日記(2006年)

2006. 12.27
    研究には集中力が不可欠。また研究のムードというものもあり、それに浸って生活しないと論文は書けない。集中力とムードを高めるには、1週間ほど準備がいる。準備とは、私の場合、ひたすらの乱読。研究中は関係資料しか読まず、乱読できないので、未練を残さぬように乱読する。これは一種の儀式。上智大のH先生を編者とする論文集の出版企画があり、私はこの冬休みに原稿を仕上げるつもり。乱読の儀式は明日終わる

2006. 12.24 クリスマス
    教会づくしの一日(午前に礼拝と昼食会、それから一度帰宅し、夜に再び音楽礼拝)。教会に行けば友だちがいるし、サンタからプレゼントがもらえるので、子どもたちは大喜び。家にいるより、ずっと楽しかろう。教会では学生やゼミの卒業生にも会えた
2006. 12.16
    ・午前は幼稚園の発表会。コータローは歌と踊りを頑張り、妻もコーラス隊を指揮。明るい気分になった。午後は大学で教員採用試験のための経済学講義。
    ・もうすぐ冬休み。昨年の冬は毎日雪かきしながら、ひたすら英書翻訳に励んだっけな。あれは大変だった。アッという間の1年、自己採点すれば80点くらい。皆に支えられたおかげ。最近、教会に全然行っていない。思考や行動を反省する時間をもたず、気付かぬうちに邪道を歩んでいないか?
2006. 12.13 引っ越し完了
    この城に拠り、勝を千里の外に決す。大学の紀要論文を提出したが、締切を2週間も過ぎてしまい、反省。また最近、風邪や疲労で、講義にパンチ力が欠けており、反省。11月以降、色々な意味でバランスを失った。充実感もない。立て直さねば
2006. 10.30
    ・来月は忙しい。2日は科研費申請の締切。3〜6日は京都・大阪へ出張。30日は紀要論文の締切。順にこなせば何とかなるか。
    ・15年間バンド活動を共にした旧友からの嬉しい電話。来年3月に結婚するらしい。「本郷に最初に電話したんやぞ」などと嬉しいことをほざきやがってコノヤロー! とにかく万難を排して出席する旨、伝えた。純粋な歓喜を久々に味わった。春の楽しみが増えた
2006. 10.19
    ・妻が近所に良い家を見つけ、12月に引っ越すことになった。一軒家を借りるのは初めて。しかも畑付き。畑仕事は私の夢だった。子どもと色々な野菜を育てたい。鶏を飼おうと言うと、子どもたちは大興奮するも、妻の「冬どうするの? 凍え死ぬよ」の一声でボツに。毎年秋にフライドチキンを食うのも嫌だしな。家の雪かきは大変だろうな。12月が楽しみ。
    私の大学研究費は年間27万。使途は毎年ほぼ固定している。内訳は、旅費20万、プリンター関係(紙・インク)1万、学会年会費・郵送費など3万、その他(PC周辺機器など)3万。本はすべて自費で買う

2006. 10.16 来年11月出版予定の『ピグーの思想と経済学』の準備
    まずは国の助成金を得るべく、来週、原稿を送らねばならない。これが秋の峠

2006. 10.4
    ・昨日は、岩手県一関まで、車で片道4時間かけて、実習中の学生を訪問指導。高速道路を降りると、偶然にも国宝の中尊寺が! 仕事を済ませ、帰りに見学した。小学生の頃に義経の物語を読んで以来、金色堂に行きたかった。期待を裏切らない感動があった。帰宅後、寺のパンフレットを読むと、なんと、すぐそばに義経や弁慶の墓もあったのだ。見たかったな、残念
    ・今日は、大学の仕事を終えて、夜7時から弘前教会で「聖書と祈りの会」の司式。心を静めたり、邪道を歩んでいるのに気付いたり、決断したりできる貴重な時間。私にとって「礼拝」や「祈り」には禅の要素あり
2006. 10.1 仙台で研究会。松島に寄り、国宝の瑞巌寺も見学

