この作品は100001HIT記念リクエストSSの『The Longest Day』の後日譚となります。

できれば、そちらを先に読んでいただいた方がよりお楽しみいただけるかと思います。

こちらの作品はリクから離れていますので、シンジ一人称ではありません。あ、でも、最初はシンジから始まってるなぁ。

 

 


 

 

 

 アスカは酷い。

 

 あの長い一日が終わり、手を繋ぎあって眠りについた夜。

 さすがにあれだけの経験をしたせいか、すぐに眠りについてしまったんだ。

 夢も見ずに熟睡。そう、3時間ほどね。

 熟睡が3時間しか続かなかったのは、アスカの所為だ。

 まだカーテンの向こう側が真っ暗な頃、何だか寝苦しくて目を覚ました。

 寝ぼけまなこにいきなり飛び込んできたのは、アスカの寝顔のどアップ。

 アスカの寝息が頬に当たるくらい接近している。

 もちろん、顔だけが接近しているわけがない。

 アスカの右手は僕の胸の上に置かれているし、右足も僕の足をしっかり押さえ込んでいる。

 そして、眠りについたときから僕の右手はアスカの左手としっかり握り合っている。

 つまり、僕は抱き枕状態ってわけ。

 わざとだ。絶対にわざとしてるんだ。

 今だって起きて僕が困ってるのを楽しんでるに違いない。

 被害妄想なんかじゃない。だって、ほら唇の端が微妙にゆがんでいるし、睫毛がぴくぴく動いてる。

 くそぉ…僕が手出しできないのをいいことにっ。

 ……。

 でも、これも幸せってことなのかも…。

 愛する人とくっついて眠れるって。

 但し、性欲だけはどうにもならないよ…。

 いい匂い、いい感触…。

 こんな状態でもう一度眠れるわけないじゃないかっ!

 結局、朝まで僕は欲望と格闘しながら、アスカの顔を楽しみ続ける羽目になった。

 こりゃあ、前途多難だ。

 アスカに振り回され続ける自分の姿が見えるようだ。

 

 とりあえずアスカの寝顔をずっと鑑賞はできたから、おはようのキスはアスカの目が開いたその瞬間にちゅっとすることができた。

 その結果は…。

 アスカは僕の身体にしっかり抱きついて、10分ほど離してくれなかった。

 どうせ日の丸弁当だから時間はかからないし、まあいいか…。

 アスカのぬくもりと幸福感に包まれながら、僕はうっとりとした至福の朝を迎えたんだ。

 

 

 

 

 

 

−The Longest Day−

史上最大の作戦

〜 上 〜


ジュン   2003.12.27

 

 

 

 

 

 

 眠いぃ〜。

 結局、徹夜よ、徹夜。

 あの馬鹿ったら「おやすみ」って言ってすぐに眠ってしまうんだもん。もうがっかりよ。

 ま、そのかわりずっとシンジの寝顔を観察できたから、それはいいんだけど。

 でもって、その顔を見ているうちに何だかたまらなくなって…、とうとう抱きついちゃった。

 さすがに鈍感なシンジも目を覚ましたみたい。

 こうなりゃ狸寝入りするっきゃないわね。

 でもさ、シンジの視線をずっと感じるのよ。

 馬鹿シンジったら、そのあとずっと私を見つめてるみたい。

 そりゃあ、人類の至宝というべき私の美貌に見とれるのは仕方ないけどさ。

 おかげで眠れるわけないじゃない。その状態で寝た振りって大変だったんだから…。

 やっとまぶたを通して外の光を受けるようになったときに、おもむろに目を開けたら…。

 くっくっく…、やるじゃない、馬鹿シンジも。

 いきなり、ちゅってしてくるんだもん。

 ……。

 嬉しかった…。私の気持ちわかってくれてたんだ。

 おはようのキスをしてほしいなぁって思ってた。言えなかったけど。

 ううん、試すわけじゃなかったけど、私のことをわかってくれていたような気がしたから。

 そんな感じがしたから、わざと言わなかったの。

 もうやったぁっって心臓はパクパク状態よ。

 嬉しくてしっかり抱きついちゃった。

 ……。

 でも、やっぱり眠い…。

 何の授業かもわかんないけど、とりあえずおやすみなさい…。

 


