(その壱)


(その弐)

夜歩く

 

 角川文庫・初版 昭和48年2月20日 本文311P 解説:大坪直行

 金田一耕助の第3長編。
 古神家の令嬢・八千代にまいこんだ手紙には首が写っていない佝僂の男の写真と「汝夜歩くなかれ」の一文が書かれていた。そして古神家で始まる陰惨な殺人事件は東京から岡山へと舞台を移す。
 現在、横溝長編の中でこの作品が評判が悪くなってしまっているのは、トリックや話の展開の所為ではありません。横溝作品はどれもがビジュアルに適しているだけにキチンと製作すれば映画でもTVでも名作ができるのですが、この作品だけは不可能なのです。『獄門島』のキ○○イ程度ではなくそれらの単語が湯水のように作中に溢れ、且つ又佝僂も重要なトリックになっているためです。『横溝正史シリーズ』でもこの有名作を外す訳にいかず、<Part2>で放映したのですが毒気が抜かれて淡泊な作品になってしまっています。

 

 表紙は2バージョン有ります。

 

(その壱)

 これは第一期グループなのですが、何故か唯一生き残った表紙絵です。実は私はそれを知らずに(在る筈のない)『夜歩く』の第一期表紙絵を探し求めました。そして初版本を手にしたときに、探していた表紙絵が何年も前から自分の手元にあったことを知らされたのでした。

 

(その弐)

 この表紙絵は大好きです。まさに<夜歩く>女−八千代。虚ろな眼差しといい、洋館といい、絶妙の構図です。右上の朽ちた木と八千代がくわえた葉の緑色がたまりません。改変表紙の中ではこの表紙絵と『女王蜂』<その参>が私のお気に入りです。因みに私的には、この表紙の女性は『横正シリーズ』のヒロインだった范文雀さんなのですが、先日お亡くなりになりました。合掌…。

 

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