So Much in Love


夏侯惇

 


僕とアスカは幼馴染だ。



家が隣同士である上に、母親同士が親友ということもあっては必然的に家族ぐるみの付き合いになるわけで・・・。


当然のように僕らは小さいころからいつも一緒だった。


気付けばいつも傍にいる、そんな存在だったんだ。


そして今は恋人・・・と言える関係なんだと思う。


すくなくとも以前の幼馴染の関係とは明らかに変わった。


どちらかから告白したとか、そういうわけじゃないんだけど、気付いたらそういう風になっていた。


こんな風に言うと、なんとなく惰性で付き合っているみたいに思われるかもしれないけどそれは違う。


だって、僕はアスカが大好きだから。


この気持ち、きっとアスカにも伝わってるよね?

















今日は父さんも母さんも仕事で帰って来ないので、僕は家に一人きり。

キョウコおばさんも今日は仕事で帰ってこない。

こんな日にはアスカが夕飯を作りに来てくれるのが慣例になってるんだ。

最近はなんだか2人きりの食事は気まずいんだけど、それでも楽しみにしてるんだ。




ぴんぽーん




あ、アスカが来たみたい。

「は〜い」

「お邪魔するわよ」

「いらっしゃい、アスカ」



勝手知ったる他人の家とばかりにずかずかと上がりこんでくるアスカ。

そのまま台所に直行しててきぱきと料理を始める。

僕はそんなアスカの後姿をなんとなく見つめながら食事が出来上がるのを待っていた。











「シンジ、出来たわよ」



「・・・う・・・ん・・・」



いつの間にか寝てたみたい。

そのまま2人で食卓につく。




無言のまま食べる僕達。

今ここにある音は、食器の音とテレビのバラエティ番組の音だけだ。

特に見たい番組って訳でもないんだけどテレビがついてないと間が持たないから・・・。

確かに会話は無いけど、居心地が悪いとかそういうことは感じない。
どちらかと言うと気恥ずかしいって感じかな?

僕はアスカを意識してるし、アスカも僕を意識してるのがわかる。


アスカは僕を意識しながらもそれを誤魔化すように一心不乱にご飯を食べてる。
こう言う所を見てるとやっぱりアスカって可愛いなあって思ってしまう。

そしてやっぱり僕のことを好きでいてくれるんだろうな・・・と感じる。
つい最近まではそんなことにも気付かなかったんだけどね。


あ、そんな事を考えてる間にアスカが食べ終わっちゃった・・・。

僕も早く食べなきゃ。



「・・・・・・」



僕が食べている様子をアスカが「じーっ」と見つめている。

「あ、アスカ。そんなに見つめないでよ・・・」

「え?あ・・・」

どうやら自分でも気付いてなかったらしい。
気付くと今度は思いっきりそっぽを向いてしまうアスカ。

結局アスカは僕が食べ終わるまでそっぽを向いたままだった。














後片付けも終わり2人でちょっとのんびりした後、2人で散歩に出かける。
最近、2人きりの日には必ず散歩するんだ。










「・・・・・・」











「・・・・・・」






何も言わずにただ一緒に散歩する僕達。






空には星が輝いている。






「星が綺麗だなぁ・・・」


「そうね・・・。」


「でも、これからここが首都になったら人も増えるだろうし星も見えなくなるのかな・・・?」


「そうね・・・」


それっきりまた会話がなくなる。










僕はいつの間にかアスカの手を握りしめていた。
でもアスカは何も言わない。





手をつないだまま歩く。












アスカが好きで・・・。








アスカのことがあまりにも好きで・・・。







何をしたら良いかわからないんだ。








だから今は、ただアスカの手を握ることしかできない。







ねえ、アスカ・・・




今の僕の気持ち・・・伝わってるかな?




アスカも同じ気持ちでいてくれてたら嬉しいな。























「ねえ、シンジ・・・」


「なに?アスカ」


「アタシのことどう思ってる?」


いきなりの質問にちょっぴりどきっとする。


「言わなくてもわからない?」


「わかるけど、アンタの口から聞きたいのよ」

「アンタ、レイやマナにも優しいから・・・たとえ分かってても不安なのよ」


アスカ・・・


「安心・・・させてよ・・・」


アスカの手が震えている・・・。
しっかりと繋いでいる手からそれが伝わってくる。


僕がはっきりとしないから、アスカを不安にさせてしまった・・・。

だからこれ以上アスカを不安にさせないように僕の気持ちを伝えなくちゃ。



「アスカ、君がいなくちゃ僕はだめなんだ・・・。

 そう、好きなんだ・・・。僕の手の温もりで分かるだろ?」


「ふふふ、やっと言ってくれたわね。でも、そんな台詞アンタには似合わないわよ、馬鹿シンジ!」








そして2人は深い恋に落ちた・・・。






As we stroll along together
Holding hands, walking all alone
So in love are we two
That we don't know what to do
So in love
In a world of our own

As we stroll by the sea together
Under stars twinkling high above
So in love are we two
No one else but me and you
So in love
So much in love
So in love
So much in love

We stroll along together
I tell you I need you oh so much
I love love you my darling
Can you tell it in my touch

When we walk down the aisle together
We will vow to be together 'til we die
So much love have we two
Just can't wait to say "I do"
So in love
Are you and I
So in love
Are you and I……





(あとがき)

「So Much in Love」、いかがだったでしょうか?
今回一人称をはじめて書きましたが、難しいですね・・・一人称って。

この作品は同名の洋楽の歌詞からインスピレーションを得て一気に書き上げたものです。
有名な曲なので、知っている方も多いと思います。
知らない方は一度聞いてみてください、いい曲です。
「So Much in Love」を聞きながら読んでも違和感のない作品に仕上がったでしょうか?
もしそうなっていたならとても嬉しいです。



 

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<アスカ>夏侯惇様の当サイトでの2作目よ!
<某管理人>おおきに、ありがとさんです。
<アスカ>くぅうっ!
<某管理人>どないしはったんでっか?腹痛…?
<アスカ>はぁ?今の聞いてどうしてそうなるのよ!
<某管理人>あっと、違いましたか。
<アスカ>あったり前じゃない!深く愛しあってる二人の雰囲気に萌えたんじゃない。
<某管理人>あ、そ、そうですか?
<アスカ>どっかの誰かもこんなの書かないのかしらね?
<某管理人>な、なんでっか、そんな横目で…。

 
 さぁて、夏侯惇様2作目。
 付き合いはじめて、二人の互いへの想いがさらに深くなる時期を描いてくれたのよね。
 こういう時って、一つ一つの言葉が凄く大事で、
 相手のしぐさ一つに色々と考えてしまうのよ。
 私とシンジって幼馴染だから、それまでの子供っぽい付き合い方から変化していく時。
 その時をシンジの眼で語ってくれて、アリガトね!

 夏侯惇様、素晴らしい作品をありがとうございました!
  

 

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