障害者と税金

社会的弱者を救済する見地から、税制面では以下の制度が設けられています。

税法上の障害者

税法上の障害者・特別障害者とは、次のいずれかに当てはまる人をいいます。

  障害者 特別障害者
 常に心神喪失の状態にある人 同左
 児童相談所・知的障害者更生相談所・精神保健福祉
センター・精神保健指定医の判定によって、知的障害者
と判定された人
重度の知的障害者と判定された人
 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律により
精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人
障害等級が1級と記載されている人
 身体障害者福祉法の規定によって交付を受けた身体
障害者手帳に、身体上の障害がある人として記載され
ている人
障害の程度が1級又は2級と記載され
ている人
 精神又は身体に障害のある年齢満65歳以上の人で、
その障害の程度が1、2又は4に掲げる人に準ずるもの
として町村長や福祉事務所長の認定を受けている人
特別障害に準ずるものとして町村長や
福祉事務所長の認定を受けている人
 戦傷病者特別援護法による戦傷病者手帳の交付を
受けている人
障害の程度が恩給法に定める特別
項症から第3項症までの人
 原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律により
厚生大臣の認定を受けている人
同左
 その年の12月31日において引き続き6か月以上に
わたって身体の障害により常に寝ていなければならない
状態で、複雑な介護を必要とする人
同左


障害者本人が受けられる特例

1.所得税

★利子所得の非課税★

預貯金・公社債の利子は、利子所得とされ、その支払の際に20%の税率(所得税15%・
住民税5%)で源泉徴収されて、課税関係は終了します。
ただし、身体障害者手帳の交付を受けている人等には、元本1050万円までの利子等に
ついての非課税制度があります。

★所得控除★

納税者が障害者である場合には、以下の所得控除がうけられます。

所得控除 控除額
障害者控除 27万円(特別障害者は40万円)
医療費控除 寝たきり老人等が使用するおむつの購入費用で、担当医の「おむつ使用証明書」
があるもの

  支払医療費−保険金等=差引負担額
  差引負担額−(10万円と所得合計額の5%のいずれか少ない方)
  =医療費控除額(最高200万円)

★退職所得控除額の加算★

  退職所得の金額=(収入金額−退職所得控除額)×1/2

  退職所得控除額

勤続年数 退職所得控除額
20年以下の場合 40万円×勤続年数(80万円未満のときは80万円)
20年超の場合 70万円×(勤続年数−20年)+800万円

※障害者になったことに直接基因して退職した場合には、上記の金額に100万円が加算
されます。


1.贈与税

★特別障害者扶養信託契約に基づく信託受益権の非課税★

特別障害者が、他の個人と信託を業務とする銀行等の間で、特別障害者を受益者とする
特別障害者扶養信託契約に基づき金銭、有価証券その他の財産が信託されたことによっ
て、信託受益権を有することとなる場合は、その信託受益権のうち6000万円までの部分
は非課税になります。

2.相続税

★税額控除★

相続人が70歳未満の障害者のときは、障害者控除がうけられ、相続税の額から控除する
ことができます。

税額控除 要件 控除額
障害者控除 相続や贈与で財産をもらった
ときに
 ・日本国内に住所がある人
 ・障害者である人
 ・法定相続人であること
一般
障害者
70歳に達するまでの1年につき6万円
の控除
特別
障害者
70歳に達するまでの1年につき12万円
の控除


障害者を扶養している人が受けられる特例

1.所得税

★所得控除★

控除対象配偶者又は扶養親族が障害者である場合には、以下の所得控除が受けられます。

所得控除 控除額
障害者控除 27万円(特別障害者は40万円)
医療費控除 寝たきり老人等が使用するおむつの購入費用で、担当医の「おむつ使用証明書」
があるもの

  支払医療費−保険金等=差引負担額
  差引負担額−(10万円と所得合計額の5%のうち少ない方)
  =医療費控除額(最高200万円)
配偶者控除 同居特別障害者である     老人控除対象配偶者 83万円
    控除対象配偶者 73万円
扶養控除 同居特別障害者である     同居老親等 93万円
    老人扶養親族 83万円
    特定扶養親族 98万円
    年少扶養親族 83万円
    その他の扶養親族 73万円
小規模企業共
済等掛金控除
地方公共団体が実施する、心身障害者扶養共済制度の掛金

年少扶養親族については、平成12年分から10万円引下げ。

2.贈与税

★心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の受給権の非課税★

心身障害者扶養共済制度は、地方公共団体が条例により、精神又は身体に障害のある者を
扶養する者を加入者とし、その加入者が地方公共団体に掛金を払い込むことによって、一定
の給付事由が生じた後に、その地方公共団体が、心身障害者の扶養のための給付金を定期
的に支給するというものです。

この場合において、加入者以外の者が掛金を負担していた場合には、みなし贈与財産
なりますが、その性質上その年金の受給権は非課税財産とされます。

3.相続税

★心身障害者扶養共済制度に基づく給付金の受給権の非課税★

この共済制度は、加入者(原則として心身障害者の保護者)が生存中掛金を負担し、その保護
者が死亡した場合に心身障害者の生存中、その障害者に対し年金を支払うもので、この年金の
受給権は生命保険金の年金払のものと同様の性質をもっており、みなし相続財産となりますが、
その性質上その年金の受給権は非課税財産とされます。

★税額控除★

相続人が70歳未満の障害者のときは、上記<障害者本人が受けられる特例>の相続税
の障害者控除が受けられます。

この場合に、その障害者控除が障害者本人の相続税額より大きいため控除額の全額が引きき
れないときは、その引ききれない部分の金額を、その障害者の扶養義務者の相続税額から差し
引くことができます。


障害者を雇用する者が受けられる特例

1.所得税・法人税

★障害者を雇用する場合の機械等の割増償却★

青色申告書を提出する個人や法人が、昭和48年4月1日から平成13年3月31日までの期間に
おいて、障害者を雇用しており、かつ、その障害者雇用割合が50/100(雇用障害者数が20人
以上である場合には25/100)以上である場合には、機械等の減価償却計算において、普通償
却費に所定の割増償却費を加算することができます。


その他の特例

1.所得税・法人税

★障害者対応設備等の初年度特別償却★

青色申告書を提出する運輸事業又は一般旅客自動車運送事業を営む個人や法人が、平成10
年4月1日から平成12年3月31日までの間に、障害者対応設備等を取得して事業の用に供した
場合には、初年度の減価償却計算において、普通償却費に所定の特別償却費を加算することが
できます。

<障害者対応設備等>

・駅又は停留場に設置されるエレベーター及びエスカレーター等で、障害者等の利用に資
 するもの
・高齢者、障害者対応の乗降補助装置を有する一定のバス及びタクシー等