FULL MOON
サン・セバスティアン 2004.06.08
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「ねぇ、シンジ。」
「何、アスカ?」
「あんたさぁ・・・、月と太陽どっちが好き?」
それはいつもと何も変わらない一日。ただひとつ違うことは夜空に大きな満月が浮かんでいたことだった。
「月と太陽?どうしてそんなこと聞くのさ?」
台所に立って食器を洗っていた少年、碇シンジは、
ベランダで月を見上げている少女、惣流・アスカ・ラングレーの質問に質問で答えた。
「なんとなくこの満月見てたら聞いてみたくなってさ・・・。」
彼女は答える。
「そうだなぁ・・・。僕は月のほうが好きだな。」
シンジは食器を洗い終え、ベランダに近づきながらそう答える。
「月?どうして?」
彼女はまた尋ねる。
「うまくは言えないんだけど・・・。太陽っていつもみんなを明るく照らしてるでしょ?
世界中のすべての人に。でも月は違うだろ?夜、部屋の中にこもっている人には光は届かない。太陽とは違ってね。
月はそれを見てる人たちにだけ光を与えるから。つまり月は『みんなのため』じゃなくて『誰かのため』にあるっていうのが好きなんだ。」
ゆっくりと彼は彼女に理由を答える。
「ふ〜ん、シンジはそう思うんだ・・・。」
やや感心したかのように彼女は口を開く。
「でもアスカはどっちかというと太陽って感じだよね。」
「ちょ、ちょっと、それじゃあんたアタシのことが嫌いだってこと?」
不安そうにアスカが尋ねる。
「そういう意味じゃないよ、アスカ。太陽がなければ月も輝かないわけでしょ?」
それはそうだけど・・・。とまだ納得のいかない様子の彼女に彼は続ける。
「だから僕はさ・・・、『アスカ』という名の太陽によって輝く、アスカのためだけの月になりたいんだよ。」
恥ずかしそうに、しかし、しっかりと彼は言った。
「あんたもずいぶんと気の利いたセリフ言えるようになったわね。」
「アスカのおかげだよ。」
恥ずかしそうにアスカを見てそう言うシンジ。見詰め合う二人の距離は近づき、やがて月が作った二人の影がひとつになった。
それはいつもと何も変わらない一日。ただひとつ違うことは夜空に大きな満月が浮かんでいたことだった。
あとがき
はじめまして。サン・セバスティアンといいます。
はじめて書いたSS(というかこれ全然SSじゃないな)。「短すぎる!」とかいろいろとご不満もあるでしょうが、
これからどんどんSSを書いていこうと思ってますので皆さんよろしくお願いします。
今回はシリアスっぽい雰囲気でしたが、ラブコメっぽい、明るい作品もいつかは書いてみたいと思ってます。応援よろしくお願いします。
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はじめての小説との事よ。
嬉しいわよねぇ。
これからもどしどし書いてよね。
同居してるって事は、AEOEなのかな?
雰囲気で見るともう恋人同士って感じね。アリガト!
ホントに素晴らしい作品をありがとうございました、サン・セバスティアン様。