く、苦しい…。
喉を締め上げるアイツの手にどんどん力が込められていく。
アタシは自由にできた右手をそっと差し出した。
抵抗するためじゃない。
アイツの顔があまりに哀しげだったから?
アタシは馬鹿シンジの頬にそっと掌を……。



ぐはっ。

はぁはぁはぁ。
キモチワルイ。
汗びっしょりじゃない…。
傍らの時計を見るとまだ3時になったばかり。
まったく…。
2016年になったばかりだっていうのに何て夢見んのよ。

 

 

 

 


2006.01.01         ジュン











 

でも、凄くリアルな夢だった。
っていうか、これって夢ってよりも悪夢よね。
ううん、実際に体験してるのを再生してるってな感じ。
ああ、まだキモチワルイよぉ。
まだ喉にアイツの指の感触が残ってるみたい。
ま、あん時みたいに痛くはないけどさ。
シャワー浴びてこよ。

あ〜あ、コンフォートのお風呂の方がよかったなぁ。
こっちのはちょっと小さめだし。
それに3点ユニット式ってヤツだから、トイレと洗面台も一緒だもんねぇ。
足も伸ばせないし、ゆったりとお湯にも浸かれないし…。
ぐふぅ、たったあれだけの日本滞在なのにすっかり日本のお風呂に馴染んじゃってるじゃないの。
これって私の身体に流れる1/4の日本人の血の所為?

ま、仕方ないよね。
街はボロボロ。コンフォートは跡形もなし。
まだ疎開してたり、仮設住宅で生活している人もいるって言うのに、
こんな部屋を貰ってるんだから文句言っちゃ罰が当たる。
……って、ミサトが言ってた。
確かに地軸の歪みが元に戻って季節が戻ってきたもんね。
冬になってこんなにちゃんとした建物に住んでるのはみんなに悪いなって思う。
相田のところはプレハブの仮設住宅で寒いってこぼしてた。
アタシはドイツで冬を知ってるけど、常夏の日本で育ってきたみんなには初めての冬は大変よね。
正直言ってアタシも冬がこんなに寒いって忘れてたくらいだもん。

でもね、これとアレは話が別よ。
アレって何かって?
アタシのお隣さんのことよ。
このお隣さんはねぇ、ホントに頭に来るヤツなのよ。
ちょっと、聞いてくれる?

ま、引っ越してきたときに色々手伝ってくれたのは感謝してやってもいいわ。
でもね、時々真昼間からぎ〜こぎ〜こ楽器を弄くってるのよ。
こっちはお昼寝でもしようかって思ってるときにアレをやられちゃあね。
腹が立ってきて隣に怒鳴り込んでいくのも当然と思わない?
曲を奏でるんならアタシの前でやんなさいっての、まったく。
何がアタシに聴かせるのは練習してからだってのよ。
はんっ、どれだけ上達していくか確認してやろうって優しい気持で言ってやってんじゃない。
まあ、コンフォートと違ってここはワンルームだし、部屋は会社勤めの人で一杯だしさ。
夜にチェロを弾くのはまずいもんね。
ってことで騒音問題については許してやることにしてんの。
それより問題なのは、環境問題よ。
アタシはリサイクルの超先進国の育ちなんだからっ。
ゴミはちゃんと分別してリサイクルできるものは指定日に出さないといけないのよ。
だからお隣とゴミを共用…ま、簡単に言うと台所のゴミが2箇所から出ないようにしようと提案したわけよ。
見事に合理的な提案でしょう?
ところがお隣は不満を表明したのよ。
地球環境のことをどう考えてんのよ、まったくあの馬鹿は。
ゴミはきちんと自分で管理しないといけないんだってさ。
ホント、偉そうにっ。何様のつもりよ!
ま、世界一優しいこのアタシは一万歩下がって納得してやったわよ。
ゴミはともかく料理については二軒分を引き受けるって言ってくれたから。
但し、どうしてこのアタシがあの馬鹿の部屋に通ってやらなきゃいけないのよ。
朝だけだけどさ。
弁当作るのに忙しいからだって。
まあ、アタシは寛大だからそれくらいかまわないわよ。
台所に立つ馬鹿の姿ぼけっと眺めてるのって……じゃない、監視する必要があるからね。
ちゃんと分別してるかとか。
そうそう、コタツの件がいいわ。
隣の馬鹿がどんなに悪いヤツかそれで証明できるのよ。
アタシ、コタツって初めて見たの。
実は馬鹿も初めてだったんだけどね。
引越しのときにマヤとロン毛の二人からお祝いで貰ったのよ。
冬がやってくるから凄く重宝よって。
あれは結婚祝いのための投資だと睨んでるわ。
だけど、確かにこれは重宝っていうか、キモチイイわよね。
病み付きになるって言うか、一度入れば抜け出せないって言うか。
ああ、問題はそこじゃないのよ。
コタツってさ、反対側に人間がいないとどうも落ち着かないのよ。
ま、反対でなくてもいいけどさ。
最初の頃はあの馬鹿に話相手…じゃない、コタツの置物になってもらってたのよ。
それが相田の大馬鹿が仮設住宅で可哀相だって、馬鹿シンジのヤツちょくちょく部屋に呼ぶのよ。
まったく優しいっていうのはわかってんだけどさ。
はぁ…、アタシはあのコタツっていう布団に覆われた閉鎖空間で異性とくつろぐなんて趣味はないの。
おかげでこのアタシがひとりぼっちになっちゃったじゃない。
勘弁してよ、このアタシが寛容にも相手をしてやってんのに。