2006. 9.28 『クラーク 富の分配』訳稿の最終チェック終了

    明日、出版社に郵送する。夕食時に「今夜は温泉に行こう」という話になり、皆で近くの柏木温泉へ。弘前には温泉が多く、ほとんど生活の一部。特に冬場は最高
2006. 9.23
    ・『クラーク 富の分配』の訳稿の最終チェック、早めに設けた締切は20日だが、それが25日となり、それも無理で、たぶん28日辺りか? 体力の限界。人間は眠らねば生きてゆけない。
    ・今日は、学生1名と一緒にボランティアで尾上の社会福祉協議会に行き、お年寄りに津軽三味線を弾いた。大喜びしてくれて、泣いている人さえいた。ギターやピアノをプロ並みに弾いたって、これほどの反響はありえぬ。郷土楽器おそるべし
2006. 9.22 秋学期開始
    研究・講義・会議など、猛烈に忙しい。研究だけでも年内に次々に締切がくる。プラス思考でないと乗り切れぬ。上智大のH先生から本の執筆依頼あり。大変うれしい

2006. 9.16 連日、『クラーク 富の分配』の訳稿全体の最終チェック
    月末に訳稿を出版社に送る。ゴール目前だけに奮い立つ。少しでも良いものにしたい。今月は礼拝当番なので、明日は朝から教会
2006. 9.12 夏休み終了
    今週は試験期間、来週からは講義開始。いよいよ尻に火がつく。『クラーク 富の分配』の邦訳書刊行に向けて、出版社と交渉開始。三味線も順調で「津軽よされ節」を終えた。公私ともに充実した夏だった。秋も気持ちよく突っ走るぜ
2006. 9.3
    ・敬老の日。手踊りサークルの仲間と市内の老人ホームへ。午後からは反省会(打ち上げ)。たこ焼き作りを頼まれていたので、大量に作った。秋の津軽は気持ちがよい。少し飲みすぎた。
    ・『福祉の経済思想家たち』(ナカニシヤ出版, 来年出版)の原稿を仕上げ、入稿

2006. 8.8
    ・社会福祉学部の3年生は、夏休みに約1ヶ月間、各自の実家近くの福祉施設へ「実習」に行く。教員も「訪問指導」せねばならないので大変だ。車で片道数時間かかることもある。今日から訪問指導スタート。十日間ほど忙しくなるが、学生の元気な顔を見るのは楽しみ。学生も私が来るのを待っている。
    ・念願の虫取り網を買ってもらったコータロー、今日も家の横の空き地で獲物を狙う。これも大切な勉強

2006. 8.3 ねぷた祭り、出陣前のひととき
2006. 7.30
    日本イギリス哲学会が編纂中の『イギリス哲学・思想事典』(来年出版予定)の原稿(「エッジワース」と「ベヴァリッジ」)を仕上げた。しかし他にも多くの仕事があり、休む暇なし。仕事の依頼が多いのは、ありがたいこと
2006. 7.24
    ・ゼミの3・4年生を連れて、六花酒造を見学。酒造りは米の収穫後の秋から始まるので、季節外れの見学だった。学生たちは「試飲」の時が一番楽しそう(当たり前か)。帰りに皆で昼飯にそばを食って、大学に戻った。
    ・ここ数日、猛烈に働き、ヘトヘト。これだけやっても、まだ終わらん。しかしヘトヘトになるのは気持ちがよい。よく眠れる。明日から夏休み、研究の正念場。悔いのない夏にしたい
2006. 7.15 田舎館村(いなかだてむら)の「田んぼアート」
    脱帽! 夜は大学にて、琵琶による平曲(平家物語)の弾き語りを初めて聴いた。歌声が独特

2006. 7.8 家族で一日遊ぶ
    子どもの遊びにも「良い遊び」と「悪い遊び」があり、前者を教えるのが親の大事な務め。コツは、親子共に、@ヘトヘトになること、A腹の底から笑うこと、の2つ。それは大人が童心に帰る貴重な時間でもある。
    : 近くの農園で「さくらんぼ狩り」。食べ放題、大人1000円、子ども無料。となれば、当然食いまくるわけだ。「アホみたいに食う」(大阪弁)というやつだ。私は家長として「今のうちに食っとけ。帰ったら、もう食われへんど」と叫んだが、そんなことは言われなくても、家族みんなにとって当たり前のこと。私と妻はげっぷが止まらなかったが、それでも食った。コータロー(3歳)も凄かった。食べ放題は人間を卑しくする。リリ(2歳)は、状況がよくわかっておらず、乳ボーロを食べていた。結局、食べ過ぎと日焼けで家族全員ぐったり。とても面白かった。持ち帰りは有料なのに、農場のおばさんが、500グラムほどをタダでくれた。これでジャムを作ろう。
    : リリが寝落ちしたので、コータローだけを自転車に乗っけて近所の河原へ。コータローが川で転んで、ずぶ濡れに。「この勇姿をママに見せよう!」と帰宅。子どもを自転車に乗せて走っていると、色々な話をしてくれる。子どもたちも自転車に乗るのが大好きで、1人しか乗れないので、よく兄妹でケンカする。
    : 近所のご夫婦を招待し、お好み焼きパーティー。今夜も美味にできた
2006. 7.7 去年末から心血を注いできた訳業、いよいよ正念場
    共訳者の田中敏弘先生(関西学院大・名誉教授)から、完成に向けて次々と指示が来る。わが子弘太郎の「弘」は、先生の「弘」の字。私にとって田中は「ゴッド」ないし「研究者のお手本」みたいな存在だ。偉大な人と一緒に仕事したことを私は生涯忘れないだろう。息子が成長したらこの本を見せて、なぜお前の名が「弘太郎」なのか教えてやりたい
2006. 7.6 重い講義負担
    通年で週9コマ(大学院含まず)は国内トップレベル。しかも担当科目は多岐にわたり、ほとんどが私の専門外。専門外の本も読まねばならない。ここに地方の小さな私大の面白さがある。学生時代からの乱読のおかげで、教養人としての自負心、色々な科目を担当する自信と好奇心がある。本学に着任して以来の私の知的成長の原動力は、もっぱらこれらの講義だ

