金融商品の税金

複雑な課税方式  特定の人は非課税  確定申告で配当の税金を取戻す

上場株式等の売却は、申告方法で有利不利がでる     外国税額控除

バブル崩壊後の長期不況により、国内預金は超低金利時代が続く!
一方金融ビッグバンによる規制緩和で、外貨建金融商品等多種多様の商品が登場!

複雑な課税方式

預貯金の利息,外貨預金の為替差益,生命保険の収益,株式投資等個人が金融取引に
より得た所得には課税(所得税・住民税)されます。
そして、下図のようにその内容によって課税方法はかなり異なります。

金融商品 収益 所得 所得税 住民税

 預貯金

 貸付信託 

 株式

   ・

   ・

 外貨預金

 外貨MMF


 利息

 給付補填金 

 収益の分配

 償還差益

 解約差金

 売却益

 保険差益

 利子所得 

 配当所得

 事業所得

 譲渡所得

 一時所得

 雑所得

 非課税

 総合課税

 15%源泉分離課税 
 16%源泉分離課税
 18%源泉分離課税

 売却価額×1.0%
 (源泉分離課税)

 売却益×20%
 (申告分離課税)

 非課税

 総合課税

 5%源泉分離課税

 売却益×6%
 (申告分離課税 )

・預貯金の利息、公社債投資信託・金銭信託・貸付信託の収益の分配等、金融商品の多くは利子
 所得として、20%(所得税15%・住民税5%)の源泉分離課税で課税関係は終了します。

・割引国債の償還差益は「利子所得」ではありませんが、「雑所得」として利子所得と同じように
 源泉分離課税で課税関係は終了します。(所得税18%・住民税は非課税

・金融商品の売却益は非課税もありますが、一般に総合課税の対象になります。

・そして、国内金融商品がコンマ以下の金利をしりめに高金利の外貨建金融商品に人気が出てい
 ますが、為替差益は総合課税の対象になり、外国で課税される場合もあります。

★ 無記名株式の配当は誰が申告? ★

無記名株式の配当,無記名公社債の利息等については、元本の所有者以外の人が配当等を
受けていてもその元本の所有者がその配当を受けているものとみなして、その元本の所有者
が申告します。

主な課税例
金融商品 収益 所得 所得税 住民税
 金銭信託  収益の分配  利子所得   15%源泉分離課税   5%源泉分離課税 
 利付公社債   利息
 償還差益
 売却益
 利子所得
 雑所得
 15%源泉分離課税
 総合課税
 非課税
 5%源泉分離課税
 総合課税
 非課税
 外貨預金  利息
 為替差益
 〃(先物予約) 
 利子所得
 雑所得
 雑所得
 15%源泉分離課税
 総合課税
 15%源泉分離課税
 5%源泉分離課税
 総合課税
 5%源泉分離課税

給与所得者は総合課税の場合でも、給与収入2000万円以下で他の所得が20万円以下
等の場合確定申告は不要ですが、1銘柄年間10万円超の株式配当金は確定申告をするか、
35%源泉分離課税(住民税は総合課税)を選択しなければなりません。


特定の人は非課税

誰が 何が どうすれば

 65歳以上の人

 遺族年金の受給者 

 身体障害者等

 郵便貯金の元本350万円以下の利子 
 預金等の元本350万円以下の利子
 国債等の元本350万円以下の利子

 外貨預金等は対象外
 非課税貯蓄申告書の提出 

上記以外の場合にも、給与所得者で勤務先に財形貯蓄制度が設けられている場合には、
利子については非課税になります。

種類 非課税限度額 別用途引出し
 住宅財形    年金とあわせて元本550万円  引出しから5年間さかのぼって課税
 年金財形  年金だけの場合
   生命保険等は元本385万円  
 生命保険等は当初にさかのぼって課税  


確定申告で配当の税金を取戻す

課税所得330万円以下(標準世帯で給与収入約800万円以下)の人は、
還付申告をしましょう!!

課税所得330万円以下は10%の所得税が課税されますが、配当は既に20%の所得税が
源泉徴収されていますから、還付申告すれば差引き10%が還付されます。

又、10%が配当控除として税額控除されるため、トータルで20%が還付されます。

外国法人からの配当収入については、配当控除は適用されません。


上場株式等の売却は、申告方法で有利不利がでる

申告方法 原則 特例
        申告分離課税           源泉分離課税
対象 上場株式・店頭登録株式・株式会社・
有限会社の出資持分等すべての株式  
上場株式・店頭登録株式等の証券会社、
銀行の営業所を通じての売却
税額 売却利益の20%(所得税)
売却利益の 5%(住民税)
売却価額の1.05%(所得税)
住民税は非課税
特長
売却損がでる場合   有利  

確定申告が必要

売却利益が大きい場合  有利
売却損がでる場合も課税されるので不利 

確定申告は不要
平成13年3月31日まで適用

★ 売却価額の1.05%の理由 ★
株式の売却益を売却価額の5.25%とみなして、その「みなし売却益」に所得税20%が
課税されるとしているからです。
5.25%×20%=1.05%

但し、下記の場合には5.25%をそれぞれに読み替えて適用されます。
   ・信用取引等による上場株式等の売却又は信用取引等の決済のために行う上場株式等
    の売却の場合  ・・・・・  これらの決済に係る差益
   ・転換社債又は新株引受権付社債の売却の場合  ・・・・・  2.5%

平成11年4月1日以後の株式の売却から、有価証券取引税が廃止されました。
(約2000億円の減税)
この背景には、金融ビッグバンによる規制緩和でなくなったと同時に、投資家優遇税制との批判
があった源泉分離課税を廃止することもあったようです。


外国税額控除

外国で得た所得について外国で課税された場合でも、所得税法では外国で得た所得を国内
所得に加算して申告しなければなりませんから、二重課税されることになります。

そこで、国際二重課税排除するために、外国で課税された税額を日本の所得税から控除でき
る制度「外国税額控除」が設けられています。

控除限度額

所得税の額×国外所得総額/所得総額
控除限度額と外国税額のうち、少ない金額を
差引きます。
不動産所得,事業所得,山林所得,雑所得 
についての外国所得税
必要経費に算入することを選択できます。
この場合は、外国税額控除は適用されません。
外国税額の控除不足額 その年の翌年以後3年間繰り越すことができます。
外国税額控除に関する明細書 外国税額が課税されたことを証する書類と一緒に、
確定申告書に添付します。

アメリカの株式配当は、アメリカの所得税15%が源泉徴収されます。
日本ではアメリカで源泉徴収された後の金額の20%が、さらに源泉徴収されます。

 

確定申告により、アメリカで源泉徴収された税金を外国税額控除として控除します。

外国税額控除を適用できる人は、居住者です。

居住者とは、国内に住所を有し、又は現在まで引き続いて1年以上居所を有する人を
いいます。