サラリーマンと確定申告

サラリーマン(給与所得者)は、一般的に「年末調整」によって所得税が精算されますから、
確定申告は不要です。
しかし、下記のように申告の義務がある場合の他、申告によってトクになる場合もあります。

確定申告の義務がある場合

給与の収入金額が2000万円を超えるとき
給与を1か所のみから受けているときで、地代・家賃・原稿料など、給与所得以外の所得金額
の合計額が20万円を超えるとき
給与を2か所以上から受けているときで、その従たる給与(年末調整を受けない給与)の収入
金額と給与所得以外の所得金額の合計額が20万円を超えるとき
※ 但し、確定申告が不要な場合もあります
同族会社の役員や、役員と特殊な関係にある人(役員の親族・役員と内縁関係にある人・役員
から受ける金銭で生計を維持している人)で、その役員等をしている同族会社から給与のほか、
貸付金利子・店舗や事務所の賃貸料などの支払いを受けているとき
家事使用人などが源泉徴収されない給与を受けているときで、納付すべき税額があるとき
災害減免法により、源泉徴収の猶予や還付を受けるとき
日本法人のない外資系企業の社員が、日本以外の国から給与を受けるとき
     ・給与 → 受取時のTTB(電信買相場)で円換算
     ・ストックオプション → 給与所得として、利益を受けた日のTTBで円換算

※ 確定申告が不要な場合

給与の収入金額の合計額≦150万円+(雑損、医療費、寄付金、基礎)控除以外の所得控除額


★ 退職所得がある場合 ★

退職金については、原則として退職金の支給の際に源泉徴収されますから、課税関係は終了
します。しかし、次の場合には申告義務があります。

 「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったために、退職金の支給者から20%の税率
で源泉徴収された人で、その源泉徴収税額が正規の税額より少ないとき


確定申告が必要な場合

上記の「給与所得以外の所得金額の合計額が20万円以下」となる場合であっても、次の場合
には確定申告が必要になります。その他譲渡所得の特例等の適用を受ける場合も同様です。

優良賃貸住宅等の割増償却の適用によって、不動産所得が20万円以下となるとき
青色申告特別控除(55万円又は45万円)により、所得金額が20万円以下となるとき
      その他、貸借対照表・損益計算書が必要になります
・居住用財産の譲渡の場合の3000万円特別控除・居住用財産の譲渡の場合の軽減税率の特例
・相続等により取得した居住用財産の買換え特例 ・特定の居住用財産の買換え特例
などの適用を受けるとき
居住用財産の譲渡損失の繰越控除を受けるとき
相続財産を譲渡して、取得費の特例の適用を受けるとき
住宅借入金等特別控除の適用を初めて受けるとき(2年目以後は、年末調整で受けられます)


確定申告で税金が戻る場合

確定申告の義務がなくても、次の場合には還付を受けるための申告書を提出することで、納
め過ぎになっている税金が戻ってくる場合があります。

給与所得が少ない人で、源泉徴収された配当金や原稿料などがあるとき
年の途中で退職した後、再就職していないとき
災害・盗難・横領による損失があるとき
10万円超の医療費の支出があるとき
  ※合計所得金額が200万円未満の場合は、合計所得金額の5%相当額超の医療費
特定の寄付金をしたとき
  ※政党等に対する寄付金で一定のものは、「寄付金控除」か「政党等寄付金特別控除」の
有利な方を選択できます
住宅借入金等特別控除の適用を受けるとき
内国法人の配当金について、配当控除の適用を受けるとき
「退職所得の受給に関する申告書」を提出しなかったために、退職金の支給者から20%の税率
で源泉徴収された人で、その源泉徴収税額が正規の税額より多いとき
年末調整をする会社に提出した「給与所得者の保険料控除申告書」に、記載漏れがあったとき
年末調整をした後に子供が産まれて、扶養親族が増えたとき
  ※次の年度以降は、年末調整で受けられます
特定支出の額の合計額が給与所得控除額を超えるために、「給与所得者の特定支出控除の
特例」の適用を受けるとき

 ※ 「給与所得者の特定支出控除の特例」の適用を受ける場合

給与所得 収入金額−特定支出の額の合計額
特定支出 ・通勤費  ・転居費  ・研修費  ・資格取得費  ・帰宅旅費

◆源泉分離課税の利子所得、配当所得、雑所得等について源泉徴収された税額は、確定申告
 によって還付を請求することはできません。


損失の繰越し・繰戻しによる還付請求をする場合

次の場合には、損失の金額を次年度以降に繰り越したり(3年間が限度)、前年分の所得税額
を還付することができます。

1.純損失・雑損失の繰越し

その年の所得金額が、マイナスになるとき
その年の雑損控除額が、その年の所得金額を超えるとき
その年の前年以前3年間の繰越し損失額が、その年の所得金額を超えるとき

2.純損失の繰戻し還付

青色申告者で、その年の所得金額のマイナス分を前年に繰り戻して、前年分の所得税額の
還付を受けるとき