迷宮の扉

 角川文庫・初版 昭和53年12月25日 編集構成解説:山村正夫

 
迷宮の扉
片耳の男
動かぬ時計
本文195P
本文19P
本文15P

 横溝正史の長短編ジュブナイル集。
 三浦半島めぐりを楽しんでいた金田一耕助は、雨宿りのために竜神館という屋敷に逃げ込んだ。その時、一発の銃声とともに一人の男が胸を撃たれて倒れこんできた。一言も言わずに死んだその男は、この屋敷の主の少年の誕生日に毎年現れるという。
 上記の表題作、短編2作の計3作を収録している。ジュブナイルの金田一耕助は、颯爽としていて動きも敏捷。フケもどもりもないという、明智小五郎のような感じです。まあ、いつもの金田一にはジュブナイルから読み始めた少年はとまどうでしょうが。

 

 この作品には、シャム双生児が出てきます。したがって、表紙絵の像は完全な双頭で4本腕になっていて、青い影で描かれているのは、腰のあたりで繋がっているようです。また、それだけで終わらせていないのは、青い影の頭のところに、眼を配置して一見影に見えないように細工しているのです。さらに帯のおかげで双生児の影はまったくわからない状態になっていました。帯を外してはじめて仕掛けがわかるという次第。

 

 

 

 

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