住む家も一緒に暮らす家族もなく、自らの力で路上で暮らす子どもたち”ストリートチルドレン。その数は世界で1億人に上るとも言われています。SAVOの調査によるとニエンド地区だけでもその数300人、マサカ市全体では、その数は700人以上いると思われます。
ストリートチルドレンが生まれる要因としては大きく4つあります。
ストリートチルドレンが生まれる主な要因
1.家庭の極度の貧困
ウガンダにおいては、人口の8割が正規の仕事についていないともいわれており、これといった産業のないニエンドでもそれは例外ではありません。貧困家庭においては、子どもも貴重な労働力としてみなされ、学校に行かずに農作業や物売り、物乞いなどで働かされます。極度の貧困状態だったり、親の怪我や病気、災害などで一家の収入源が途絶えてしまうと、兄弟のうち一定の年齢に達した子どもは、路上に出ざるをえなくなります。親がそうさせる場合と、子どもが自ら路上に出る場合の両方があります。
2.家庭内暴力
貧困家庭では、しばしば家庭内暴力が見られます。ニエンドの貧困家庭では小さな部屋が1つしかない借家に7人以上の家族が暮らすこともめずらしくなく、こうした劣悪な住環境が親から子への暴力を生み出します。また親が失業状態であったり、アルコール中毒や薬物中毒であったりすることも、家庭内暴力の大きな要因です。
子どもは日々の暴力から逃れるため、また親からの愛情を得ることができないことによる精神的ダメージから、家を出てストリートチルドレンになります。親の離婚/再婚により義父母から暴力を受ける場合も多くあります。
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典型的な借家 鉄扉1つが一家庭
ここに大家族が住む
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3.早すぎる妊娠/母子家庭
二エンドでは多くの女性が10代で子どもを産みます。避妊の意識が高くないウガンダでは、高等学校で付き合い出した男女がそのまま妊娠に至ってしまうケースもよくあります。精神的にも経済的にも十分に自立していない若い親にとって、子どもを育てることは非常に困難です。子どもができた後に父親が逃げてしまう場合も少なくなく、その場合女性1人で子どもを育てることはさらに困難になります。なぜならウガンダでは女性が働ける場所が非常に限られているためです。結果として多くの子どもが親に捨てられ、ストリートチルドレンになります。親に捨てられた子どもの精神的なショックは計りしれません。
4.孤児/エイズ
ウガンダは世界の中でもエイズ感染率が高い国であり、その感染率は7%程度と言われています。1990年代に30%を超えた感染率が低下したとはいえ、依然高い率であり、エイズにより親を亡くす子どもが多くいます。ウガンダではエイズ孤児は100万人以上いると言われています。
親の死後、通常子どもは親戚の家に引き取られそこで暮らすことになります。しかし親戚は子どもに残された財産をすべて売った上、子どもが自ら家を出るまでひどい扱いをするケースも多くあります。子どもはそうした扱いに耐え切れず、自ら路上で暮らす道を選ぶのです。