小規模宅地等の課税の特例

個人が相続又は遺贈により取得した特定の小規模宅地等については、200平方メートル
の部分については、通常の評価額の80%又は50%を減額して評価することができます。
(贈与の場合には適用されません。)

平成11年1月1日以後に相続又は遺贈により取得した小規模宅地等のうち、特定事業用宅地等、
特定同族会社事業用宅地等及び国営事業用宅地等については、その特例対象面積が200平方
メートルから330平方メートルに拡大されています。

減額割合

利用形態 減額割合
居住用 特定居住用宅地等 80%
上記以外 50%
事業用 特定事業用宅地等 80%
上記以外 50%
国の事業の用 国営事業用宅地等 80%
上記以外 50%
同族会社の
事業用宅地
特定同族会社事業用宅地等 80%
上記以外 50%
貸付用・その他 50%

事業には、不動産貸付業・駐車場業・自転車駐車場業(その規模、設備の状況及び業態等
を問いません。)及び準事業である不動産貸付業は、含まれません。


特例対象宅地の範囲

上記の80%減額の対象になる特定居住用宅地等、特定事業用宅地等、国営事業用宅地等
及び特定同族会社事業用宅地等とは、次のものをいいます。

特定居住
用宅地等
 被相続人等が居住の用に供していた宅地等で、相続又は遺贈によってその宅地等
を取得した個人のうちに、下記の要件のいずれかを満たす親族がいる場合の宅地等
要件 1 親族が相続開始の直前にその宅地等の上にある被相続人の居住用家屋に
 同居していた者で、申告期限まで引き続きその宅地等を有し、かつ、その家屋
 に居住していること
2 被相続人の居住用家屋を取得した親族が、相続開始前3年以内にその者又
 はその者の配偶者の持家(相続開始直前に被相続人が居住していた家屋を除
 く)に居住していたことがない者であり、かつ、申告期限まで引き続きその宅地
 等を有していること
  (被相続人の配偶者又は相続開始直前に上記1の家屋に居住していた法定
  相続人がいないこと)
3 親族が被相続人と生計を一にしていた者で、申告期限まで引続きその宅地
 等を有し、かつ、相続開始から申告期限まで引続きその宅地等を自分の居住
 の用に供していること
 貸マンション・貸ビルの1階や1室に居住し、その他を貸し付けているような場合には、
敷地全体について特定居住用宅地等の80%評価減の適用が受けられます
特定事業
用宅地等
 被相続人等が事業の用に供していた宅地等で、相続又は遺贈によってその宅地等
を取得した個人のうちに、下記の要件のいずれかを満たす親族がいる場合の宅地等
要件 1 被相続人の親族が、相続開始時から相続税の申告期限までに、その宅地の
 上で被相続人が営んでいた事業を引き継ぎ、申告期限まで引き続いて宅地等
 を所有し、かつ、その事業を営んでいること
2 被相続人と生計を一にしていた親族が、相続開始時から相続税の申告期限
 まで、引き続いて宅地等を所有し、かつ、引き続いてその宅地等を自分の事業
 の用に供していること
国営事業
用宅地等
 特定郵便局の敷地の用に供されている宅地等で、次の用件を満たす場合の宅地等
要件  相続等によりその宅地等を取得した個人のうちに被相続人の親族がおり、その
親族から相続開始後5年以上その宅地等を特定郵便局の敷地の用に供する為
に借り受ける見込みであることについて地方郵政局長(沖縄は沖縄郵政管理事
務所長)が証明したこと
特定同族
会社事業
用宅地等
 相続開始直前に被相続人等が発行済株式の50%以上を有する法人の事業(不動
産貸付業等を除く)の用に供されていた宅地等で、次の要件を満たす場合の宅地等
要件  相続等によりその宅地等を取得した個人のうちに被相続人の親族(申告期限
において、その法人の役員であるものに限る)がおり、その親族が申告期限まで
引続きその宅地等を所有し、かつ、申告期限まで引き続きその法人の事業の用
に供されている場合


