角川文庫・初版 昭和58年12月10日 解説:中島河太郎

 
空蝉乙女
玩具店の殺人
菊花大会事件
三行広告事件
頸飾り綺譚
本文25P
本文20P
本文23P
本文9P
本文13P
劉夫人の腕輪
路傍の人
帰れるお類
いたずらな恋
本文12P
本文46P
本文20P
本文23P

 戦前・戦中・戦後の短編集。
 岡山に疎開していた私は、戦後のある夜、月下の竹薮に立ちブッセの詞を歌う美女と出会う。彼女は神戸の空襲で記憶を無くし、近所の屋敷に引き取られていたのだ。そして、復員してきた屋敷の息子は彼女に恋心を抱くのだが…。
 上記の表題作と『玩具店の殺人』の終戦直後の短編、由利先生の戦中短編2作『菊花大会事件』『三行広告事件』、大正から昭和への戦前短編5作の計9作を収録しています。

 

 月光の中にさまよう美女。「竹の葉影を斑々とさせて…」という作中の印象を描いていますが、頭部を貫いている赤い光線は、記憶を喪失していることや空襲で頭に怪我をしたことを表現しているのだと思います。

 

 

 

 

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