死仮面

 角川書店<新書> 初版 昭和57年1月25日
              おぼえがき:中島河太郎

死仮面
上海氏の蒐集品
149P
59P


 金田一耕助の第10長編。

 八つ墓村の事件を解決し東京へ戻る途中に立ち寄った岡山県警で、金田一耕助は磯川警部から不気味な死仮面の話を聞かされる。東京から逃亡してきた殺人犯の女が腐乱死体で発見され、そのそばにデスマスクが残されていたのだ。
 昭和56年12月28日の横溝先生のご逝去の1ヵ月後に発行された新書です。もともとは『物語』誌に発表後、一切書籍化されなかった『死仮面』を中島氏が行方を調査し、一部欠落の状態で発見。欠落部分を中島氏が補筆した作品です。その後欠落部が発見され、完全な状態になった作品は春陽文庫で読むことができます。また、『上海氏の蒐集品』は絶筆とされていますが、実質は未発表作品となります。昭和40年前後に書かれたものと推察されています。

 

 この新書版で杉本画伯は挿絵も担当されています。『死仮面』で4枚。『上海氏の蒐集品』で2枚です。中でも銀座裏の三角ビルの探偵事務所の光景は特筆モノです。また、このイラストは…私の知識では何で描かれているのかわかりません。鉛筆か、銅版画なのか…?まことにすみません。
 これは完全にネタバレとなります。(
OKの人は反転してください)コンクリートの床に押し付けられた形となった死体の顔。そこをマスターとして作成されたデスマスクが巻き起こす物語です。白い薔薇の花がイメージしているのは、舞台となる女子学園でしょうか。文庫本の表紙はこちらです。

 

 

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