特例対象面積

平成11年度の税制改正により、特定事業用宅地等、特定同族会社事業用宅地等及び国営
事業用宅地等については、その特例対象面積が200平方メートルから330平方メートルに
拡大されました。

小規模宅地等 減額割合 特例対象面積
特定事業用宅地等 80% 330平方メートルまでの部分
国営事業用宅地等
特定同族会社事業用宅地等
特定居住用宅地等 200平方メートルまでの部分
上記に該当しない小規模宅地等 50%

<特定事業用宅地等と特定居住用宅地等の両方がある場合>

特定事業用宅地等だけでなく、特定居住用宅地等がある場合には、特例対象面積の調整
計算を行います。この場合には、
      1 特定事業用宅地等を優先的に選択する場合
      2 特定居住用宅地等を優先的に選択する場合
に区分して調整計算を行い、いずれか有利な方を選択することになります。

特定事業用宅地等の面積=A 特定居住用宅地等の面積=B
特定事業用宅地等を優先して選択する場合  B=(330−A)×200/330
特定居住用宅地等を優先して選択する場合  A=(200−B)×330/200

<同一建物内に特定事業用と特定居住用がある場合>

店舗併用住宅や賃貸マンション内に住宅がある場合のように、同一建物内に特定事業用と
特定居住用がある場合には、あん分計算によって特例適用面積を求めます。


計算例

特定事業用宅地等の場合

例1 特定事業用宅地等の相続税評価額 1億円
面積が330平方メートル
以下の場合
減額される金額 1億円×80%=8000万円
課税価格 1億円−8000万円=2000万円
面積が500平方メートル
の場合
特例対象面積 330u
減額される金額 1億円×330/500×80%=5280万円
課税価格 1億円−5280万円=4720万円

特定事業用宅地等と特定居住用宅地等の両方がある場合

例2 特定事業用宅地等の相続税評価額 5000万円 面積231平方メートル
特定居住用宅地等の相続税評価額 8000万円 面積120平方メートル
特定事業用
宅地等を優
先して選択
する場合
特定事業
用宅地等
特例対象面積 231平方メートル
減額される金額 5000万円×80%=4000万円
課税価格 5000万円−4000万円=1000万円
特定居住
用宅地等
特例対象面積 (330−231)×200/330=60平方メートル
減額される金額 8000万円×60/200×80%=1920万円
課税価格 8000万円−1920万円=6080万円
課税価格 1000万円+6080万円=7080万円
特定居住用
宅地等を優
先して選択
する場合
特定居住
用宅地等
特例対象面積 120平方メートル
減額される金額 8000万円×80%=6400万円
課税価格 8000万円−6400万円=1600万円
特定事業
用宅地等
特例対象金額 (200−120)×330/200=132平方メートル
減額される金額 5000万円×132/231×80%=2285万円
課税価格 5000万円−2285万円=2715万円
課税価格 1600万円+2715万円=4315万円
有利な方 7080万円>4315万円 よって、特定居住用宅地等を優先する

同一建物内に特定事業用と特定居住用がある場合

例3 宅地の相続税評価額   1億円            面積 330平方メートル
建物 延床面積   500平方メートル   1階 特定居住用   2階 空室
    各階の面積 100平方メートル        3階〜5階  特定事業用
特定事業用宅地等
を優先して選択する
場合
特定事業用宅地等
の特例対象面積
330×300/500=198平方メートル
特例居住用宅地等
の特例対象面積
(330−198)×200/330=80平方メートル
80%評価減
対象面積
198+80=278平方メートル
特定居住用宅地等
を優先して選択する
場合
特定居住用宅地等
の特例対象面積
330×200/500=132平方メートル
特定事業用宅地等
の特例対象面積
(200−132)×330/200
=112.2平方メートル
80%評価減
対象面積
132+112.2=244.2平方メートル
有利な方 278>244.2 よって、特定事業用宅地等を優先する


特例を受けるための手続

この特例の適用を受けるためには、期限内申告書、期限後申告書又は修正申告書にこの
適用を受ける旨を記載し、計算明細書{「小規模宅地等に係る課税価格の計算明細書」
(申告書第11表の付表1)}を添付して申告する必要があります。