風船魔人・黄金魔人

 角川文庫・初版 昭和60年7月10日 編集構成:山村正夫

風船魔人
黄金魔人
本文115P
本文90P

 横溝正史の長中編ジュブナイル集。
 桜が賑わう上野公園。その上空をサーカスの馬が空に舞い上がっていく。身体のあちこちにつけられた風船のせいなのだ。この驚異的な浮遊力を持った風船を開発したという、風船魔人が次の実験の予告をする。“探偵小僧”御子柴進少年と三津木俊助記者はどう対するのか?
 上記の表題作と短編との2作を収録しています。また巻末には、解説の代わりに、「座談会・横溝正史の思い出を語る」と題して横溝夫人とご長男がいろいろと面白い話を聞かせてくれます。司会役は山村正夫氏で、ここにはその2回目(完)が収録されています。さらに山村氏編纂の「横溝正史少年少女小説著書・作品目録」「(同)雑誌・新聞掲載作品リスト」が巻末に加わり、資料性も抜群です。

 

 リアルなタッチでいわくありげな人物を描いていますが、やはり白馬(文中では白馬との記載はありませんが、天高く飛ぶのは白馬でしょう)とその後ろの黒頭巾の目が印象的です。そして、この文庫では杉本画伯が挿絵イラストもご提供されています。表紙絵とはタッチをまったく変えて、いかにもジュブナイルというほのぼのとさせられるようなイラストです。そのうちの一枚だけを左に貼付しています。

 

 

 

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