2000年問題対策

西暦2000年を無事に迎え、重大なコンピューターの支障は報道されていませんが、今後も
誤作動が起こらないという保証はありません。

こちらのホームページでも、2000年問題対策として
   ・ 2000年問題とは
   ・ 税務上の取扱い
   ・ 資金面の支援
   ・ 相談、診断
の角度から特集を組んでいます。

2000年問題とは

2000年問題とは、一部のコンピューター等が西暦の年号を下2桁で扱うことによって生じる
様々な問題、及びこれによる影響のことです。
西暦年号を下2桁で扱うことにより、西暦2000年はコンピューター上では「00」と表現されま
すが1900年なのか2000年なのか識別できなくなり、そのままでは使用不能となるおそれが
あります。

この問題はコンピューター(ホストコンピューター、オフコン、サーバー、パソコン等)だけに発生する
わけではなく、内部にプログラムを持つマイクロ・コンピューター搭載機器、たとえば
・電源装置   ・空調設備   ・医療機器   ・生産ライン等の制御系機器
・防犯設備   ・エレベーター
も事業所や工場のあらゆる機械や設備に使われており、日付処理が行なわれている場合には様々
な問題を生じる可能性があります。

最近開発されたシステムは既に2000年問題に対応済みの状態で出荷されています。
問題になる多くは1990年代半ばより前に導入されたシステムです。

1.懸念されているトラブルの例

コンピューター
システム
・コンピューターが正常に立ち上がらなくなる
・バックアップしたはずのデータが消えて復旧できない
情報処理
システム
・請求処理で正しいデータの抽出や日付の表示ができなくなり二重請求
 や請求漏れをおこす
・受注データの入力ができなくて在庫の確認がとれなかったり出荷指図
 が出来ず、製品の納入遅れを引き起こす
・原材料の手配が抜け落ちる
・日数の計算ミスで料金や金利を誤請求する
設 備 ・POSレジスターが動かなくなり販売精算ができない
・構内の電話交換機が動かなくなり電話やFAXができない
・建物がロックされたままで中に入れない
・防犯設備が動かなくなりセキュリティシステムが作動しない
・エレベーターの中に閉じ込められる
・自動制御の機械やラインが停止したり破損したりする
・自動倉庫で保管期限を間違えて出庫する
・食品の賞味期限が印刷できず、出荷できない

又自社のシステムの修正に万全の策を施すことは当然ですが、今や企業活動が他の企業に依存
し、コンピューターシステムやマイコン搭載機器がネットワークで接続されている今日、予測できない
影響を受ける可能性もあります。

ただし、電気水道ガスや金交通などの社会的インフラに関わるシステムは既に対応をほぼ
終えており、深刻な事態にはならないとみられています。
しかし短期的には、以前に電話ケーブルが一本切れただけで地域の電話がマヒしたように、小さな
トラブルが大きな混乱を引き起こす可能性はあると考えておかねばなりません。

2.いつ発生するか?

2000年問題は西暦2000年1月1日以前にも発生する可能性があります。
たとえば、西暦2000年以降が支払日となるような受発注のコンピューター・システムでは既に問題
が起きている例があります。
そして、コンピューター・システムとマイコン搭載機器を修正しないことによる影響は、西暦2000年
1月1日を過ぎればなくなるわけではなく、2000年以降も永遠に続くのです。

3.危険日一覧

危険日 備 考
1999年××月××日 システムに2000年の日付を入力し始める日。直後の締日も要注意。
オンラインでデータをもらう場合も同様。
1999年 4月 1日
(会計年度初日)
3月決算の会社なら2000年3月までのデータの初期処理を行なう可
能性あり
1999年12月31日 プログラムで特別な意味を持たせている可能性あり
(永久保存データの保存期限日など)
2000年 1月 1日 2000年最初の日。システム日付がはじめて2000年になる。
2000年 1月4,5日 2000年初営業日(入力系業務プログラムを2000年になって初めて
動かす日)
2000年 1月10日 2000年初締日(締日の業務プログラムを2000年になって初めて動
かす日)
2000年 1月31日
または 2月1日
2000年になって始めての月末日、月初日(月次決算などの月次処理
の業務
プログラムを2000年になって初めて動かす日)
2000年 2月29日
または 3月1日
閏年または閏年の翌日
2000年 3月31日
または 4月1日
(決算処理日)
3月決算の会社なら1999年度の締日、決算日
2000年12月31日
または2001年1月1日
(決算処理日)
12月決算の会社なら2000年度の締日、決算日
2001年 3月31日
または 4月1日
(決算処理日)
3月決算の会社なら2000年度の締日、決算日

