法人が支給する給与は、給料(役員の場合は報酬)・賞与・退職給与の3つに区分され、支給する
者によって下記のように取り扱われます。
役員 | 使用人 兼務役員 |
使用人 | 特殊関係 使用人 |
|
---|---|---|---|---|
給料・報酬 | ○ | ○ | ○ | ○ |
過大分 × | 過大分 × | 過大分 × | ||
賞与 | × | × | ○ | ○ |
使用人分 ○ | 過大分 × | |||
退職給与 | ○ | ○ | ○ | ○ |
過大分 × | 過大分 × | 過大分 × |
なお、支払った給与が損金の額に算入されないということは、その会社の法人税等の負担が増加
するということになります。
特殊関係使用人とは、次の人をいいます。
イ | 役員の親族(配偶者・6親等内の血族・3親等内の姻族) |
ロ | 役員と事実上婚姻関係と同様の関係にある人 |
ハ | イ、ロ以外の人で、役員から生計の支援を受けている人 |
ニ | ロ、ハに掲げる人と生計を一にするこれらの人の親族 |
出向者に対する給与の取扱いは、出向先法人から支給される場合と出向元法人から支給される
場合とで異なります。
出向者 | 出向先法人の取扱い |
---|---|
出向先法人で使用人 | 支給額は給与として損金算入 |
出向先法人で役員 | 役員報酬は原則として損金算入 |
役員報酬のうち過大分と役員賞与は損金に算入されない |
・給与は出向元法人から支給されますが、出向先法人から出向元法人に対して「給与負担金」が支給
される場合があります。この給与負担金は、その出向者に対する給与として取り扱われます。
・出向者が出向先法人で使用人であれば、その負担金は出向先法人の損金の額に算入されますが、
出向先法人で役員であれば、その負担金が報酬になるか賞与になるかで下記のように区分されます。
定期の給与 | 役員報酬として、原則として損金算入(過大分は損金に算入されない) |
臨時の給与 | 役員賞与として損金に算入されない |
出向元法人が支給した定期の給与の額に達するまでの金額 | 役員報酬として損金算入 |
上記を超える部分の金額 | 役員賞与として損金不算入 |
※例※ 出向元法人では使用人、出向先法人では常務取締役
例1 | 給与負担額 = 出向元法人での支給額 の場合 | |
---|---|---|
出向先法人の給与負担額 | 出向元法人での支給額 | |
毎月70万円を出向元法人に支出 | 毎月50万円の給料支払 6月、12月に240万円の賞与支払 |
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出向先法人の取扱い 給与負担額840万円のうち、600万円は役員報酬として損金の額に算入され、 240万円は役員賞与として損金の額に算入されない。 |
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例2 | 給与負担額 > 出向元法人での支給額 の場合 | |
出向先法人の給与負担額 | 出向先法人での支給額 | |
毎月80万円を出向元法人に支出 | 毎月50万円の給料支払 6月、12月に240万円の賞与支払 |
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出向先法人の取扱い ・給与負担額960万円のうち、600万円は役員報酬として損金の額に算入され、 240万円は役員賞与として損金の額に算入されない。 ・120万円は寄付金課税(注) (注)出向者が出向元法人にとって特に収益性の高い有能な技術者や営業部員等 である為、出向者に対する給与の実額負担だけでは出向元法人における損失 がカバーできない、というような合理的な理由がある場合には、寄付金課税はさ れず、120万円は損金の額に算入される。 |
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例3 | 給与負担額 < 出向元法人での支給額 の場合 | |
出向先法人の給与負担額 | 出向元法人での支給額 | |
毎月70万円を出向元法人に支出 | 毎月50万円の給料支払 6月、12月に300万円の賞与支払 |
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出向先法人の取扱い 給与負担額840万円のうち、600万円は役員報酬として損金の額に算入され、 240万円は役員賞与として損金の額に算入されない。 |
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出向元法人の取扱い 60万円は寄付金課税(注) (注)出向先法人と出向元法人との給与ベースの格差等合理的な理由がある場合 には、寄付金課税はされず、60万円は損金の額に算入される。 |
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