第参百弐次、定期報告。

以下は作戦課所属葛城ミサト三佐に義務付けられた、セカンドチルドレンの監督日誌である。

尚、この資料の流用はA10神経接続に関する技術担当のみに認められるものとする。



Nerv総司令碇ゲンドウ




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       セカンドチルドレン監督日誌  -File2-       報告者・葛城ミサト三佐
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2015年□月×日



前日、セカンドとサードの接吻現場が確認される。

これは初め、同居生活を通じ互いを異性として認め合った結果、生じたものと思われた。

だが、セカンドの小声を分析した結果、これは「暇つぶし」という名目の下に為されたものであり、

そのことから、両名は男女の付き合いには発展していないものと思われる。

セカンドはその後、洗面所にうがいをしに行ってしまったし、

サードはそんな彼女に少し愕然とした様子だったからだ。

それは今朝に見られた、彼らのぎこちない態度からも一目瞭然ではなかろうか。

なお、その今朝の様子は諜報部映像資料C-01-Eに記録されている。機密はAA。

今のところ深刻な事態ではないが、引き続き、両名の観察を提言する。

場合によっては両者の間に強制介入の必要もあるだろう。







2015年□月□日



最近、セカンドの様子がおかしい。

サードを避けているように見えるのだ。

と言っても、それは彼らに何かの諍いがあったというわけではなく、

むしろ先日のキス事件に起因するものだと推測する。

根拠はサードの証言及び、セカンドの態度の詳細である。

私がサードに細かな状況の説明を求めると、彼にもその原因は分からず、

気づいたらこうなっていたとの事だった。

(彼はキスのことを私に報告したくなかったのだろう。)

セカンドはサードを避けているものの、何かと彼を気にしており、

単純に恥ずかしがっているであろうことは容易に窺える。

個人的感情を述べさせてもらえば、初心な二人を見るのは実に楽しいことだが、

彼らの立場上、このようなことをいつまでも続けさせるわけにはいかない。

私は先日述べた強制介入案を具体化し本部に提出、本日受理された。

機密はなし。







2015年□月△日



セカンドとサードは朝早くから出かけていった。

これは私が彼らの関係修復を目的とし、

第三市内にあるテーマパークの二人分のパスポートをセカンドに与えたことに起因する。

これはもちろん先日の強制介入案である。

方針としては、意固地なセカンドに二人の関係をとりあえずは元の鞘に

収めるようにと、機会を与えたと言うわけだ。

これでサードを誘うように勧めた時、セカンドはあからさまに嫌そうな顔をしたが、

私が「サードは意外にモテる」ということを示唆すると、(事実関係は分からない。)