その他に、
新たに休日になる  2000年1月10日(成人の日) と 2000年10月9日(体育の日)
休日でなくなる日   2000年1月15日(旧成人の日) と 2000年10月10日(旧体育の日)
も要注意です。


税務上の取扱い

1.プログラム修正費用の取扱い

コンピューターのソフトウェアの開発費用は無形固定資産に該当し、償却期間3年又は5年
で償却します。(平成12年4月1日以後に取得するものから適用)

しかし、2000年以降にコンピューターが誤作動することを防止するためのプログラムの修正
は、その実質は資産に対する修繕と同様のものであると考えられ、ソフトウェアの機能を向上
させるものではないことが明確であれば、「修繕費」として支出時の費用処理ができます。

※ 2000年問題対応のために年号管理を2桁管理から4桁管理へ修正する場合も同様です。

<注>
プログラムの修正の中にバージョンアップにつながる修正が含まれている場合には、原則として
その全体を無形固定資産として処理することになりますが、2000年問題対応に係る部分につい
て「作業のための指示書」等で明確に区分され、その内容が機能上の障害を除去するものであ
るときは、その2000年対応部分については、支出時の費用とすることができます。

2.コンピューターの入替え等の場合の税制措置

・ 情報通信機器の即時償却(パソコン税制)
・ 中小企業投資促進税制
・ 中小企業新技術体化促進投資税制(メカトロ税制)

メカトロ税制
<特別償却または税額控除> 中小企業投資促進税制に同じ
<対象設備> 1台または1基の取得価額が160万円以上(リースの場合210万円以上)の電子
        機器利用設備及びコンピューター  または、
        160万円未満(リースの場合210万円未満)のコンピューターを複数台購入し、総額
        が160万円(リースの場合は210万円)を超えるもの

        後者はネットワーク上のファイル(データ及び制御プログラム上で動作するプログラム)
        の保護及び整理を行なうことができるものに限られる
<適用期間> 平成10年4月1日〜平成12年3月31日


資金面の支援

1.政府系金融機関による低利融資制度の強化(担保要件の緩和)

修正処理に要する費用は、中小企業でも数十万円から数百万円かかるといわれており、「政府系
金融機関による低金利融資制度」が用意されています。

対象・・・コンピューターの2000年問題に対応して情報処理システムの改造又は更新を
     行なう方

システム(ソフトウェアを含む)を改造又は更新するために必要な設備資金
金融機関 貸付制度 融資額 返済期間 利率
国民生活金融公庫 情報化貸付 限度7200万円 15年以内
うち据置期間
2年以内
2.0〜2.1%
中小企業金融公庫 情報基盤貸付 直貸限度  7億2000万円
代理貸限度 1億2000万円
2.0〜2.5%

利率は平成11年7月17日現在

システムを賃貸するためのリース料は「運転資金」として融資の対象になります。


★ 担保条件の特例 ★
中小企業金融公庫の直接貸付において、担保が不足する場合は、8000万円を限度として次の
制度が利用できます。
   ・信用保証協会の保証を利用できます。
   ・第三者による分割保証が可能な場合、当該保証部分の担保の免除が受けられます。
   ・上記を利用できない場合または活用しても担保が不足する場合は、融資額の50%を限度
    に担保徴収の免除が受けられます。

金融公庫についても、信用保証協会の保証が利用できます。
詳しくは、各ホームページをご覧になって下さい。

2.都道府県の設備貸与事業の強化

・リース、割賦料とも支払総額の5%が低減
・割賦制度の保証金が従来制度の半額(5%)

問合わせ先
(財)兵庫県中小企業振興公社
〒650−0004 神戸市中央区中山手通7−28−33兵庫県立産業会館1F
TEL 078−361−8042

3.低利率のリース制度(戦略的情報化機器等整備事業)

この制度は、国からの補助金を受けた公益法人が、中小企業の高度な情報化を促進するための
機器等の購入に必要な資金を指定のリース会社に無利子で預託することにより、中小企業への低
額リースを実施するものです。
この制度では、西暦2000年問題への対応のために中小企業がコンピューターの入替えをする場
合も対象としています。

問合わせ先
(財)全国中小企業情報化促進センター    TEL 03−3500−4656


相談、診断

1.2000年問題に関する相談窓口(公的機関)

中小企業地域情報センター  フリーダイヤル  0120−200−451
                    各都道府県の中小企業情報センターに転送されます。