相続税の対策をする前に、まずあなたの相続財産がどれだけあるか調べて下さい。相続税の
申告後に漏れていた事が発覚して修正申告しても、加算税が課されますし、何よりも全体を把握
して個々の課題が見つかるものです。「木を見て森を見ず」にならないようにする事です。
ポイント | 毎年、こまめに贈与税の申告をして贈与税を支払い、その贈与金額を 一定にしないことが必要です。 |
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一定の要件に該当する場合には、贈与税が非課税になったり、軽減される次の特例を利用する
ことによって贈与税と相続税の両方の節税になります。
ただし、贈与税の配偶者控除は贈与された配偶者が先に死亡した場合には、贈与した財産が
相続財産として元の所有者に戻ることになり、逆効果になります。
生前に購入すれば、手持の資金が非課税財産に転換されます。但し、実際に仏壇等として使用
していても純金製などは美術品として課税されますから、注意が必要です。
しかし、バブル崩壊後ゴルフ会員権の暴落や、土地価格の下落といったリスクが生じますので、
短期間での相続対策には注意が必要です。
宅地に建物を建て、その建物を貸している場合には、借家人には借家権がありますが借地権
に比べると、土地の利用制限はありません。
この貸家が建っている土地(貸家建付地)と貸家は、自分で使用している場合と比べると減額
され、借入金で貸家を建てた場合には、その借入金を相続財産から控除することができます。
又、賃借料は相続人の生活費や納税資金の一部にすることもできます。
自用地としての評価額 1億円 貸家の固定資産税評価額 1000万円 借地権割合 70% 借家権割合 30% |
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貸家建付地の評価額 | 1億円×(1−70%×30%)=7900万円 |
貸家の評価額 | 1000万円×(1−30%)=700万円 |
法定相続人が少ない場合には、基礎控除が少なくなる、生命保険金・死亡退職金の非課税金額
が少なくなる等の影響があります。
又、老後や病気の世話をしてくれた人に相続させたいが、法定相続人でない場合には有効に
なります。
基礎控除額 = 5000万円 + 1000万円 × 法定相続人の数 |
実子がいるとき | 養子とみられるのは1人だけ |
実子がいないとき | 養子とみられるのは2人まで |
又、養子縁組をすることで、他の相続人の感情を害したり、トラブルが生ずることもありますから
注意が必要です。
この場合に該当する宅地が複数あるときは、納税者の選択によってどの宅地を選ぶかは自由
になっていますが、評価減が最も大きくなるような選択をすることが必要になります。
節税対策 |
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貸ビルの宅地については、50%の評価減になりますが、そのビルの一部を自宅に している場合には、その敷地全体を特定居住用宅地として80%評価減の適用を受 けることができます。 貸ビルの宅地の相続税評価額が高い地域の場合には、そのビルの1室に自宅を 移すようにすることで、80%評価減を適用し節税効果を受けることができます。 |
業務上の死亡である場合 | 死亡時の普通給与の3年分 |
業務上の死亡でない場合 | 死亡時の普通給与の半年分 |
業績がよくて利益が出ている会社や、土地などの不動産を所有している会社は、その株式の
評価額が異常に高く評価されることも少なくありません。
問題点 | |
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・ | 同族会社の場合、株式の評価額が高ければその分相続税が増えることになり、相続税 を払うために自社株を手放すことによって会社経営に支障がおきたり、最悪の場合倒産 ということにもなります。 |
・ | 自社株を売却する場合にも、上場株式と違ってその評価額で容易に処分することもでき ません。そして株式の売却所得については、源泉分離課税を選択することはできません から、26%(所得税20%・住民税6%)の税金がかかります。 |
同族会社のような取引相場のない株式の評価は、下記の3つの評価方法があり、どの評価
方法を使うかは、
1. 相続や贈与で株式を取得した人が、株主の中でどんな立場にあるか
2. その会社の規模
によって決定されます。
取引相場のない株式の評価方法 | 類似業種比準価額方式 |
純資産価額方式 | |
配当還元価額方式 |
1 | 後継者が株主となって新会社を設立し、経営者の会社の高収益部門を移します。その 結果、経営者の会社の純資産は減少しますから、株式の評価額は少なくなります。 |
2 | 更に、後継者の会社は経営者の会社の株式を経営者から購入します。経営者の持株 が少なくなりますから相続財産が減少します。 |
3 | 相続が発生した場合には、後継者は相続によって取得した株式を新会社に売却する ことによって、納税資金を作ることができます。 |
一般の従業員のような少数株主の場合には、配当還元価額が適用されますから、最も低い
評価額になり売却価額や贈与価額も少なくなります。
従業員に自社株を持たせることによって、従業員の経営参加意識やモラルの向上といった
側面も得ることができます。
しかし、あまり多くの株式を従業員に与えますと、会社の経営に支障が生ずる可能性もあり
ます。