迷路の花嫁

 角川文庫・初版 昭和51年11月10日 解説:中島河太郎

  迷路の花嫁  本文369P
  

 金田一耕助の第10長編。
 小説家・松原浩三が深夜に出会った女性に不審を抱き、その跡を追うが姿を見失う。その近くで浩三は通りすがりの警官と、血塗れの猫が出てきた女霊媒師の家で女の全裸死体を発見する。血の海になった座敷で全身傷だらけの死体のそばには、血塗れの猫が5匹…。
 金田一耕助の出番は非常に少ない。文庫で128ページになってようやく登場し、そのあとも遠くから事件を見守っているようなスタンスを取り続けている。金田一シリーズの中の異色作といえるだろう。

 

 運命翻弄される女性が何人も登場してくる作品だが、やはり印象的なのは冒頭の死体発見の場面であろう。血を踏んでできた猫の赤い足跡が、表紙絵にも描かれているのだが、他に4色を使って鮮やかさとアクセントをつけています。この5色の色彩があるが故に、引き立つ表紙絵といえるでしょう。

 

 

 

 

 

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