彼女は次の瞬間にはサードの部屋に飛んでいった。

以上のことが冒頭の発端となる。

しかし、頑固なセカンドもこれで一段落するだろうと思ったのもつかの間、

帰ってきた二人はこちらに分かるほどの険悪なムードに陥っていて、

サードの頬には紅葉模様がくっきりと残っていた。

これはどうしたものかとサードに状況を尋ねると、

テーマパークを出た頃にはセカンドはすこぶる機嫌がよかったという。

ところが帰りによったカフェで二人は偶然にもファーストに出会い、

サードが彼女と挨拶を交わそうとしたら、いきなりセカンドに頬を叩かれたということだ。

…頭痛がする。







2015年□月○日



マルドゥック機関からフォースチルドレン選出の一報が届く。

フォースチルドレンは第三新東京市第壱中学校所属、鈴原トウジ14歳。

家族構成は父、祖父、妹の四人。

母はセカンドインパクト後に死去。

妹は第参使徒襲来時に重傷を負い、市内の病院に入院中。

この妹を本部の専属施設に転属させることを条件に、フォース就任を受諾。

彼はサードの親友である。

これを彼に伝えるとなると気が重い。

先のことも未だ解決を見ない今、サードの心労は多大なものとなるだろう。

これらの件に関しては、今のところ処理の目処は立たない。







2015年◎月○日



本日は弐号機の連動試験があり、それに伴いセカンドも本部に出頭。

実験は定時に終了し、午後4時には彼女の拘束が解かれる。

セカンドはその後、ドイツ支部時代から慕っていた加持一尉を訪問。

その時、偶然にも加持一尉が残業中であったため、

資料を見たセカンドにフォースの件が予定より早く漏洩してしまった。

セカンドは一瞬、我を失ったが、すぐに落ち着きを取り戻す。

後、加持一尉との雑談に1時間ほど興じる。

概要を述べれば、フォースの件とサードに関する相談事が全てを占めていた。

サードはフォースの正体を知っているのか、自分はサードと喧嘩状態にあるがどうすればいいか、

フォースのことをサードが知ったら、何と声をかければよいか。

会話の最後に加持一尉にも問われていたが、やはり彼女はサードに恋心を抱いているようだ。

会話の詳細は諜報部音声資料P-34に記録。現時点の機密はAAA。







2015年◎月△日



この日時は正確ではない。

松代の起動実験中に事故が起こり、私もそれに巻き込まれたからだ。

以下は参照資料からの記述である。

16:57、フォースを乗せた実験中の参号機が原因不明の暴走。

その時に爆発が起こり、死傷者まで出る大惨事に発展してしまう。

参号機はアメーバー状の使徒に乗っ取られており、フォースを取り込んだまま本部に侵攻。

本部は碇司令の指揮の下、エヴァ三機を双子山付近に展開。

第三新東京市侵入の前に目標の殲滅を試みるが、

弐号機、及び零号機は目標の奇襲にあい、即時に敗退。

初号機のみの作戦展開となるも、搭乗者の安否を気遣うサードが錯乱し交戦を拒否。

一時はダミープラグの使用が検討されるものの、

非常通信回線からファースト及びセカンドの説得を受け作戦行動を再開。

目標の攻撃に苦戦させられるが、何とかエントリープラグを引き抜き、辛くも殲滅に成功。

フォースは軽症のみ。生存。

後、機体の損失によりその適格者登録を抹消される。

サードは一時の命令違反のため、禁固一週間に服す。尋問は司令自らが行う予定である。

ファースト及びセカンドには本部での待機任務が命じられたが、

セカンドは精神不安定状態が続いたため、自宅での待機任務に切り替えられる。

彼女の異変はサードを気遣ってのことと思われる。








2015年◎月×日



本人の希望により、サードのチルドレン登録を抹消。

親族の下へ帰ることとなる。

セカンドは自室で膝を抱えたまま何も言わない。








2015年◎月□日



本部へ使徒が襲来。

目標はこれまでのものと比べても圧倒的な力を持ち、

その侵攻をジオフロント内まで許す。

目標殲滅の担当機は弐号機及び、零号機。

ATフィールドの中和も効果がなく、2分27秒後に両機は沈黙。

セカンド、ファーストは生存。

対抗手段を失ったかと思われたが、サードがケイジに現れ初号機が出撃。

一旦は攻勢に傾くが、無情にも内部電源が切れる。

その直後、サードが過剰シンクロを引き起こし、初号機は暴走。

目標を撃破するが、サードは初号機に取り込まれる。

それを知ったセカンドが乱心。

本部に出頭する時以外は、自宅に引き篭もるようになる。

彼女を心配したファーストが訪問してくるが、今度ばかりは効き目がなかった。







2015年▽月×日



技術部よりサードのサルベージ計画が立案される。

これは数年前に実行経験があるものの、成功はしていない。

なお作業についての詳細はMAGIの最重要機密に当たるため、資料の掲載は控える。

この話をセカンドに伝えると、一時の引き篭もり状態から回復。

が、今度はケイジへ毎日のように赴くようになる。

彼女は朝から晩まで初号機の前に張り付き、まったく離れようとしない。

よほど、サードのことが心配だということが見て取れる。

セカンドのその健気な様子が職員の心を打ったらしく、

作業は予定より7%ほど早く進んでいる。







2015年▽月△日



サードのサルベージ当日。

