横溝正史生誕百十周年記念復刻

 角川文庫・改版二十三版 平成24年5月15日

生ける死仮面
花園の悪魔
蠟美人
本文67P
本文50P
本文88P
本文78P

 金田一耕助の中短編集。
 岡山県のひなびた湯治場。磯川警部に誘われた金田一耕助がその熊の湯を訪れると、ちょうど映画のロケで湯治場は賑わっていた。ロケが終わったあと、滝壷の岩に発見された生首。それは去年の事件とまったく同じであった。
 男色とネクロフィリアを題材にした『生ける死仮面』、温泉宿の花壇で発見されたヌードモデルの死体をめぐる『花園の悪魔』、死体に蠟で肉付けをして生前の容姿を再現しようとする博士の話である『蠟美人』、上記の表題作の4作を収録している。平成のファイルシリーズで改題された短編集です。改題前は『花園の悪魔』でした。その表紙絵は
こちら

 

 生誕百十周年記念で杉本画伯の表紙絵が期間限定ではありますが復活しました。金田一耕助ファイルシリーズで初出したものと同じですが、今回は嬉しいことにフルサイズ(?)での復刻です。
 ただ前回のはまるで生首にスポットライトが当たっているかのような感じでグロ感が強かったのですが、今回の場合は岩、血、生首ともに抑え気味の色調になっていて以前に感じた「うわぁ…」(訳:怖いよぉ)はありませんでした。
 また前回トリミングされていた左右の部分も復活(という表現でいいのか?)していますが、構図の所為かあまり印象は変わりませんね。
 ただし、今回はフルサイズ表紙絵のために、今回の復刻フェア帯が非常に有効活用されています。所謂、<
帯マジック>ですね。つまり、帯で生首になっていることがわかりにくくなっているんですよ。帯を外してびっくり、あわわわわ!って感じです。これは「女王蜂」その参が代表格のマジックです。巧い!

 

 

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