そういう大きな不満はあるんだけど、まあそれなりにここでの生活は楽しんでるわ。
だけどさ、ずっとホテルに住んでるって感じで馴染めないのは確か。
あ、ミサトは別よ。
あの腐海の主はどこに行っても部屋の中をめちゃくちゃにしちゃうからね。
この前に遊びに行ったけどもう二度と行かない。
あれであと何ヶ月したらお嫁に行くんでしょ。
もう信じらんないわ。
本当にアレでいいの?
日向さん、何か大きなものに目を瞑ってない?
結局、加持さんは死んでたみたいなのよね。
サードインパクトの後に帰ってこなかったし、政府の資料に消去って入力されてたらしいわ。
もっともその機関の人間は誰一人今は存在していないらしいから確かめようがないらしいけど。
でも、どうやってセグメントしたんだろ…。
全世界の人口は1/3くらいに減ったらしいけど、
危険人物はそれは見事なくらいにこの世に存在してないのよ。
殺人者とか危険思想の持主とか狂信者とかその他モロモロ。
刑務所なんか冤罪の数人を除いてからっぽになってたらしいわよ。
国会議員もほとんどいなくなっちゃったのには大笑いしたけどさ。
アタシも危なかったのかもね。
ドイツにいたときはエヴァで地球を救って初代地球大統領にって夢見たこともあったもんね。

さて、今日は年始回りの後に初詣なのよね。
晴れ着を用意してくれたのはリツコ。
あの女も性格変わったわよね。
でも、もう新しい恋はしないみたいよ。
もったいないわねぇ、まったく。
ま、性格はともかくビジュアル的にはいい線行ってるかもしんないのに。
で、晴れ着だけ?
誰が着付けしてくれんのよぉ!

ぶう…。
これって、差別だと思う。
きっとアタシが外国籍だからだわ。
こうなったら早めに素敵な日本の男と結婚してやるんだから。
せっかくの晴れ着も着られないから一番余所行きの格好で馬鹿シンジと年始周りに行ったらどうだと思う?
リツコんとこのレイったらちゃぁ〜んと晴れ着になって微笑んでるじゃない。
しかもシンジの馬鹿は「きれいだね」なんて見え見えのお世辞なんか言っちゃってくれてさ。
ああ、腹が立つ。
おまけにリツコのヤツは抜け抜けと言ってくれた。