あくまで作業的な結論から述べれば、サードの肉体再構成には失敗。

LCLが外部に流出したためだ。

この作業の一部始終をケイジで祈るように見守っていたセカンドの狂乱振りは凄まじいもので、

職員3人がかりで押さえつけ、ようやく沈静化に成功したほどだ。

が、こんなセカンドの取り乱しも杞憂に終わり、結果を述べればサードは帰還に成功する。

サードは初号機のコアから吐き出されたのだ。

セカンドは狂喜し、サードに抱きつき泣き喚いたが、

今度ばかりは誰も止めるわけには行かなかった。

数瞬後、サードがセカンドに何かつぶやき、

彼女は先程の様子とは打って変わって満面の笑みを浮かべた。

非常時だったので、サードの口走った言葉は不明だが、何はともあれサードは帰還したし、

セカンドはセカンドで他人のために涙を流すという人間的成長が見られた。

人付き合いを苦手としていた二人には、とても良い傾向だといえるだろう。







2015年▽月□日



朝早くにサードがセカンドと共に出かけていった。

いや、セカンドが無理矢理ついて行ったという方が正しいだろう。

行き先は病院だそうだ。

念のために入院したフォースの見舞いだと思われる。

これ以下の様子は諜報部資料P-33に保存済みである。機密はA。

この部分は私の権限では知り得ないので割愛するが、

病院から帰ってきた彼らの表情は、決意に満ちた良い顔だった。

保護者としては嬉しい限りである。







2015年▽月▽日



深夜に家に戻ると、セカンドがサードの部屋にいた。

状況が状況だけに私は彼らを厳しい口調で問い詰めたが、

本人たちは何もしていないと頑なに言い張った。

この後も話を続けたが平行線を辿ったまま、まったく埒が明かない。

そこで私は彼らをひとまず寝かせ、諜報部にその間の様子を問い合わせると、

本当に何もしていないことが分かった。

セカンドは、サードが自ら適格者登録の抹消を望んだ際の事情を聞き、

そのことについてサードの相談に乗ってやっていたようだ。

この会話の詳細は諜報部音声利用F-21-乙。機密はAAA。

機密に差し支えない範囲で述べれば、サードは父親との関係に悩んでいて、

セカンドはそんな彼を心苦しく思っているようだ。

彼らの精神衛生のため、一度サードが父親に面会するのが望まれる。







2015年▽月○日



それにしてもサードが戻ってきてからというものの、セカンドは豹変してしまった。

何をするにしてもサードを付き従え、またサードが何かする時も彼女が連れ添うのだ。

これだけ表記しただけでは前と変わらないように思えるが、それは大きな間違いである。

これまでのセカンドはサードを下僕扱いしていた節があったが、(おそらく好意の裏返しであろう)

今のそれは何というか、一言で表せば「甘い」のである。

行動や会話の内容自体は在り来たりのものなのだが、

その語尾にハートマークがついているとでも言うのだろうか。

これを示す良い例がある。

つい先日、サードの復帰を祝って簡単なホームパーティーを開いたことがある。

この時にはファーストを初めとする彼らの友人も招待したのだが、

セカンドとサードの様子を見るや否や辟易し、彼らは一時間ほどで帰ってしまった。

あのファーストでさえそうだったのだ。

今の二人の関係がどんな状況にあるか察することは容易であろう。

とにかく、私は彼らを見ているだけで全身を掻き毟りたくなってしまうのだ。

しかし彼らが男女の仲かと問われれば、なんとまだそうではない。

もじもじし合って、付かず離れずの距離を保っているだけだ。

私はこんな様子にいい加減耐えかねて、二人に付き合うように提言してみた。

するとどうだろう。

彼らは顔を真っ赤にしてお互いを罵倒し、それを否定し合ったのだ。

それも二人がけのソファーに座ったまま。

私がそのことを指摘すると、例によってセカンドがサードに張り手をお見舞し、

一時は険悪なムードが流れたが、入浴を終えるとそれもどこ吹く風、

彼らは今、お休み前の囁き合いの最中である。

せめて、おでこを寄せ合うのは止めて欲しい…。






尚、これ以下はファイル3に続くものとする。





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<アスカ>rego様からの投稿の第4弾の2回目よっ!
<某管理人>わっ、早い!おおきに!
<アスカ>くっふっふぅ。
<某管理人>思い切りご機嫌でんな。
<アスカ>
当たり前じゃない。すっかりシンジと私はラブラブぅ。
<某管理人>いや、でも、あんたらはまだ…。
<アスカ>はぁ?何か言いたいわけ?人の幸せに水でも注そうっていうわけぇ?
<某管理人>あわ、いやいやいや。とんでもおまへん。ほなっ!
 
 
う〜ん、ミサトのヤツ、またまた細かいことまでレポートしちゃって!
 
しかも「暇つぶし」って言い訳をまともに取っちゃってさ。
 こっちはあの時どうやって公正にキスするかを考えるのに必死だったんだから。
 で、このあとどうなるの?まさか私はアイツ等にギタギタのケチョンケチョンにされちゃうの?
 ああ、早く次のレポート!
 
 ホントに素晴らしい作品をありがとうございました、rego様。

 

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