憑かれた女

 角川文庫・初版 昭和52年6月10日 解説:中島河太郎

 
憑かれた女
首吊り船
幽霊騎手
本文124P
本文76P
本文118P

 由利先生の長短編集。
 鎌倉の海岸でドイツとの混血児である17歳のエマ子は恐ろしい白日夢を見る。彼女のことを恋敵と忌み嫌っている娘が血だらけになっている姿を見たのだが、その娘はぴんぴんしている。恐怖症状により妄想を見がちなエマ子はやがて見知らぬ外人に洋館に連れ込まれたが、気がつくと自宅の近くで横たわっている。どこからが妄想でどこまでが真実か、エマ子はその境界線がどんどん危うくなっていくのだ。そして、あの洋館を突き止めたがそこの浴槽には娘の惨殺死体が…。
 上記の表題作、小包で送られてきた左腕の骨の謎からはじまる『首吊り船』、帝都座で上演された「幽霊騎手」という探偵劇は実話を元にしていたという『幽霊騎手』の3作を収録している。

 

 『憑かれた女』は昭和8年の作品です。おそらく私の先入観なのだろうが、表紙絵の娘がジーパンを穿いているのに違和感を感じてしまいます。ですが、それでいながら、この表紙絵のイメージはこの作品にぴったりなのです。

 

 

 

 

 

表紙絵メニューへ            次の作品へ