社宅の賃貸料

会社が所有する社宅や他から借り受けた不動産を社宅として、役員や従業員に貸与した場合
には、以下の課税関係が生じます。

フリンジ・ベネフィット

会社が役員や従業員に対して金銭以外の物や権利等の経済的利益を与えることを「フリンジ・
ベネフィット(現物給与)」といいます。
フリンジ・ベネフィットは給与所得として課税され、源泉徴収の対象となりますが、役員の場合
には会社の法人税の計算上、次の点に注意する必要があります。

支給方法 法人税の計算上注意する点
定期的 定期的な報酬であっても、その額が不相当に高額な場合には、適正額との差額は
損金不算入となります。
臨時的 臨時的に支払われる給与は賞与になりますが、役員賞与は利益処分の性格を持つ
ものとして、損金不算入となります。

会社が役員や従業員に対して、無償又は通常の賃貸料相当額に満たない低い家賃で社宅を
貸与した場合には、役員又は従業員に対して経済的利益を与えたことになり、通常の賃貸料
相当額と実際に徴収している額との差額は、役員又は従業員の給与所得とされます。

但し、社宅や寮に、職務上の要請から居住することを強制される場合は、それが無料であってもその
経済的利益は課税の対象外とされます。

課税の対象外とされる例
船舶乗組員に対し提供する船室
常時交替制の事業場で常時早朝又は深夜に出退勤する者に提供する家屋又は部屋
看護婦、守衛、ホテル・旅館等住込み使用人に提供する家屋又は部屋


従業員に貸与する場合

従業員が社宅を貸与される場合の経済的利益は、次の賃貸料相当額の50%相当額以上を
徴収していれば課税されませんが、50%相当額未満の場合には、その賃貸料相当額との差
額が課税されます。

賃貸料相当額
(月額)
その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%+12円×その家屋の
総床面積/3.3+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

※他から借り受けた不動産を貸与する場合の賃貸料相当額も、上記によって計算します。

※固定資産税の課税標準額が改訂された場合においても、その差額が20%以内の増減にとどまる
 ときは、賃貸料相当額の改訂は要しないこととされています。


役員に貸与する場合

役員に貸与する場合には、従業員に貸与する場合よりも厳格に規定され、その社宅の規模、
会社所有か借り上げか等により各別に賃貸料相当額が定められ、役員から徴収する賃貸料
がこの賃貸料相当額に満たない場合には、その差額が原則として役員報酬として課税されま
す。

1.小規模社宅

床面積(2以上の世帯を収容する構造の家屋については、1世帯として使用する部分)が132
平方メートル(木造家屋以外は99平方メートル)以下の社宅

賃貸料相当額
(月額)
その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×0.2%+12円×その家屋の
総床面積/3.3+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%

※他から借り受けた不動産を貸与する場合の賃貸料相当額も、上記によって計算します。

2.大規模社宅

上記の小規模社宅以外の大規模社宅については、次の区分により賃貸料相当額を計算します。

<社有の場合>

賃貸料相当額
(月額)
{その年度の家屋の固定資産税の課税標準額×12%(木造家屋以外は10%)
+その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%}×1/12

※木造家屋以外は、その家屋の耐用年数が30年を超えるものをいいます。

※固定資産税の課税標準額が改訂された場合には、固定資産税の第1期分の納期限の翌月分から
 改訂後の固定資産税の課税標準額に基づいて計算します。

<借上げの場合>

賃貸料相当額
(月額)
役員の支払う賃貸料の50%相当額と上記社有の場合の賃貸料相当額の
いずれか多い金額

<豪華社宅>

役員に貸与した社宅が、社会通念上一般に貸与されている賃貸住宅などに該当しない、いわ
ゆる豪華な役員社宅である場合には、その住宅の通常支払うべき賃貸料の額(時価)が、賃貸
料相当額とされます。

豪華な役員社宅
家屋の床面積 内 容
240平方
メートル超
 住宅の取得価額、内外装その他の設備の状況等を総合的に検討して、社会
通念上一般に貸与されている住宅に該当するかどうかを判定します。
240平方
メートル以下
プールや役員個人の嗜好などを著しく反映した設備を有するものは、該当します。

・この場合の床面積の適用において、その貸与した社宅の一部がゲストハウスや会議室等の
 公的使用に充てられている部分がある場合には、その公的使用部分を除いた床面積により
 判定します。

・豪華な役員社宅に該当する場合の取扱いは、平成7年10月1日以後支払を受けるべきもの
 から適用することとされています。