怪獣男爵

 角川文庫・初版 昭和53年12月25日 編集構成解説:山村正夫

怪獣男爵 本文224P

 横溝正史の長編ジュブナイル。
 瀬戸内海の真中に男爵島という小島があった。そこに嵐を逃れて逃げ込んだヨットを奪って島から逃げ出したものがある。3年前に死刑になったはずの古柳男爵が、脳を移植して怪獣男爵となって出現したのだ。
 このジュブナイルには金田一耕助は登場しません。なぜならば、この作品が書かれたのは、何と横溝先生の岡山時代というから驚かされる。『本陣』『蝶々』『獄門島』といった名作と並行して執筆されていたのですから。

 

 この作品で、横溝ジュブナイルで一番有名な「怪獣男爵」が登場します。フランケンシュタインのように脳を移植して甦った極悪人。移植したのはゴリラと人間のあいのこのような化け物のため、怪獣王、ゴリラ男爵、とも呼ばれます。怪獣男爵は他の作品にも登場しますが、何より凄いのはこのネーミング。怪獣ブームの遥か昔ですから。

 

 

 

 

 

 

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