 

「リツコぉ、私ちょっち家帰るわ」

「この忙しいのに、何?」

「えへへ、今日さぁ、レイがうちに来るのよ、料理つくりに。どんな感じが見てみたいのぉ」

「野次馬根性ね」

「何とでも言いなさいよ。作戦部長としても…」

「はいはい、言い訳はいいから帰りなさいよ」

「あとで結果知りたい?」

 私はミサトを睨みつけてやった。

 その視線に彼女は動じる気配はない。

 心の奥底はどうなのかわからないけど、加持君を失った衝撃は表には出さなくなった。

 シンジ君とアスカのおかげってわけね。

 数少ない友人に向かって、私はゆっくりと頷いた。

 私にも好奇心はある。

 レイがどんな対応をするのか?

 同席してもいいくらい。この仕事さえなければね。

 


 

 ふふふぅっ、やっぱりリツコも人の子ねぇ。

 好奇心はあるんだ。

「わかったわぁ、じゃどんな感じか報告してあげる。じゃあねぇ」

 私は投げキッスを残して、リツコの部屋を後にする。

 無機質な通路をつかつかと歩く私の足音が反響した。

 加持…。あの馬鹿…。大馬鹿者っ…。

 いいわよ、こうなったら、あんたの分までたっぷり生きてやるから。

 まずは…。

 そうね、私たちみたいにならないように、あの子たちの事を見守ってあげなきゃ。

 まだ14歳なんだもんね。

 ……。

 何、つくるのかしら?

 


 

「来たわ。命令だから」

 弐号機パイロット。

 何故、私にそんな笑顔を向けるの?

 私のこと、嫌いじゃなかったの?

 顔を合わすと敵意丸出しだったのに…。

 何故、そんなにニコニコ笑って迎えてくれるの?

 ……。

 罠!

 わかった。これは罠なのね。了解。注意を怠らないこと。

 でも、胸が少し痛い。

 碇君のせいかもしれない。

 弐号機パイロットと仲良くしているから?

「そんなとこに突っ立ってないで、さっさと中入んなさいよ」

 嫌な笑顔。

 ほら、無理に笑おうとしているから唇が引き攣ってる。

 瞳をいくらキラキラさせてもダメ。

 いったいこんなお芝居で私をどうしようというの?

 作戦部長も同じ穴の狢ね。

 ほら、テーブルの上にビールの空き缶をたくさん並べて、私をニヤニヤ見ている。

 みんなで私をどうしようというの?

 怖い。

「はい、これ着なさいよ」

「何これ?」

「見てわかんないの?アンタ、家庭科の授業で着たことあるでしょ」

 割烹着。

 確かそんな名前。

 こんなものを私に着せて、何を企んでいるの?

 そう…、私に料理を作らせてみんなで笑おうっていうのね。くすくす。くだらないこと考えるのね。

 えっ。みんな着るの?どうして?わからない。

 


 

 もうっ!相変わらずの無表情ね、こいつったら。

 みんなで料理を作るのよって言っても、「そう。作ればいいのね」ってそっけないんだから。

 ま、予測どおりの対応ってヤツよね。

 でも、どこか間が抜けてるのよね、優等生…じゃなかった、レイは。

 ラーメンを作るって言ったら、きょろきょろしてるの。

 何を探してるのかって聞いたら、カップラーメンだって。

 アンタ、カップラーメンにお湯注ぐのにいちいち割烹着着るわけないじゃない!

 大きなおなべでお湯を沸かして。

 シンジがおねぎを包丁でみじん切り。

 私はレイにどのラーメンにするか聞いたの。

 予測ではあの時と同じしょうゆベースかなって…。

 ところが全然返事をしないで、テーブルの上の3種類のラーメンを見つめている。

 みそ、しょうゆ、しお。あ、ちゃんと湯がいて作る方よ。

「ちょっと、早く決めなさいよ」

「ない…」

「はい?」

「ないの」

 顔を上げたレイの瞳は少し潤んでいた。

 か、可愛いじゃないの。

「何がないのよ」

「にんにくラーメン」

 ぷっ!って、ダメよ、吹き出したら。雰囲気が悪くなっちゃうじゃない。耐えるのよ、アスカ!