2006. 6.15
    ・翻訳は明日終了する。次は推敲。これでだいぶ心の余裕がでる。さっそく新しい論文執筆に着手だ!
    ・次の土曜は、JRの観光列車「きらきらみちのく号」(野辺地〜大湊)に乗り、車内や駅構内で、三味線を弾く仕事に行く。今回で通算7回目。2人組で20分ステージを1日4回やるのだが、空き時間は実に退屈。昼寝するか、車内販売のお姉さんと世間話でもするしかない。ところで、大阪弁の私が青森県観光協会の上着を着せられて、観光客に津軽三味線を弾くというのは、明らかに変だ。わが子はどう思っているのか…

2006. 6.1
    ・学会で初めて神奈川県横浜へ。年に一度、恩師や研究仲間に会えることが何よりも嬉しい。
    ・教育とは難しいもの。限られた時間の中で全力投球せよ。小技不要
2006. 5.17 一週間、風邪のため訳業停止
    まずは健康回復。遅れを取り戻す。自然の世界は春一色。自転車で通勤するたび、美しい、美しいと何度も思う。そんな余裕のある心を大事にしたい。最近、余裕がなく、学生に対する表情・態度にまで表れているようだ
2006. 5.5 ゴールデンウィーク
    訳業は順調。大阪から母が来て、以下の場所に案内。今年の連休は格別だった。
    @ 世界自然遺産「白神山地」。サンタランドで一泊。帰途、「不老不死温泉」へ
    A 日本最大の縄文集落跡「三内丸山遺跡
    B 太宰治の生家「斜陽館」と「津軽三味線会館」

2006. 4.8 長男の幼稚園入園式。制服姿が立派にみえた。明日は家族で教会へ
2006. 3.31
    ・明日から新学期が始動。担当科目も増え(社会政策と社会保障)、その準備に本を読まねばならず、さらに忙しくなるが、研究ペースは維持しよう。たぶん今までの人生で一番忙しい年度になる。そのためには健康管理が肝要。
    ・寝るなら寝る、研究なら研究、楽器なら楽器。メリハリをつけよう。寝るなら、ひたすら寝るのであり、ふとんの中で悩むのはやめろ。
    長男3歳の誕生日。ロウソクを吹き消す姿を見て、心の底から今の幸せを感じた

2006. 3.27 やっと翻訳の大仕事に着手
    進み具合は予定通り。脚注以外はすでに訳し終わり、あとは仕上げの作業のみ。マラソンみたいに長い闘いだったが、最後まで気を抜かず、ペースを保ちたい
2006. 3.21 一橋大の国際セミナー、無事終了
    しかし仕事はまだある。最大のものは翻訳の仕上げ(田中・本郷訳『クラーク 富の分配』)。新学期の始業までにできるだけ進めたい。研究以外では「津軽三味線」と「津軽手踊り」の稽古。手踊りの方は8月に大会に出る。とりあえず明日はのんびり本でも読み、うまい魚でも食べて、鋭気を養おう
2006. 3.14
    経済学史学会より、次号のジャーナルに私の論文を掲載するとの知らせあり。学会誌に論文を載せるのは、審査が厳しく、けっこう難しい。青森風に言えば、大間の漁師がマグロを釣るくらいの価値がある

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