(その壱)

 


(その弐)


貸しボート十三号

 角川文庫・初版 昭和51年3月5日 解説:中島河太郎

  湖泥                    本文104P
  貸しボート十三号   本文133P
  墜ちたる天女        本文113P
  

 金田一耕助ものの中編集。
 隅田川に漂うボートに乗せられていた男女の惨殺死体。二人とも身体と首が半分切断されかけていた。耕助と等々力警部は死体の青年が所属する大学のボート部に乗り込んだ。
 上記の表題作の他に、岡山ものの『湖泥』、そして何と等々力警部と磯川警部が初対面する『墜ちたる天女』の3作を収録。後日のファイルシリーズに『湖泥』だけがファイル6『人面瘡』に収録されました。その表紙はこちら

 

 表紙は2バージョン有ります。

(その壱)

 この表紙は人気の高い絵です。表題作自体も好評なので軽い横溝ファンの人にもよく購入されていました。シンプルな絵なのですが、被害者の女性のレーンコートの色を杉本画伯が緑色に設定したのが大成功となったのでしょう。緑に血の赤色は良く映える。因みに容疑者のレーンコートの色は文中に出てきますが、女性の方は一切出ません。

(その弐)

 変更版ではレーンコートが取り払われて、ただの血塗れボートとなりました。女性の顔も陰気で(陽気な顔だったら逆に怖いけど)、表題作の少しライトな雰囲気からはちょっと離れてしまったような気がします。いずれの表紙にしても、平成のファイルシリーズに『貸しボート十三号』が選ばれなかったせいで露出度が低くなったのが残念です。

 

 

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