アイツは私を壊す

何度も・・・何度も・・・

小さいときから積み上げてきた私の全てを壊す

はじめは・・・

そう、あのとき、二つにわかれた使徒が来たとき

悔しいけどアイツがいなかったら勝てなかった


次はあの雪だるまのような格好になってマグマに潜ったときも・・・

アイツがいなかったら多分、いや絶対に生きてはいない



そう、アイツは私が積み上げてきたものを全て壊す



でもアイツは私のものを壊すけれど、新しいものもくれる

今までもらったことのないもの


ドイツで何不自由ない生活、最高の教育を受け、最高の扱いをうけたはずなのに・・・

今はそんなの比にならないくらい・・・「こころ」が満ちている

毎日のアイツの何気ない行為ひとつひとつが


私がアイツに無理矢理やらせているのかもしれない

けどアイツは文句を言いながらも私のワガママも聞いてくれる

何もあいつにプラスにならないのに



私の勘違いかもしれない、これが家族というものだろうかは私には分からない

今まで本当の家族というものに触れたことがないから・・・

でもこれがもし、家族というものなら、私は・・・失いたくない


でも、アイツが何を考えているのかは私の頭でもわからない

もしかするとアイツもママみたいに私のことを捨てるかもしれない

でも日本に来て分かったことがある

アイツと出会って分かったことがある

黙っていては何も始まらない、何も分からない、なにも気付いてもらえない




アイツも私も今まで何も他人に伝えられなっかた




ドイツで風邪気味なのにそれをどうやって他人に伝えるのかがわからずに

訓練をしていたら訓練中に倒れて肺炎にかかって二週間入院した

上官から健康状態はしっかり報告しろと、後で文句を言われた

けど、勉強は教えてくれたけど誰も自分の事をどう伝えるかは教えてくれなかった

自分の気持ちを伝える方法は・・・


日本に来て

そう、マグマに潜って使途を殲滅したときも

アイツに助けられたときも、命を救われたときでも、

自分の気持ちをどう伝えるかが分からなかった

私は自分の気持ちをどう相手に伝えるのかが分からなかった

助けてくれたのに、自分の命も危なかったのに助けてくれたアイツに

私は自分の気持ちをどう伝えるかが分からなかった


だから私はアイツにアイツが嫌がることをしてキモチを伝えた

私がアイツのことを気にしていることを、私がいつも近くにいることを


アイツも私と一緒、自分を他人に伝えられなかった

幼くして母親を失くし、父親に捨てられ、常に他人と共に過ごした

他人の中に本当の自分を見つけることができなかった

自分の中に他人を住まわすことができなかった

常に他人を自分の中から駆逐して生きてきた



けどこれからは違う

全てが終わって、全てではないかもしれないけど、前よりはアイツのことを知った

キモチの伝え方も知ったはず、自分なりの伝え方も知ったはず

アイツも何かを知ったはず、なにかを学んだはず

アイツも前より私を知ったしアイツのなかには私がいるはず


お互い分からないものが同じ、だからだから一緒に探していけるはず


だから私は告げに行く

私の気持ちを、アイツの気持ちを知るために

いままでことを清算するために、いままでの答えを見つける為に

いや、答えなんかないかもしれない、なくたって構わない

そもそも、何を探すのかも実は分かっていないのかもしれない

けど、私は前に進む、それが一番私らしく、それが一番いい方法だから


一緒に探せればそれはそれでいい、それがひとつの答えなのだから

だから私は告げに行く

一緒に探せなくてもそれはそれでいい、それがひとつの答えなのだから

だけど私は告げに行く


あいつのキモチを知るために


「ちょっと馬鹿シンジ！」

あとがき
はじめまして新人のスプライトと申します。この作品は私が書いたはじめての作品なので
何かと不快におもわれた方も多いとおもいますが、お許しください。また、この作品を
公開させていただくに当たってジュンさまには多大なご苦労とご面倒をおかけしたこと
この場を借りて深く感謝したいとおもいます。これからも少しずつですが作品を書いてい
きたいので次回も読んでいただけたら幸いです。

　さぁて、スプライト様の当サイトへの初投稿。
　小説を書くのも初めてらしいわ。
　これってどのあたりのアタシなのかしら？
　ま、早めに気付いてくれて、さすがアタシってことよね。
　それに馬鹿シンジからって待ってたらきりがないし…不安だし…。
　はんっ、世界平和のためにはこれが一番なのよ！

　みんなも感想、ちゃんと出しなさいよっ。
　ホントに素晴らしい作品をありがとうございました、スプライト様。