地縁による団体

・「地縁」とは、広辞苑によれば、住む土地に基づく縁故関係と記されており、血縁と相対する
 関係になります。
 「地縁による団体」は、いわゆる町内会、自治会等が法人化されたものです。

・町内会や自治会等は、従来人格のない社団であったために、土地や建物などの不動産の登記を
 町内会や自治会名義にすることができずに、代表者や管理者の個人名義で行っていました。

・平成3年の地方自治法の改正により、法人としての地位が認められるようになりました。
 (許可が必要になります。)

法人税法の取扱い

地方自治法260条の2第16項により、「地縁による団体」は、法人税法その他法人税に関する法令
の規定の適用については、「法人税法第2条第6号に規定する公益法人等とみなされる」と規定され
ています。

1.法人の種類

法人税法上、法人は内国法人と外国法人に区分されます。

内国法人 国内に本店又は主たる事務所を有する法人
外国法人 内国法人以外の法人


そして内国法人は次のように区分され、課税所得の範囲、税率も異なります。

区分 法人の種類 課税所得の範囲
普通法人 株式会社、合名会社、合資会社、有限
会社、相互会社、医療法人など
すべての所得に対し、22%又は30%の
税率で課税
公共法人 地方公共団体、日本開発銀行、公庫、
公団、公社、NHKなど
納税義務なし
協同組合等 農業協同組合、漁業協同組合、商店街
振興組合、消費生活協同組合、信用金
庫など
すべての所得に対し、22%の税率で課税
公益法人等 社団法人、財団法人、学校法人、宗教法
人、社会福祉法人、日本赤十字社など
収益事業から得た所得に対し、22%の
税率で課税
人格のない
社団等
PTA、同業者団体、学会、同窓会など 収益事業から得た所得に対し、22%又は
30%の税率で課税

※ 税率は、平成11年4月1日以後に開始する事業年度に適用されるものです。

※ 公益法人等、人格のない社団等は、法人が解散(又は合併)した場合に、清算手続きの過程で
  生じる所得(清算所得)に対しては課税されません。

2.収益事業

収益事業の範囲は限定列挙で定められていますが、現在は33業種になっています。

物品販売業 12 出版業 23 浴場業
不動産販売業 13 写真業 24 理容業
金銭貸付業 14 席貸業 25 美容業
物品貸付業 15 旅館業 26 興行業
不動産貸付業 16 料理店業その他
の飲食店業
27 遊技所業
製造業 17 周旋業 28 遊覧所業
通信業 18 代理業 29 医療保健業
運送業 19 仲立業 30 技芸教授業
金庫業 20 問屋業 31 駐車場業
10 請負業 21 鉱業 32 信用保証業
11 印刷業 22 土石採取業 33 無体財産権の提供業


地縁による団体への寄付金控除等

1.個人が地縁による団体へ寄付をしても、その寄付金は、所得税法の寄付金控除の対象
 になる寄付金には該当しません。

2.内国法人が地縁による団体へ寄付をした場合には、次の損金算入限度額までは、損金
 算入が認められます。

損金算入限度額 = その事業年度の所得の金額 × 2.5/100


資産を寄付した場合の取扱い

・ 個人が資産を公益法人に対して寄付した場合には、譲渡所得が非課税となる規定が租税
 特別措置法第40条に設けられています。

・ しかし、この場合には、文化の向上・社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するとこ
 ろが著しいものと国税庁長官の承認を受けたものに限られます。

・ 従って、通常個人が地縁による団体へ資産を寄付した場合には、時価による譲渡があった
 ものとみなされて、譲渡所得の課税が生じます。


贈与税の取扱い

上記により、個人が地縁による団体へ資産を寄付した場合には所得税が課税されますが、
この寄付によって親族その他これらの者と特別の関係がある者の相続税または贈与税の
負担が不当に減少すると認められる場合には、「地縁による団体」に贈与税が課税されます。