(その壱)


(その弐)


(その参)

 

本陣殺人事件

 角川文庫・初版 昭和48年4月30日 解説:大坪直行

  本陣殺人事件・本文195P
  車井戸はなぜ軋る・本文78P
  黒猫亭事件・本文127P

 金田一耕助の第1長編。
 昭和12年、岡山県の旧本陣・一柳家で新婚初夜の新郎新婦が血塗れになって死んでいるのが発見された。しかもその現場は密室だった。そして新婦の叔父は、アメリカで面倒を見ていた青年を一柳家に呼んだ。青年の名前は金田一耕助。私立探偵である。
 横溝正史の戦後第1作でもある、この作品はそれまでの作風とは異なった、米欧に劣らない本格派の探偵小説だった。この表題作と、名短編として有名な『車井戸はなぜ軋る』、これまた名中篇の『黒猫亭事件』の3作を収録。

 

 表紙は3バージョン有ります。

(その壱)

 これはアートです。まさにATG映画の世界です。ところでこの初期バージョンの表紙の文庫をゲットするのは結構大変なのです。私の友人達は大概ブームになってから購入しているため、古本屋に頼らざるを得ない。これは大阪第3ビルの古書街にて100円で購入しました。NETで入手するとこの数倍に化けてしまうのです。それでも無いモノはNETに頼らざるを得ません。

 

(その弐)

 これも人気の高い表紙です。『横溝正史シリーズ』の第2作(蔵原惟繕監督)が堅実な作風で『これはすごい番組やで』と世間を賑わしたのだが、薄幸の少女・鈴子を西崎みどりが演じて話題になった。そのイメージにあまりにはまりすぎの絶好の表紙である。また、鶴太郎版『本陣』(1992年)のオープニングでこの表紙絵の上部が使用されたが、クレジットには杉本先生の名前は出ていませんでした。そんなのあり?しかも鈴子の目より上の部分だけなのでただグロテスクなだけに見えてしまっていた。だからその目が鈴子なのかどうかは一般の視聴者にはわからなかったに違いない。どうせ使用するなら巧く使って欲しかったものです。

 

(その参)

 あの人気の高かった<その弐>バージョンの表紙をこの絵に変えたのは?答は簡単。『横溝正史シリーズU』で黒猫亭事件が放送されるからに他ありません。但し、放送が終了するといつの間にか<その弐>バージョンに戻っていました。それだけ<その弐>バージョンの完成度が高いということです。その代わり<その参>バージョンには、『鬼火』<その弐>バージョンと共に異表紙入手困難作品の横綱となりました。

 

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