

 この表紙を私は大好きです。取っ手が蜥蜴になっているような細部から、いかにも造花っぽい手前の花もいい感じです。女性の顔の方のガラスが一部割れていたり、扉が少し開いているのがさらに趣向を添えていますね。本来髑髏は血塗れの真っ赤にならないといけませんが、頭部の血飛沫に抑えているのも洒落ています。

 

 

 

 

表紙絵メニューへ            次の作品へ