NPO

NPOとは、Non Profit Organizationの略で、民間非営利組織を意味し、営利を目的とする団体
に対して、営利を目的としない民間団体の総称として使われます。

広義のNPOとしては社団法人、財団法人、社会福祉法人、学校法人、宗教法人、生協法人、労働組合
なども挙げられますが、日本では障害者や高齢者へのサービス、環境保護、紛争や災害時の難民救済、
登校拒否やいじめ問題に悩む子供のためのフリースクールづくりなど市民活動を中心とした民間の非営
利公益団体が増えています。
そしてその活動分野は、医療、福祉、環境、文化、芸術、スポーツ、町づくり、国際協力、人権、
平和、教育、災害などに及んでいます。

NPOとボランティア

NPOは市民活動をする「組織」であり、ボランティアはそれを支援する「人」という関係にあります。
ボランティア活動には自発的な意志に基づき、無報酬で奉仕活動をするという特徴があります。つまり、
ボランティアは活動に参加する側であり、NPOはボランティアに参加する場をつくり参加を求める側であ
るといえます。

NPOは非営利性が特徴ではあっても、事業組織として多くの支援や協力を必要とします。その
支援方法は、寄付や会費、助成金や補助金の提供、専門的知識、労力や物資の提供、信用
保証、人や組織の紹介、施設の使用などの他、組織の活動経費や管理費などの資金提供、
人事・経理・税務のノウハウなど多数の協力が求められます。

しかし、公益も営利も目的としない非営利団体の法人化については、特定の目的を持った団体に法人
格を与える為の特別法(例えば宗教法人、学校法人、社会福祉法人など)に委ねられており、特別法
がない限り任意団体としてでしか活動できないという制限があります。
活動する上で必要となる団体としての経済行為(契約、財産の取得、銀行口座の開設等)ができず、
個人(団体の代表者等)の名義で契約しなければならないほか、活動資金を得るための寄付や助成
の申請には法人格が必要となる場合が多いことや、任意団体では社会的信用が得られないといった
ことが問題として挙げられてきました。


NPO法

このような背景の中、ボランティア団体や市民団体などの任意団体に法人格を与え、その活動
を側面から支援することを目的として1998年3月に「特定非営利活動促進法」(通称NPO法)
が成立しました。施行は1998年12月1日からとなります。

法人格付与の要件

1.下記の12項目の活動分野のいずれかを目的にし、不特定多数の利益を図ることを主な
  目的としていること

法人化対象のNPO12分野
保健、医療または福祉の増進を図る活動
社会教育の増進を図る活動
まちづくりの増進を図る活動
文化、芸術またはスポーツの振興を図る活動
環境の保全を図る活動
災害救済活動
地域安全活動
人権の擁護または平和の推進を図る活動
国際協力の活動
10 男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
11 子どもの健全育成を図る活動
12 1〜11の活動を行う団体の運営または活動に関する連絡、助言または援助の活動

2.営利を目的としないこと
3.社員(団体の議決権をもつ構成員)が10人以上いること
4.宗教活動や政治上の主義を推進する活動を主たる目的としないこと
5.選挙活動を目的としないこと

法人化するためには、所轄庁(団体の事務所の所在する都道府県知事、2以上の都道府県に事務所
がある場合は経済企画庁長官)に一定の書類(定款・役員名簿等)を提出(申請)し、認証を受け、登記
することで4か月以内に成立します。

法人格を取得することで団体として経済行為の主体となることができ、行政等の事業委託や助成財団
の助成等にあたって、法人でなくてはならないことを定めている場合には対象団体となることができます
し、一般に任意団体であるよりは社会的な信用が増すと考えられます。

義務

一方、法人格を取得した団体は、事業報告書、決算報告書、役員名簿等を所轄庁に提出する
こと等の情報公開が求められること、法人住民税の均等割額の納付、収益事業を行い収益が
生じた場合の法人税等の納付義務が生じてきます。


NGOとNPO

NGOはNon Governmental Organization(非政府組織)の略称です。国連憲章第71条の中で使用され
ている用語で、政府間の協定によらずに設立された民間の団体を指し、国連にNGOと認められること
によって国連経済社会理事会との協議資格を得ることができます。
しかし、近年ではこの協議資格の有無とは関係なく、「草の根NGO」を自称する団体も多くなり、非営利
で非政府という性格を備えた市民団体にも使われるようになっています。

本来、NGOとは政府主体の国際会議に出席する民間団体のことで、一方のNPOは国内的な概
念で、「営利企業」に対するものです。
そして同じ団体が登場する場所の違いにより、NPOとNGOに呼び分けられています。