(その壱)

 


(その弐)

 

 

 

蝶々殺人事件

 角川文庫・初版 昭和48年8月10日 解説:大坪直行

  蝶々殺人事件 本文271P
  蜘蛛と百合 本文51P
  薔薇と鬱金香 本文60P

 由利先生の戦後初の長編。
 昭和12年、歌劇団の主宰者・原さくらがコントラバスのケースの中から死体となって発見された。由利先生は三津木俊助を伴って、発見現場である大阪へと向かう。
 『本陣殺人事件』と並行して執筆されたという事実を疑ってかかりたくなるような傑作です。解説にあるとおり、正にクロフツ(『樽』)を意識して書かれたのが間違いない、論理的で且つ都会的な作品に仕上がっています。しかしながら、この作品をもって由利先生は長編から引退。戦後は金田一耕助の舞台となりました。

 表紙は2バージョン有ります。

(その壱)

 この表紙に帯を付けたらとんでもなくエロティックな感じになります。すぐに販促帯を付けたがる角川商法に合わせて(?)作成されたのが<その弐>バージョンです(冗談です)。

 

(その弐)

 花も恥じらう中学2年の少年にはこの表紙はあまりに……!書店のカウンターに持って行くにはかなりの勇気が必要だった。そんな勇気がなかった私は……。帯のついている本を探して買いました。当時は<HOT BOOK!>という角川文庫フェスティバルの赤い帯が付いている書店とない書店がありました。帯がない書店は何故はずして売ったかというと、帯を違う本に付け変えて安い値段で購入する不届き者がいるからだと本屋のオヤジさんに聞きました。当時はバーコードじゃなかったからね。

 

 

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