「私の娘なのだから当然でしょう?貴女の分も用意したのだからそれを着る着ないは貴女の勝手だわ」

怒ったわよ、当然。
すると僕が何とかするからそんなに怒らないでよってシンジが慌てふためいた。
はん!当たり前じゃない。
もともと馬鹿シンジが気をまわさなかったから悪いのよ!
アイツはあちこちに電話してやっと着付けのできる人を捜し当てたの。
ちょっと拗ねてやったのよ。
レイが着付けしてもらった美容室なんかアタシは行かないからね!って膨れて見せたの。
で、洞木コダマさん。そ、ヒカリのお姉さんが着付けしてくれるんだって。
さすがはヒカリのお姉さん。ネルフの関係者は全滅ってどういうことよ。
アタシは決心したわ。
いい母親になるためにはちゃんとそういうのも勉強しようって。
だって、可愛い娘に母親が着付けしてあげないといけないじゃない。
あ、その前にその子の父親になれる様な最上級の男を見つけなきゃね。
ま、そんな男ってどこ探しても居ないって気がしてるから、探す気はまったくないんだけどさ。
ああ、コダマさんなんだけど、今日は忙しくて無理なんだって。
大人であるアタシはそこで無茶は言わないわ。
明日お邪魔しますのでよろしくお願いいたしますって丁寧に電話でお願いしたの。
ふん、リツコとレイの二人はそんなアタシを見て笑ってるの。
感じ悪いったらありゃしないわ。
だけど、ちょっと嬉しいかな?
義理の母と娘ってことなんだけどさ。
やっぱりいいわよね、楽しそうに笑ってるのって。

その後、アタシはとりあえず年始回りだけはこなしてやったの。
本当は明日晴れ着を着て回りたかったんだけど、
馬鹿シンジのヤツが珍しくいいことを言ってくれたからね。
今日回ったほうがお年玉をちゃんともらえるんじゃないかって。
いい風習よね、お年玉って。
けっこう貰えそうな感じだったから、シンジに命令したの。
3日にショッピングに行くから荷物持ちをさせてあげるって。

それから初詣は明日に伸ばしてやったわ。
どうせなら晴れ着を着て行きたいじゃない。
で、当然介添え役の馬鹿シンジも今日は初詣を禁止してやったの。
アイツは溜息混じりに2バカに行けないって電話連絡してた。
だいたい、気を利かしてやんなさいよ。
ヒカリと鈴原を二人で詣でさせてあげればいいじゃない。
あの相田の馬鹿もわかってるようでわかってないんだから。
ま、馬鹿シンジは超鈍感だから仕方ないけどね。
あ、介添え役ってシンジと二人で行きたいってことじゃないわよ。
着物を着て草履を履いて歩くのってアタシにできると思う?
素晴らしい運動神経のアタシだからやってやれないことはないとは思うけどね。
日本のことわざにも言うじゃない。
石橋を叩いて渡れってさ。

でもって、夕方にヒカリの家に挨拶に行ったの。
馬鹿シンジは鈴原か相田の家のどっちかに行ってるはず。
あ、鈴原の家だっけ。確かそうよ。そんな気がする。
聞く気もなかったけどさっきの電話でちらりと言ってた。
馬鹿シンジも一人暮らしだから、晩御飯をご馳走になって帰るんじゃないの?
アタシもヒカリの家で戴いて帰ることになってるし。
ま、帰るときには迎えが来る約束だから夜道も大丈夫。
だからアタシは言ってやったの。

「勧められてもお酒なんか飲むんじゃないわよ。アンタはアタシのガードをしないといけないんだからねっ」

アイツはわかってるってと笑ってた。
クリスマスの時にシャンパンで沈没した前科があるからね、あの馬鹿は。
おかげでアタシまでリツコの家に泊まる羽目になったじゃない。
そう、不純異性交遊をアイツにさせないための監視よ、監視。
リツコもレイも信用できないんだから。
酔っ払って前後不覚の馬鹿を二人がかりで…なんて充分考えられるもんね。
心優しいアタシは結局その夜は一睡もしないでアイツの隣で目を光らせてたの。
そしたら夜中に案の定レイがふらふらやってきたわ。
シャンパンで目を真っ赤にして。
正直怖かった。
あのビジュアルは暗がりで見るもんじゃないわね。

