(その壱)


(その参)

 

 

 

悪霊島 (下)

 角川文庫・初版 昭和56年5月30日 解説:中島河太郎

  悪霊島 下     本文325P
  

 金田一耕助の第30長編。
 瀬戸内海に浮かぶ刑部島。その島に渡った男が姿を消し、金田一耕助が消息探しの依頼を受けた。耕助が磯川警部に会うと、どうやらその男は変死していたらしい。「あの島には悪霊がとりついている……鵼のなく夜に気をつけろ…」そんな言葉を言い残して…。
 解説の中島河太郎氏の末文が涙を誘います。『意欲を示される著者に、天寿を恵まれるように祈りたい』。実際この7ヵ月後に、横溝先生は天に召されたわけなのだが、以後の作品と…もちろんその作品が書籍となった際の杉本先生の表紙絵が幻になったことが残念でならない。
 単行本の表紙は
こちらです。

 

 表紙は3バージョン有ります。

(その壱)

 この表紙も上巻同様に帯がない方が絶対にいいと思います。ただこの下巻の表紙絵の凄さは、上巻と並べた時の変化にあります。神々しいまでの雰囲気の上巻に比べ、こちらは髪がほつれ、眼は赤く、歯を牙のようにむき出しています。もちろん島も荒波の中に浮かび、その対比の妙には素晴らしいものがあります。

(その弐)

 ここには掲載していませんが、映画化に際して、映画のスチール写真を使った、最近でも良く見かける完全タイアップ型の表紙になってしまいました。味も素っ気もないのでここには画像はおきません。

(その参)

 平成のファイルシリーズで新表紙になりました。こちらでも、対比が行われています。今度は双子が髑髏に変わりました。また血痕も黒ずみ、巴御寮人の微笑みも不気味です。

 

 

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