高齢者と税金

高齢者に関する税法の取扱いは、以下のものがあります。

所得税

1.利子所得の非課税(老人等のマル優)

預貯金・公社債の利子は、利子所得とされ、その支払の際に20%の税率(所得税15%・
住民税5%)で源泉徴収されて、課税関係は終了します。
但し、老人等の場合には、次の3つの非課税制度があります。

老人等 年齢65歳以上の人
遺族基礎年金を受給している被保険者の妻
寡婦年金、母子年金を受けている人
児童扶養手当を受けている児童の母親
身体障害者手帳の交付を受けている人
その他上記に類する人


◆  老人等の非課税制度  ◆

老人等の少額預金の利子所得等
の非課税制度(老人マル優)
外貨預金と郵便貯金を除く預金、公社債、公社債投資
信託等のうち、元本350万円までの利子等
老人等の少額公債の利子の
非課税制度(マル特)
国債・地方債のうち額面合計額が350万円までの利子
老人等の郵便貯金の利子所得の
非課税制度
住宅積立貯金以外の郵便貯金のうち、元本350万円
までの利子

※これらの非課税枠を利用する場合には、預入れの際に所定の非課税貯蓄申告書を提出する
 他、住民票の写し・健康保険の被保険者証・運転免許証・年金手帳・身体障害者手帳など公的
 な確認書を提示する必要があります。

2.所得控除

★老年者控除★

老年者に該当するときは、所得控除として老年者控除を受けられます。

所得控除 内 容 控除額
老年者控除 その年の12月31日現在で年齢65歳以上の人で、その年の
合計所得金額が1000万円以下の人
50万円

合計所得金額とは、純損失・雑損失の繰越控除を適用しないで計算した総所得金額、特別
 控除前の分離課税の譲渡所得金額、退職所得金額等の合計額をいいます。

★配偶者控除★

老人控除対象配偶者を有するときは、配偶者控除を受けられ、一般の控除対象配偶者に
比べると加算額があります。

所得控除 内 容 控除額
配偶者控除 生計を一にする合計所得金額38万円以下の配偶者
で、その年の12月31日現在で年齢70歳以上の人
同居特別
障害者  83万円
その他  48万円

※老人控除対象配偶者が同居特別障害者であるときは、別に障害者控除として40万円が控除
 できます。

★扶養控除★

老人扶養親族を有するときは、扶養控除を受けられ、一般の扶養親族に比べると加算額
があります。

所得控除 内 容 控除額
扶養控除 生計を一にする合計所得金額38万円以下
の扶養親族で、その年の12月31日現在で
年齢70歳以上の人
同居特別
障害者
同居老親等 93万円
それ以外  83万円
上記以外 同居老親等 58万円
それ以外  48万円

※同居老親等とは、納税者又はその配偶者の直系尊属で、常に一緒に暮らしている人をいいます。

※老人扶養親族が同居特別障害者であるときは、別に障害者控除として40万円が控除できます。

3.公的年金等に対する課税

公的年金等による所得は雑所得として課税されますが、高齢者に課税されるものであること
等を考慮して、通常の雑所得とは異なる所得の計算方法が採られています。

★公的年金等★

公的年金等
・国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立
学校教職員共済法、農林漁業団体職員共済組合法、農業者年金基金法及び旧船員保険法
の規定に基づく年金、指定共済組合が支給する年金、旧令共済退職年金、石炭鉱業者年金
・恩給(一時恩給を除く)及び過去の勤務に基づき使用者であった者から支給される年金
・適格退職年金、特定退職金共済団体の支給する年金及び外国年金
・中小企業退職金共済法に規定する分割払の方法により支給される分割退職金及び小規模
企業共済法に規定する共済契約(旧第1種共済契約)に基づく分割共済金

★源泉徴収★

公的年金等に対しては、その支払いの際に次の算式により計算した税額が、給与所得の
場合と同様に源泉徴収されます。

( 公的年金等の収入金額 − 一定の控除額 ) × 10% = 源泉徴収税額

一定の控除額

公的年金等控除額と、年金受給者が社会保険庁に提出する「公的年金等の受給者の扶養控除
等申告書」に記載した配偶者控除、扶養控除などの人的控除の合計額をいいます。

★所得の金額の計算★

公的年金等の収入金額 − 公的年金等控除額 = 雑所得の金額


◆  公的年金等控除額  ◆

年齢 公的年金等の収入金額 控除額
65歳以上の人 260万円未満 140万円
260万円以上460万円以下 収入金額×25%+  75万円
460万円超 820万円以下 収入金額×15%+ 121万円
820万円超 収入金額× 5%+ 203万円
65歳未満の人 130万円未満 70万円
130万円以上410万円以下 収入金額×25%+ 37.5万円
410万円超 770万円以下 収入金額×15%+ 78.5万円
770万円超 収入金額× 5%+155.5万円

※65歳以上であるかどうかの判定は、その年12月31日(年の途中で死亡又は出国をする場合
 には、その死亡又は出国のとき)の年齢によります。

★申告・納付★

公的年金等に対しては、給与所得のように年末調整が行なわれませんから、生命保険料
控除、損害保険料控除などの控除がある場合には、確定申告をします。

確定申告により、源泉徴収された税額とその年に納付すべき税額との差額(公的年金等以外に
収入がないときは還付になります。)が精算されます。