「碇君を襲ったらダメよ」

真面目な顔でそれだけ言って、お水をがぶがぶ飲んだらまた寝室に消えて行ったわ。
ふん!襲おうとしたのはそっちじゃない。
よくわかんないけどアンタは馬鹿シンジに近い存在だって言うじゃない。
そんなの倫理的に拙いに決まってるわ。
アタシはそんなの絶対に許さないんだからねっ。
そしてアタシはまた馬鹿シンジの頭に手を伸ばしたの。
レイのおかげでびっくりして手を引っ込めちゃったからね。
シンジの髪ってさらさらなのよね、男の癖に。
あ、言っておきますけどね。
これは看護行為なのよっ。
気持ち悪そうにしてたからずっとよしよししてあげてんじゃないの!
アタシの優しさの証明ってヤツね。

ま、そういうことで馬鹿シンジはお酒に弱いってことはわかったから注意してやったのよ。
それで、今アタシはお迎えを待ってる…んじゃなくて、ヒカリとお喋りに夢中なわけ。
ホント、あの馬鹿もう8時だって言うのに何してんだろ。
その時ね、ヒカリが初夢の話をはじめたの。
去年は鈴原と学校でお弁当を食べるって初夢を見たんだってさ。
それって煩悩丸出しの夢じゃない。
まあ、それが正夢になったんだからヒカリにとっては凄くいい初夢だったってことよね。
アタシは少し嫉妬…じゃなかった、不快…でもないわね、まあどうでもいいけど。
とにかくアタシの今年の初夢について話したの。
まあ、詳しく話すのもイヤだったから、悪夢みたいなのを見たって。
それを聞いてるヒカリがきょとんとしてたから、どうしたの?って訊いたの。
そしたらさ、びっくりしたわよ。
今日見る夢が初夢になるんだって。

アタシは喜んだわ。
当たり前よね。あんなのが初夢なんてイヤじゃない。
ま、すでに経験したことだから正夢にはなりそうもないけどさ。
なっちゃ困るし。

そこにようやくお迎え登場。
アタシは明日の時間の約束をして食事とかいろいろのことも含めてお礼を言ってヒカリの家を出た。
あれが初夢じゃないってことや明日晴れ着で初詣に行くことが嬉しくて、馬鹿シンジの腕を持って引っ張りまわしてやったわ。
それから明日の練習をさせてあげるってアイツの腕に手をまわして歩いてやったの。
しっかり練習しときなさいよ、明日ふらふらしたら絶対に許さないからねって睨んでやったら、
あの馬鹿顔を真っ赤にして、がんばるって。
ああ、冬っていいわよね。
こうやってくっついてたら、身体も心もぽっかぽか。
ん?ちょっと違うわね。
そ、そうよ、シンジを暖房器具代わりにしてるだけよ。
いつものように。
でもって、練習の意味もあるから、いつもよりもぐっと体重をかけてやってるだけ。
それだけのことよ。
周りの連中は心にやましいことがあるから、変な風に考えるの。
合理的に考えりゃいいのに。
季節が春になって暖かくなったら、きっと何か理由が見つかる…。
あれ?ま、いいわ。
馬鹿シンジはアタシの杖代わりってことでデフォ。
アイツはずっと、ずぅっと石橋を叩く役目なのよっ。

アタシはもう一度念を押してやったわ。
あ、家に入る前に。
明日迎えに来る時間をね。
大丈夫、ちゃんと時間通りに来るからって真剣な顔で頷いてたけど、
あの馬鹿、また30分前に来るんじゃないでしょうね。
そんな真似されるからこっちも2時間前に準備を完了してないといけないんじゃない。
まったく困ってしまうわ。