「に、にんにくはね、と、と、トッピングなのよ」

 怪訝な顔をするレイに、私は詳しく説明してあげた。

 まあ、ほとんどシンジの受け売りだけどね。私だって海外育ちでよく知らないんだもん。

 スライスにんにくを山盛りトッピングするってことで、レイの顔は輝いた。

 そして、しょうゆラーメンの袋を大事そうに抱きしめたの。

 もちろん、レイにも仕事をしてもらわないとね。

 まあ、料理の初心者だから危険の少ない、ゆで卵の見張りを担当させたわ。

「了解。きっちり15分で卵を回収する」

「はいはい、よろしくねぇ」

 私?私は、もやしを炒めるの。さっとね。

 私の隣で小鍋を相手に睨めっこをしているレイ。

 一心不乱っての?瞬きもしないんだから。

 出だしとしてはまあ上々かしらね。

 


 

「15分経過。回収…」

「わぁっ!ダメだよ、綾波。素手はっ」

「卵を回収するの」

「アンタ馬鹿ぁ?お湯を先に捨てなさいよ」

「あ…」

 くっくっくぅ。こいつは酒の肴にぴったりだわぁ。ぐぴぐぴ…ぷふぁっ!

 リツコにいい土産話ができそう。

 きっと、こんな話を聞いたら鼻先で笑って…、そして思うでしょうね。

 この子達を不幸な目に合わせたくないって。絶対に口には出さないでしょうけど。

 ……。

 ごめんね、シンちゃん、アスカ…。

 許してくれる?大人の癖に子供たちを放ったらかしにして自分のことだけを考えていた私を。

 14歳は大人じゃないってことは、私にならわかるはずだったのに。

 もし、あのままそんな大切なことに気づかなかったら、どうなってたのかしら?

 ごめんね、加持。

 とりあえず、復讐は休止。

 あ、復讐ってあんたの復讐のことよ。セカンドインパクトのことは大体のことはわかったからもういいわ。

 どうしようもないし、それより今はやらなきゃいけないことが多すぎ。

 わかってくれるよね。

 もちろん、あんたを消したヤツは地獄の底まで追っかけてやるわ。

 それが誰であってもね。

 たとえシンちゃんのお父さんであっても…。

 ふぅ…、少し悪酔いしちゃったかなぁ?

 あ、そうだ。この子たち、私の分も作ってくれてるんでしょうねぇ?

 もしなかったら、お姉さん暴れちゃうわよぉ。

 


 

「レイはチャーシュー要らなかったわよね」

 こくんとうなずく綾波。

 はは、まだ表情が硬いよ。

 まるでお姉さんのように面倒を見ているアスカに戸惑ってる。

 何だかこんな光景を見てると、ほのぼのしちゃうよ。

 わっ、綾波のラーメン、ねぎとニンニクで表面が覆われてるよ。凄い…。

 でも、嬉しそうだ。

 ほんの少しだけ笑っているように見える。

 綾波って僕にとって何になるんだろう?

 母さんのクローンだけど、僕の母さんになるわけないよね。

 でも他人じゃないだろうし…。兄弟みたいなものかな?血というか遺伝子というか、そんなので繋がってるのは確かだよね。

 あの時…綾波の家にはじめて行った時、裸の綾波と出くわしちゃって…。

 おまけに押し倒すような感じになっちゃったけど、その先は何も起こらなかった。

 それで良かったよ。

 もし何かあったら取り返しのつかないところだった。

「ちょっと、おね〜さんのはないの?」

「ないわよ。食べたきゃ自分で作りなさいよ」

「ひど〜い」

「くすくす…」

 わわっ、綾波が声を出して笑った。

 初めて聞いたよ、笑い声。

 アスカとミサトさんもびっくりしてる。

 いや、綾波本人まで驚いた顔をしてるじゃないか。

 


 

 私が笑った。

 声を出して。

 笑えるのね、私にも。

 嬉しい。

 笑えたことより、笑ったことをみんなが喜んでいることが。

 どうして嬉しいのか、全然わからないけど。

 でも嬉しい。

 とても嬉しい。

 でも、麺がのびる。食べないと。

 


 

 結局、レイは泊めないといけなくなっちゃった。

 10時過ぎて女の子を一人で帰らせるわけにはいかないじゃない。

 まさかあの酔っ払いの運転で送るわけにはいかないし、シンジ?

