(その壱)


(その弐)


 

白と黒

 角川文庫・初版 昭和49年5月30日 解説:中島河太郎 本文525P

 金田一耕助の第23長編。
 成城に林立してきた、鉄筋コンクリの団地群。その中にあった建設中の一棟のダスターシュートから、タールに塗れた女の死体が発見された。丁度団地内に横行する怪文書に畏れをなした旧知の女から依頼を受けていた、耕助がその事件に取り組む。
 この作品は昭和35年に共同通信系の新聞に連載された小説である。この長い長い作品が、新聞連載だなんて、正直言って信じられなかったのを記憶している。フー・ダ・ニットを考えるなら、一日読めなかったら伏線を読み飛ばしてしまう恐れのある、新聞連載は執筆が非常に難しいと思うのだが。

 

 表紙は2バージョン有ります。

(その壱)

 この<その壱>バージョンの方は、殺人現場のイメージをそのまま表現しています。ただあまりに直線的すぎて、<その弐>バージョンの妖しさには見劣りしてしまいます。

 

(その弐)

 中学当時、この表紙はなんとなく怖かった。いやらしいというよりも、不健康さが満ち溢れていたからだろう。この小説自体が映像化しても何の面白さも出てこないような不思議な作品なのだが、この1枚の絵がこの作品を全て表現しているように思える。

 

 

 

 

 

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