部屋の扉を閉めて耳を澄ます。
鍵の音。扉が開いて閉まる音。そこから先はもう聞こえない。
まったく防音効果がよすぎるわよ、このワンルームマンションは。

さあ、今日はシャワーだけじゃなくてお湯をたっぷり張ってやるわ。
いい初夢を見るために身を清めなくっちゃ。
けっこう歩き回ったから寝つきはいいと思う。
どんな夢がいいかなぁなんて考えていたら、バスタブに沈没しそうになったもんね。
アタシは天国のママにお願いしたの。
素晴らしい初夢を見させてください。
それからそれが正夢になりますようにって。
あ、それからどうでもいいことなんだけど、馬鹿シンジの写真を1枚枕の下に入れておいたの。
まあ、厄除けってヤツよ。
アイツにそんな力なんかなさそうだけど、手ごろな写真がなかったからね。
ママの写真を下敷きにするなんてとんでもない話だし。
分不相応だけど、仕方がないわ。
そういや男が写ってる写真って何故かアイツのしかなかったのよ。
ホント、不思議。引っ越すときに他のはどっか行っちゃったのかしら?
アタシはアイドルとかそういう類に興味ないけどさ…。
ああそうだ、この前馬鹿シンジが3バカで写ってる写真を半分に切ったのよ。
どうも構図が気に入らなかったし、鈴原の写真をヒカリにプレゼントしようと思ったからよ。
真ん中に立ってた相田はおまけで鈴原の方にくっつけて切ってやったの。
そしたらヒカリったら困った顔して笑ってた。
アスカらしいわねってどういうことよ。ホント、意味不明。

おやすみなさい。
いい初夢が見られますように。

あ、隣の馬鹿にも一応おやすみなさい。
ふん、ただの挨拶よ、そんだけ。
アンタもいい初夢見なさいよ。
あ、そうだ。
アタシの夢を見なさい。
うんうん、それがいいわ。
初夢にアタシが登場するなんて、物凄くいい夢じゃない。
こら、馬鹿シンジ。
アタシ以外の…人間を夢…ん中に…出したら……ゆるさ……ない………。
……。








初夢は…。
見た。
見てしまった。
とんでもないのを。









「おはよう、アスカ。ちょっと早すぎたけどいいかなぁ」

能天気な顔で馬鹿が来た。

「まだ準備できてないから待っててよ」

馬鹿シンジの顔を見ないでそう言い残すと、アタシはバスユニットに突入した。
トイレだって思われないかしら?そんなのヤだ。
洗面台の鏡を見る。
くはっ。顔が真っ赤っか。
どうしよ。
で、でも、仕方ないわよね。
あんな夢見たんだから。
枕の下の写真が悪かったんだろうか。
で、でも、もう取り返しはつかないわよね。
そ、そうよ、運命ってヤツよ。
アタシは運命に呪われた自分を慰めるしかなかった。
それに、晴れ着で初詣にアイツと腕を組んでいかなければ……。
じゃなくて、コダマさんと約束してるんだからいつまでもこうしてはいられないじゃない。
仕方がない。
ホントに仕方がないわ。
アタシは鏡の中の自分に大きく頷くと、10回目かの…正確には18回目の歯磨きをはじめた。
リップした方がいいかなぁ。

アタシは扉を開けた。
すぐ近くの玄関にアイツは突っ立ってた。
馬鹿ね、中で座って待ってりゃいいのに。

「待たせたわね。ふん、アンタが早すぎるのよ」

「ご、ごめん」

「そ、それじゃ、行くわよ。アンタはこの着物のケースを持ちなさいよ」

「うん、わかった」

ぼふっ。
み、見てしまった。
ちらりと馬鹿シンジの顔を。
正確には、馬鹿シンジの唇を。

初夢の中でアタシにキスしたあの唇を。

正夢って今日叶うのかしら?

 

 

<おわり>


 


<あとがき>

 あけましておめでとうございます。
 やっぱり私は基本的にへっぽこアスカが好きなんですよね。

 2006年が皆様にとってよき年になりますように。

 

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