 とんでもない!レイに襲われたらどうすんのよ!

 それにさ…あんな場所に…私は見たことないけどさ…酷い場所らしいじゃない?

 本人は気にしてないみたいだけど、気にすべきよ。

 こうなりゃ、人間様が住むべき環境がどんなのかってことを身体で覚えてもらうわ。

 あ、ミサトの部屋は絶対に見せないようにしなきゃ。

 あれは人外魔境なんだからっ!

「私、ここで寝るの?」

「そうよ、ミサトの命令なんだから仕方ないでしょ」

「命令…。全部命令なのね」

「命令に逆らうの?」

 私の悪い癖よね。すぐからかうところは。

 ほら、悔しそうな顔するんだから。

「命令は命令。従わないといけないわ」

「あ、そ。じゃ、命令よ。私と並んで寝ること」

「どうして、あなたが、命令するの?」

「それは、私がリーダーだからよ!」

「嘘」

「はん!ほらよくごらんなさいよ。ミサトの署名つき、チルドレンリーダー認定書よっ」

 さっきレイがトイレに行った間に酔いつぶれているミサトにサインさせたのよ。

 レイったら、その権威ある認定書をしげしげと眺めるの。

 裏は見ないでよね、学校のプリントなんだから。

「どぅお?」

「字が…汚い」

 むかっ!どうせ私の字は汚いわよ!

 でも、ここは抑えて抑えて。私も大人よねぇ。

「で、字はさておいて、内容はどうなの?納得した?」

 レイは頷いたわ。

 文字通り不承不承ってヤツ。

 ぐふふふ、これで名実ともに私が栄えあるチルドレン部隊のリーダーよっ!

 ……あとであの司令に酷い目に合わされないかしら?

 ま、その時はシンジに庇ってもらおっと。

「じゃ、リーダーの命令よ。アンタは私の隣で寝なさい」

「碇君は…どこ?」

「は?今お風呂じゃない」

 私は空惚けてやったわ。

 いくら私が大人でも、ことシンジの場合は別よっ。私のシンジなんだからねっ。

 私の返事にレイははっきりと首を振った。

 ホント、DNAって怖いわよねぇ。レイのシンジへの執着心って自分でも良くわかってないんでしょうね。

「碇君は…どこで寝るの?」

「自分の部屋に決まってんじゃん。あ、そうだ。アンタがさ、どうしても一人で寝たいって言うんなら」

 私はさらに惚けてやったわ。

「私のベッド、アンタに使わせてあげるわ。で、私はシンジと寝るから…」

 うわっ!レイの目が思い切り開いたわ。

 怖っ…。

「だって、私とシンジはフィアンセだもん。一緒に寝てもいいの」

 まるで私を殺しかねないような視線をぶつけてくるレイ。

 これが日本名物嫁姑の闘いってヤツよね。テレビで見たことあんもん。

 絶対に負けるもんか。

 睨みあいは結構長い時間続いたわ。

 


 

「あれ?どうしたの?二人とも」

 僕がお風呂から出てくると、アスカと綾波が向かい合って立っていたんだ。

 見間違いかもしれないけど、二人とも目から光線が出ていたような…。

 はは…まさかね。

 僕が声をかけたその瞬間に反応してきたのはアスカだった。

「あっ!シンジっ、今日も抱き合って一緒に寝よっか!」

 ……。

 絶句。

 答えようがないよ。

 綾波も固まってしまってる。

 そんな綾波の様子を横目で窺いながら、アスカはにたにたと笑ってる。

 きっと、また変な作戦を実行してるんだ。間違いないよ。

「何よ。抱き合って寝て、朝はおはようのキスをしてくれたじゃないの。違うって言うの?」

「そ、そ、それは、違わないけど。抱き合ってじゃなくて…」

 アスカが一方的に抱きついてきたんじゃないか。

 そう言おうとしたけど、黙っておけといわんばかりにアスカの眼光が僕に突き刺さる。

 わ、わかったよ、よくわからないけど。

「はっきり言いなさいよ、シンジっ」

「あ、う、うん。た、確かに二人で寝たよね、うん」

 うわっ!ジロリって音が聞こえるみたいな感じで、綾波が僕を睨む。

 この時、僕はふと思った。

 ガールフレンドといちゃついててお母さんに見つかったときって、こんな感じじゃないんだろうか。

 つい頭を掻いてしまった上に、綾波に向かって愛想笑いを浮かべちゃった。

 そうなると、今度はアスカが僕を睨みつけた。

 は、はは…。

 これってあの有名な嫁姑の闘いってヤツだよね。テレビで見たことあるよ。

 どうしよう?

 どっちの味方をすれば…って、もちろんアスカの方なんだけど。

 ごめんよ、綾波。

 何だか、大人になるってこういうことなんじゃないかって…。もちろん錯覚なんだけどね。はは…。

 


 

 暗闇。

 私の部屋と同じ暗闇。

 でも違う。

 どこが…?

 どこ?

 この部屋は暖かい。

 室温は22度。エアコンだから安定してるのね。

 私の部屋のエアコンは動かない。壊れてるから。

 私の部屋より涼しいのに、どうして暖かく感じるの?

 わからない。

 弐号機パイロットなんかの横で寝ているのに、どうしてこんなに…。

 何なのだろう?

 よくわからない。

 弐号機パイロット。

 寝る前に、「おやすみ」と笑って言った。

 あの笑顔。

 吸い込まれそうになった。

 それに「これからアスカって呼んでね」って。

 馬鹿らしい。

 何故、そう呼ばないといけないの?

 私のことだって、優等生でも零号機パイロットでも人形とでも呼べばいい。

 何故、急に「レイ」なの?

 碇君と心を通わせるようになったから?

 それで?

 私に優しくなったの?

 違うような気がする。何の根拠もないけど。

 隣に眠っている彼女を見る。

 気持ちよさそうに眠っているわ。

 その白い手が私の目の前に投げ出されている。

 柔らかそうな手。

 ……。

 触ってみたい…。

 


 

 ふうぅぅぅ〜。

 ちょっち、飲みすぎたかもねぇ。

 あの子たち見てるとあんまり面白いから、ついついピッチ上げすぎちゃったわぁ。

 トイレ、トイレ…。

 もう…豆球くらい点けといてよね。

 リビングに寝てるんでしょ。踏みつけちゃうぞ。

 ああ、やっと目が慣れてきたわぁ。

 ……。

 ふぅ〜ん…。

 そっかぁ、そうなっちゃったのかぁ。

 ふふふ。

 これ教えてあげたら、リツコ喜びそうだわぁ。

 レイったら、あんなにしっかりアスカの手握っちゃって。

 二人とも幸せそうな寝顔。

 シンちゃんの寝顔も覗いちゃおっかなぁ。

 ……。

 やめとこ。

 アスカに気づかれたら、真剣に殺されちゃうわ。

 あの子がここまでシンちゃんに夢中になるなんてね。

 想像もしなかった。

 ……。

 ま、いっか…。

 えっと…。

 何か忘れてるわよねぇ…。何だっけ?

 ……。

 トイレっ! 

 


 

 これでおしまい。

 ふふ。政治家って馬鹿ね。

 どうしてこんなに証拠をしっかり残してるのかしら?

 自己保全のため?

 これで日本政府の連中の首根っこは抑えたの同然ね。

 次は戦自の番。

 あそこはやっかいだわ。

 プログラムをもっと強力にしないと…。

 あら?お腹が鳴ったわね…。

 そういえば、いつから食べてなかったのかしら?

 夕方にマヤが差し入れを持ってきてくれてから、コーヒーだけだったわよね。

 そういえばあの子たち、ラーメンを作るって…。

 ミサトが酔っ払って電話してきたわよね。

 カップラーメンあったかしら?

 システム終了…。

 ENTER。

 

〜史上最大の作戦〜 下 へ続く

 


 

<ちょっとだけあとがき>

 100001HITリクの「The Longest Day」を掻き始めたときにどうしても書きたい後日譚が浮かんできました。

 それは次回〜下〜のお話なのですが、その前にレイをなんとかしないとなぁと思い、この上編を書きました。

 いよいよ下編ではあれが書ける!これが書きたいために他の作品を中止したのですから。がんばらねば!

2003.12.27

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